断片話

◆鈴虫


「阿伏兎、鈴虫って食べられるかな」
「……イナゴなら佃煮にできますがねぇ」
「安眠妨害で凄く煩いんだけど」

確かに煩いほどに鳴いてはいるが、これも1つの風情だろと目を閉じながら言いたくなった。

「耳栓でもしてろ」

くだらない事で起こすな、と布団を被りながら阿伏兎は呟いた。


(2011/02/05)
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