かむあぶ 2

「阿伏兎ー、あげる」
「……団長。それは此方の目が正常であればチョコですかねぇ?」

差し出されたのは特大ハートチョコ。
別段用意はしていなかったが、やらんといかんだろうなと思っていた矢先の事だった。

「ホワイトデーは三倍返しだよ」
「それでか……」

たしかに、特大チョコの三倍返しは高くつく。

「まぁ、目先の利益に囚われない立派な考え方ではあるな」

受け取ったチョコを食べやすくするために力を加えながら呟いた。
パキリと軽い音を立てて割れたハート型チョコ。

当然のように大きい方の欠片を神威に渡そうとして、首を傾げた。

「どうかしたか、団長?」
「阿伏兎……もう少し考えて分けない?」

差し出されたチョコの半欠片をじっと眺め、何とも言えない顔をする神威。
微妙な顔をする相手に、何が悪かったのかと疑問に思いながら眉を寄せた。

「こっちの小さい方がよかったのか?」
「そうじゃなくて、形が」
「食えれば一緒だろ?」
「うん、そうだけどね。縦半分の方が割りやすかったかもしれないけどね。もう少し形を考えようか、阿伏兎」



ハート型
縦半分でハートブレイク型。


end
(2012/10/08)
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