かむあぶ
可愛らしいと思った。
ショタコンなどの特殊性癖ではなく、ただ単純にそう思った。
子供特有の大きい目、ピンク色のおさげ髪を垂らし、鳳仙の旦那の隣をヒョコヒョコと付いて行くガキ。
子供の顔は無条件に可愛らしいと思えるものらしいと、どこぞの本に書いてあった文章を思い出した。
場違いとは言わないが、戦場では異様に目立つ子供。
もっとも、強さはそこそこにあるらしいので、特に手助けなどはした覚えがなかった。
今でも、まぁ十中八九可愛らしいと言える容貌だと思う。
黙って真面目な顔さえすれば端整な顔立ちだ。
むさ苦しい顔が多い夜兎族の中で、強い上に容姿端麗、文句の付け所が無い成長振りだと思う。
これでその遺伝を受け継いだ子供が出来たら、それこそ夜兎の将来は明るいとさえ思った。
今の状況さえなければ……
「阿伏兎、何考えてるの?」
「何処で間違えたかと、人生の選択時を思い出してただけだ」
「間違えたって思ってるんだ」
「まぁ、世間一般からすれば十分に外れているでしょうよ」
何処で間違えたのか、何がいけなかったのか、気がつけば男色道まっしぐら。
お先真っ暗どころの話ではない。
宥めて、賺して、脅して、最後には泣き落とし……とまでは言わないが、泣き言のように訴えかけたが全て流された。
「阿伏兎、またこんな感情は一時の気の迷いだって言うつもり?」
「いえいえ、流石にもう言いませんよ」
断固たる意思を若気の至りだと訴え続けるのも疲れた。
「じゃあ、答えてくれる?」
ニッコリと笑う顔が、無邪気だったガキの頃の顔とダブった。
まったく、出来る事なら泣き出したい気分だ。
あの可愛らしかった奴が告白してくるなんて誰が思う?
出来れば老い先短い、歳から考えれば親子だと言っても納得されそうな年齢の男なんて止めておけと言いたかった。
それでも、答えを待つ目がある。
そろそろ腹を据えないと駄目かと、ため息をついた。
「あんたが飽きるまでの間……好きにしろ、このすっとこどっこい」
次の瞬間、見惚れるほどに嬉しそうな顔で抱き付かれた。
時が経つのは早いもので
飽きる訳なんてないだろ、と可愛らしいガキだった青年が言った。
end
(2010/12/23)
ショタコンなどの特殊性癖ではなく、ただ単純にそう思った。
子供特有の大きい目、ピンク色のおさげ髪を垂らし、鳳仙の旦那の隣をヒョコヒョコと付いて行くガキ。
子供の顔は無条件に可愛らしいと思えるものらしいと、どこぞの本に書いてあった文章を思い出した。
場違いとは言わないが、戦場では異様に目立つ子供。
もっとも、強さはそこそこにあるらしいので、特に手助けなどはした覚えがなかった。
今でも、まぁ十中八九可愛らしいと言える容貌だと思う。
黙って真面目な顔さえすれば端整な顔立ちだ。
むさ苦しい顔が多い夜兎族の中で、強い上に容姿端麗、文句の付け所が無い成長振りだと思う。
これでその遺伝を受け継いだ子供が出来たら、それこそ夜兎の将来は明るいとさえ思った。
今の状況さえなければ……
「阿伏兎、何考えてるの?」
「何処で間違えたかと、人生の選択時を思い出してただけだ」
「間違えたって思ってるんだ」
「まぁ、世間一般からすれば十分に外れているでしょうよ」
何処で間違えたのか、何がいけなかったのか、気がつけば男色道まっしぐら。
お先真っ暗どころの話ではない。
宥めて、賺して、脅して、最後には泣き落とし……とまでは言わないが、泣き言のように訴えかけたが全て流された。
「阿伏兎、またこんな感情は一時の気の迷いだって言うつもり?」
「いえいえ、流石にもう言いませんよ」
断固たる意思を若気の至りだと訴え続けるのも疲れた。
「じゃあ、答えてくれる?」
ニッコリと笑う顔が、無邪気だったガキの頃の顔とダブった。
まったく、出来る事なら泣き出したい気分だ。
あの可愛らしかった奴が告白してくるなんて誰が思う?
出来れば老い先短い、歳から考えれば親子だと言っても納得されそうな年齢の男なんて止めておけと言いたかった。
それでも、答えを待つ目がある。
そろそろ腹を据えないと駄目かと、ため息をついた。
「あんたが飽きるまでの間……好きにしろ、このすっとこどっこい」
次の瞬間、見惚れるほどに嬉しそうな顔で抱き付かれた。
時が経つのは早いもので
飽きる訳なんてないだろ、と可愛らしいガキだった青年が言った。
end
(2010/12/23)