かむあぶ

「阿伏兎、明日は会議だっけ?」
「そうだな……できれば会議中は大人しくしてろ団長」
「勾狼団長の隣はヤダよね。何か犬小屋の毛布みたいな臭いがするから」
「本人の前では言うなよ……このすっとこどっこい」

阿伏兎と話しながら、並んで寝るのなんて久しぶりだなと頭の中で考えた。
大抵が別の部屋だし、同じベッドで普通に何もしないで寝るなんて稀だし。
まぁ、たまにはいいかと思った。
うつらうつらと船を漕いでる阿伏兎を見て、声を立てて笑いそうになった。

無理しなくてもいいのに、つまらないだろ?
どうでもいい内容ばっかり話してるなんてこっちの方がよくわかってるよ。
本当に、阿伏兎って俺に甘いよね?
いつも寝不足だって口にしてるのに、俺が会話を止めないかぎりずっと付き合うつもりだろうね。


「ねぇ、阿伏兎、聞いてる?」
「ん……はいはい……聞いてますよ、団長」


アハハ! 相当船を漕いでたね。それでも、言葉を返してくれるんだ。
もう少ししたら俺も寝るよ。だから、あと少しだけ――



おやすみの後
二人きりの会話をしようよ、阿伏兎。


end
(2011/04/08)
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