かむあぶ 2

「阿伏兎。最近の地球は異常気象なのかな?」
「さぁな、まあ、こんな時もあるだろうさ」
「せっかく地球のお祭りを楽しみに来たのに、台無しだね」

珍しい事はするものではなかったのだろうか。
暫く先の仕事まで処理して地球に来たはいいが、まさか急な大雨が来るとは思わなかった。
地球人達が傘がなくバタバタと走り回る中、土砂降りの雨を眺めながら神威は残念がった。

「どうせ、あんたは食うことしか考えてなかったんだろ?」
「酷いなぁ、阿伏兎は。地球のお祭りっていえば屋台がメインだろ?」
「いや、普通は花火や神輿がメインだ」
「射的とか一回やってみたかったのになー」

狙撃なら自信あるのに、と番傘の柄を握りながら言う神威。
その狙撃に使われる銃弾が、どう考えてもコルク製の可愛らしい物を想像しているとは思えなかった。

「棚から落とせば全部もらえるんだよね、地球の射的って」
「傘の銃弾ぶっ放したらテロ組織に間違われるからな。このすっとこどっこい」
「あり? 射的の銃って自前のじゃないの?」
「店一軒大破させるつもりか、あんたは」

どれだけ商品を根こそぎ持って行く積もりだったのか。
もっとも、この大雨ではせっかくの屋台も店仕舞いしている所が殆どだった。
止みそうにない雨を眺め、ため息しか出なかった。



ゲリラ豪雨と祭り
「お祭り残念だったね、阿伏兎」
「なに、次も来ればいいだけだ、団長」


end
(2013/09/09)
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