かむあぶ 2

「おい、団長」
「どうかした? 阿伏兎」
「あんた、師団員に強制参加でも義務付けたのか?」
「別に? ただバレンタインのチョコを堂々と食べたくない? って言っただけだよ」
「なるほど、虚しい誘い文句だ」

どうりでチョコレートだらけな訳でと納得した阿伏兎は、会場の横断幕に視線を向けた。

「で? そのチョコを堂々と食べるための免罪符に、何故俺の誕生祝いが使われてるんですかねェ、団長様」
「阿伏兎ってちょうどいい時期に誕生日があるよね」
「いやいや、けして男だらけのバレンタイン(仮)をやるためじゃないからね」
「でもほら、阿伏兎がチョコレート好きだから丁度いいだろ」
「人の好物を勝手に捏造するな!」
「あり? 違ったっけ?」

分かっていながらケラケラと笑う神威に、何を言っても無駄かと阿伏兎はため息を吐いた。

「どうせなら酒飲み大会の方がよかったんですがねェ」
「じゃあ今から皆で占領してみる? 罰霞須星」
「いや、そこまで求めてないからね、別に」
「遠慮しなくてもいいのに。プレゼントに星一つとか豪華だろ?」
「始末書の嵐になるだろ! 過労死させる気か!!」



限度を知れ!
「しょうがないな。妥協案でチョコレート酒一気飲み大会でもする?」
「バレンタイン関係からもまず離れろ!!」


end
(2016/02/10)
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