かむあぶ

「阿伏兎って最近苛ついてるね」
「そうですかい?」
「苛ついてるのって、俺が他人と一緒にいるときばっかりだね」
「勘違いも甚だしいか、ただの自意識過剰だと思いますがねぇ」
「恋人が他人といるのが苛立つって何て言うか知ってる、阿伏兎?」
「だから見当違いだろ、このすっとこどっこい。誰が団長が他人といるだけで一々腹が立つと?」
「惚けるのが上手いね」
「惚けるも何も、端っから団長の多大なる勘違いだろ」


「ふーん……ああ、そうだ、阿伏兎にはまだ言ってなかったけど。この後、第四師団長と食事することになったんだ」
「――それはそれは、出来るだけ相手を怒らせないように頼みますよ。他師団と軋轢はできるだけ避けたいも「ほら、その態度が証拠だろ?」
「……はぁ?」
「他人の事を俺が出しただけで自分が不機嫌な口調になったの気づかなかった?」
「不機嫌な口調も何も、いつも通りだろ」
「そんな顔してるのに?今の阿伏兎の顔、不機嫌そのものだよ」
「だから勘違いだろ。不機嫌そうに見えてると言うなら、そりゃ団長が不用意に他人との予定を言うからだろ」


「俺が他人との予定を言ったから、か……阿伏兎、素直にヤキモチ焼いてたって言った方が早いと思うよ?」
「はあ? 何処をどう勘違いすればそ「無自覚って怖いね」
「人の話を聞け」


end
(2011/01/26)
字書きさんに書き方で10題
9.台詞のみの小説を書く
配布元:TOY
82/100ページ