かむあぶ
気になったことは何度かあった。
第七師団の団長の給与が莫大量であることは検討がついているが、その金を何処に使っているのか。
食い道楽にしても、破壊に対する損害賠償にしても、迷惑ながら第七師団専用の経費で落ちる。
「なあ、団長。あんたいつも金を何に使ってるんだ?」
「え? そんなの決まってるだろ」
もっと渋るかと思ったが、意外とあっさりと答えてきた。
「阿伏兎との結婚のために積立貯金してるんだよ」
新婚生活分も入ってるけど、と続けられた言葉に、不覚ながら数秒間思考が停止した。
此処が戦場だったら、間違いなく死に繋がるほどの思考停止後、ふっ、と頭を振った。
「将来の女の嫁さんのために、コツコツと貯めていることを知って安心しましたよ、団長」
「阿伏兎……ちゃんと聞いてた? 俺と阿伏兎のだよ?」
「あー、えらいですねぇ。ちゃんと将来の女との事を考えてくれて、こちとら安泰ですよ!」
声を大にして言い返し、今までの会話は幻聴だったと自分に言い聞かせた。
「ねえ、聞いてる? どう聞けばそうなるの?俺は阿伏兎としか結婚する気ないんだよ」
「団長、ちょっと耳鼻科行ってきます」
「そうした方が良いね。治ったら今度はプロポーズしてあげるから」
「空耳か幻聴だと思わせろ、このすっとこどっこい……」
追い撃ち
悪足掻きできない事ばかり
end
(2010/12/07)
第七師団の団長の給与が莫大量であることは検討がついているが、その金を何処に使っているのか。
食い道楽にしても、破壊に対する損害賠償にしても、迷惑ながら第七師団専用の経費で落ちる。
「なあ、団長。あんたいつも金を何に使ってるんだ?」
「え? そんなの決まってるだろ」
もっと渋るかと思ったが、意外とあっさりと答えてきた。
「阿伏兎との結婚のために積立貯金してるんだよ」
新婚生活分も入ってるけど、と続けられた言葉に、不覚ながら数秒間思考が停止した。
此処が戦場だったら、間違いなく死に繋がるほどの思考停止後、ふっ、と頭を振った。
「将来の女の嫁さんのために、コツコツと貯めていることを知って安心しましたよ、団長」
「阿伏兎……ちゃんと聞いてた? 俺と阿伏兎のだよ?」
「あー、えらいですねぇ。ちゃんと将来の女との事を考えてくれて、こちとら安泰ですよ!」
声を大にして言い返し、今までの会話は幻聴だったと自分に言い聞かせた。
「ねえ、聞いてる? どう聞けばそうなるの?俺は阿伏兎としか結婚する気ないんだよ」
「団長、ちょっと耳鼻科行ってきます」
「そうした方が良いね。治ったら今度はプロポーズしてあげるから」
「空耳か幻聴だと思わせろ、このすっとこどっこい……」
追い撃ち
悪足掻きできない事ばかり
end
(2010/12/07)