銀阿

「くかー……」

ドタバタ

「…………」

ドタドタバタバタ

「………………」

ドッ


「うるせぇ! このすっとこどっこい! 人が寝てるときに耳もとで走るな!!」

ガバリと起き上がり、近くにいた人物の頭を掴む。


「……何やってるんだ、銀時の旦那?」
「あー、いやね、ほら、子供たちが煩くて阿伏兎が起きちゃったかなーと思って見に来ただけだから、けっして、寝てる姿見てキスしちゃおうかなーなんて思ってないから」
「旦那、本音が出てるんだが?」
「えっ、いや、ちがうんだよ! 確かにキスしちゃっても良いかなーと思ったけど!!」

ガッシリと頭を掴まれたまま焦る銀時に、ため息をつきながら放した。


「まぁ、団長だと思って、思いっきり掴んで悪かったなぁ」

血をダラダラと流している銀時を見て、悪びれもせず言う。

「いやー、すごくない? 片手で頭メキメキ言わせられるって、銀さんびっくりだよ……」

手鏡で自分の様子を見ながら、血が流れてくるのを袖で拭く銀時。


「俺は寝る、静かに寝かせてくれ……」

徐々に声が小さくなり、気絶するように眠り始める阿伏兎に、これは相当疲れてるなぁ、と思う銀時だった。


「おやすみ、阿伏兎」

スヤスヤと眠るその顔にキスをしてから立ち上がり、頭を掻きながら歩き、そっと襖を閉めた。



惰眠する兎
「しゃーねぇ、神楽達を外に連れてくか」


end
(2010/02/11)
1/15ページ