かむあぶ

「阿伏兎ーちょっと直射日光浴び過ぎて気持ち悪くなってきた」
「ほー、奇遇だな団長、俺もだ」

ぐったりと甲板にダウンする神威と阿伏兎を離れた所で眺め、また子はため息を吐いた。


「万斉先輩、マジなんなんスかアイツら。軟弱にもほどがあるっスよ」
「あれも夜兎の習性でござろう。日光に弱いとは、聞いていたが本当であったとは」
「たかだか日光の下にちょっと居ただけでアレとか、ありえないっスよ」

舌打ちをしそうな勢いのまた子に、たしなめる様に武市は口を開いた。

「砂漠地帯の直射日光は殺人的なもの。貴方も日焼け止めをしないとすぐに焼けますよ?」
「うるさいっスよ、ロリコン」
「ロリコンじゃありません、フェミニストです」
「だいたい日焼けなんて少しすれば治るっスよ」
「分かっていませんねぇ。見なさいあの人物達を貴方より数百倍は色白ですよ?」
「…………」
「紫外線と言うものは浴び過ぎると外見年齢がどんどん上がっていくんです。若い内のケアは大切ですよ。ああ、もっとも貴方にはもう遅い話でしたけど」

青筋を立てたまた子は、無言で武市に向けて発砲した。

「余計なお世話っス」
「まったく、乙女心を分かっていない……」

倒れ伏す武市を眺め、嘆かわしく万斉は首を振った。
傍で漫才並みの会話をしている部下達をしり目に、高杉は神威達へと近づいた。

「ダウンしてる所悪いが、そろそろ大掃除の時間だ」
「……団長。仕事だ」
「よーし、張り切って行こうか、阿伏兎」

ニッコリと笑い、日よけ用の包帯を阿伏兎に用意させた神威は軽い足取りで高杉についていった。



ふざけんな!
「マジなんなんスか!? 腹立つっスよ! ぜってー舐めてんだろアイツらァアアア!!」


end
(2012/01/10)
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