断片話

◆カムずきん
(童話パロ)

元ネタ『赤頭巾』
【キャスト】
赤ずきん:神威
猟師:阿伏兎
狼:勾狼
おばあさん:華陀
お母さん:阿呆

……あるところに、赤い頭巾を被った青年がいました。
いつも赤い頭巾を被っているので、カムずきんと呼ばれていました。
カムずきんが被る頭巾が赤い理由は、相手の返り血を浴びて、と言う訳ではなく、返り血を浴びても目立たないためでした。

「神威。森にある家へ行ってこれるか」
「わかりましたよアホ……阿呆提督。不快ですけど行ってきます」

ニコニコと笑うカムずきんに命令をした阿呆お母さんは、自分を見ているカムずきんが、実は豚の丸焼きを想像している事を知らず送り出しました。

「カムずきん!花摘みに行って来い!!」
「勾狼団長。あいにくと手洗いに行く予定はないから」
「じゃなくて、花を摘んでお土産を用意しろ!!」

「何じゃ、暑苦しい」
「なッ……え!?」
「ふん。誰かと勘違いをしたらしいが、わしの所に来て、ただで帰れるとは思っていないだろうな?」

ザッと現れる華陀おばあさんを守る黒軍団に囲まれ、勾狼おおかみは狼狽しました

「で? 道に迷ったと」
「うん。できれば花畑に連れてってくれる? 阿伏兎」
「はぁ……ま、仕方ないか……」

ポリポリと頬を掻き、阿伏兎猟師はカムずきんを花畑へ送る事になりました。


(2011/02/05)
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