かむあぶ 2

「阿伏兎。誕生日おめでとうって言いながら阿伏兎に麦チョコぶつければ二月の行事って一日で終わるよね?」


唐突にニコニコと笑いながら提案をする上司に、顔が引き攣った。
無茶振りはいつものことだが、さすがに色々とツッコミ所が多過ぎた。

「……何で一日で済ませようって気になった、団長様。多忙でも一つずつ遣ろうと言う気にはならんかったのか」
「日取りは阿伏兎の誕生日で、バレンタイン寄りだからぶつけるのはチョコレートかな。恵方巻きはチョコバットで代用すれば完璧だね」
「聞いてんのかこのすっとこどっこい。何が悲しくて誕生日にチョコぶつけられなきゃならん」

祝われてない、全くもって祝われてない。
むしろ罰ゲームにしかなっていない。
そう思いながらすげなく返せば、相手は少し考えた後、ピンときた顔で妥協案を出してきた。


「じゃあ、チョコレートケーキでお誕生日おめでとうして、バレンタインと誕生日を一緒にするとか」
「そんな多忙な人向けライフハックなら遣らん方がましだ! 良い事閃いた的な顔をするな!!」



ライフハック
「しょうがないなぁ。大人のチョコバットの恵方巻きだけで我慢してあげるよ」
「名称が意味深すぎるから色々と止めろ!」


end
(2015/02/10)
27/40ページ