かむあぶ

じーっと見つめられ、相手の視線がやけに突き刺さった。
箸を休め、何だと思えば、神威の前に置かれた皿にはすでに料理は無かった。
机の上にあるのは自分の食事のみだという事を理解してから、口を開いた。


「追加注文でもしたらどうだ」
「やったよ、でもまだ来ないんだ」

神威の言葉に、係りは何をやっているんだ、と内心で舌打ちした。
神威の食事だけは早く持ってくるようにと、後で忠告をしようと決心した。

「阿伏兎の方が、量が多かったの?」
「団長より食べるペースが遅いだけだ」
「ふーん……」

またじーっと見つめられ、視線が突き刺さる。
ため息をついてから、本日のメインであるエビフライを箸でつまみ、神威へと近づけた。


食事のペース
自分が食べ終わる頃には、相手は何食食べ終わる事やら……


end
(2010/08/20)
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