かむあぶ

「阿伏兎、俺のために毎日みそ汁作ってくれる?」

ガシリと手を握られ、いつもの笑顔ではなく、青い瞳で見据えながら言われた。


「……………………はぁ?」

たっぷりと時間を置いてから返した言葉は、かなり間の抜けた言葉だった。


「だから、俺のために毎日みそ汁を作って」
「まてまて、何で俺がそんな面倒なモンを作らんといかんのだ? それと、あんた確か沢庵さえあれば米一升食えると豪語してただろ」
「気が付いたんだよ阿伏兎、確かに沢庵があれば一升は食べられるけど、みそ汁があれば三升は軽いと思うんだ」
「それと俺と何の関係があるんで?」

みそ汁なんて、あんたに作りましたっけ、とかなり身も蓋もない事を思いつつ、理解不能な目の前の人物を見る。


「俺色に染まれよ阿伏兎」
「ピンク色にか?」


オジさんにピンク色はきつくないか、団長様……


「ねぇ、阿伏兎、これ以上言わないと分からないの?」

フッとため息をつき、アンニュイな空気を漂わせる神威。


「変なもんでも食べたのか?」
「阿伏兎……せめて気付こうって言う努力をしようよ、いいかげんヤっちゃうぞ?」
「だから、何がだ?」
「だ・か・ら」



ベタでも良いですか?
「結婚しようよ、阿伏兎」
「すみません団長、耳が拒否をしました」


end
(2010/02/12)
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