かむあぶ 2

「俺が特定の人物を見続けてたらどう思う?」
「大方、見続ける先の人物が持ってる食い物を見てたってオチだろ」
「阿伏兎って想像力が貧困だね」

もう少し違う回答が欲しかったのにと言わんばかりの口調で言う神威。
勝手に不名誉なレッテルを張られた阿伏兎は、それ以外何があるんだと神威へと視線を向けた。

「例えば、俺が本気で好きになってたとか」
「ほぉ、団長が他人をねぇ?」
「想像できない?」
「出来んな。あんたは他人を見続けること自体無理だろ」
「それって、俺が阿伏兎以外を見る事なんてないって言う告白?」
「何処をどうしたらそんなアホな結論に行けるんだ」
「他人なんか見続けない=俺は阿伏兎の事見続けてるからそんなことあり得ない、っていう考え方」
「何処の世界にそんなぶっ飛んだ考え方があるんだ、このすっとこどっこい」

くだらん話だったなと、また新聞に視線を戻した。

「たく、暇すぎて他に考える事もなくなったのか?」
「いい事だろ、それこそ平和な日常なんだから」
「はいはい、こっちは年の暮れも年の初めも、年がら年中あんたと一緒なのが日常ですよ。コンチクショー」


end
旧:拍手文
(2013/01/02~02/11)
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