かむあぶ
「団長にもサンタを信じていた時があったとは、驚きですよ」
目の前の敵が半数ほど倒れた事を確かめてから、阿伏兎は神威へと聞き返した。
のんきな事を言うべき場所ではないとは自覚しているが、気を紛らわさないと嫌気が差しそうな状況だった。
数ばかりが多い弱い敵を倒すのは、根気ばかりがいる作業だった。
「阿伏兎、俺にも純真な時もあったんだよ?」
「自分で純真だと言っていれば世話はないもので」
「でも結局サンタなんていないって分かってから純真じゃなくなったけどね」
「ほぉ、団長がサンタ離れしたのはいつですかねぇ?」
銃弾を放ちながら、阿伏兎はからかい半分に訊いた。
傘で敵を薙ぎ払っていた神威は、その問いに一息ついてから言葉を返した。
「阿伏兎に初めて会った年のクリスマス」
「ん? 随分と早いサンタ離れだな。たしか、まだ団長がかなり小さい時だったろ?」
「そうだけどね。その年のプレゼントが願ってたやつと違ってたんだ」
「よくある話だ」
おそらく鳳仙か星海坊主がプレゼントを間違えたのだろう。
その情景を思い浮かべ、阿伏兎は苦笑した。
「あれさえなければ、もう少し信じてたと思うのに」
「ちなみに、その時団長が欲しかったプレゼントは何ですかねぇ?」
悔しそうに言う神威に、いまだに苦笑しながら阿伏兎は訊いた。
「阿伏兎」
「はい?」
名を呼ばれ返事をした阿伏兎は、最後の敵を倒した後、何かと思い神威を見た。
「だから、阿伏兎が欲しいって思ってたのに、プレゼントが阿伏兎じゃなかったんだよ」
それでサンタなんていないって気付いたんだ、と続ける神威。
その言葉に、暫くの間阿伏兎は沈黙した。
赤と緑の日の質問
何と言って良いものかと迷う回答。
end
(2010/12/25)
目の前の敵が半数ほど倒れた事を確かめてから、阿伏兎は神威へと聞き返した。
のんきな事を言うべき場所ではないとは自覚しているが、気を紛らわさないと嫌気が差しそうな状況だった。
数ばかりが多い弱い敵を倒すのは、根気ばかりがいる作業だった。
「阿伏兎、俺にも純真な時もあったんだよ?」
「自分で純真だと言っていれば世話はないもので」
「でも結局サンタなんていないって分かってから純真じゃなくなったけどね」
「ほぉ、団長がサンタ離れしたのはいつですかねぇ?」
銃弾を放ちながら、阿伏兎はからかい半分に訊いた。
傘で敵を薙ぎ払っていた神威は、その問いに一息ついてから言葉を返した。
「阿伏兎に初めて会った年のクリスマス」
「ん? 随分と早いサンタ離れだな。たしか、まだ団長がかなり小さい時だったろ?」
「そうだけどね。その年のプレゼントが願ってたやつと違ってたんだ」
「よくある話だ」
おそらく鳳仙か星海坊主がプレゼントを間違えたのだろう。
その情景を思い浮かべ、阿伏兎は苦笑した。
「あれさえなければ、もう少し信じてたと思うのに」
「ちなみに、その時団長が欲しかったプレゼントは何ですかねぇ?」
悔しそうに言う神威に、いまだに苦笑しながら阿伏兎は訊いた。
「阿伏兎」
「はい?」
名を呼ばれ返事をした阿伏兎は、最後の敵を倒した後、何かと思い神威を見た。
「だから、阿伏兎が欲しいって思ってたのに、プレゼントが阿伏兎じゃなかったんだよ」
それでサンタなんていないって気付いたんだ、と続ける神威。
その言葉に、暫くの間阿伏兎は沈黙した。
赤と緑の日の質問
何と言って良いものかと迷う回答。
end
(2010/12/25)