牧 紳一
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は牧君とお付き合いをしている。
この関係をみんなが認知した頃、隣のクラスの子が話しているのを耳にした。
「牧君と佐藤さんって恋人っていうより兄妹っぽいよねー」
これを牧君が聞いたらどう思うかわからないけれど、少なくとも私は傷ついたし、悲しかった。
牧君は大学生みたいな容姿に落ち着いた雰囲気。
学年の男子よりダントツで大人っぽい。
それに比べて私は反比例するかのようなステータス。
低身長に童顔なせいで未だに中学生に間違われる。
その分普段は落ち着いた行動を心がけている。
あまり効果はないけれど…。
もう来年は私も大学生だし、牧君の隣にふさわしい女の子になりたい。
その会話を聞いてから、今の私が彼女にふさわしいのか、私は自信がなくなってしまった。
「秋、お昼どこで食べる?晴れてるし中庭行くか?」
「んー…、教室のままでいいかなー。」
「最近は教室で食べるのがお気に入りだな。俺は食堂とかも意外と好きだが。」
「お気に入りぃ…うん、そうかも。」
本当は中庭に行きたい。
あったかいお日様を感じながらお昼ご飯なんて最高すぎる。
けれど人目が多い。
そうするとまた比べられてしまう。
もう一度傷つくのが怖いのだ。
「…あのさ、秋。ここのところ元気なさそうに見えるんだが、なんかあったか?」
「え?!…いや、そんなことないよ?普通じゃない?」
「そうか、言いにくいなら言わなくて構わないが、俺に出来ることがあれば頼ってくれよな、秋の力になれたら俺も嬉しい。」
「…ありがとう、でも何にもないから安心して?ご飯食べちゃお!」
今の私には、この感情を、あの言葉を、どう処理していいのかわからない。
牧君に相談するとどんな反応をするのだろう。
臆病な私は牧君に相談なんて出来そうもない。
「それで友達の私になら相談できるってわけ?」
「友達ですから、カナちゃんは私達のことどう思う?」
「んー、そう見えちゃうのも事実だけど、秋が考えてるほどみんなも気にしてないと思うよ?牧君と付き合えないからって嫉妬で言ってんのよ!」
「そーかなぁ…」
「そーよ。嫉妬、嫉妬!!」
友人・中村カナちゃんの言う通り、私が気にしすぎなのかな?
でも、だって、と負の感情は考えれば考えるほど溢れてくるのだ。
せっかくカナちゃんに相談に乗ってもらったのだ。
同級生の嫉妬だったと解釈して、そろそろ前向きに生活しなければいけないと思う。
頑張ろう。
数日後の放課後。
部活を終えてクタクタであろう中、牧君はすごい形相で私の元へ走ってきた。
「秋!!秋、中村から聞いたぞ…俺と別れたいって…なんで…」
「はぁっ?!!!ちょ、何言ってるの?!えぇ!!カナちゃんから何言われたの?!」
走って来たと思えば突拍子もない事を口にする。
別れたいなんて思ったこと一度もない。
「…ち、違うのか…?」
「違うに決まってるよ!!私牧君のこと大好きだもん!!」
パニックのまま勢いで愛を叫んでしまったことに気づく。
気づいた時には牧君の顔は真っ赤だし、私もつられて真っ赤になってしまう。
「…あ…ありがとう、俺も、好きだ、好きだから!……よくわからないが、嘘でよかった…」
「絶対そんな別れるなんて言わないよ!!そうだ、カナちゃんに何言われたのか聞かせてよ」
牧君の説明を要約すると、私が容姿の差を気にして別れようか迷っている。と言われたらしい。
ずいぶん捻じ曲げられて伝えられてる。
きっと解決に導くのにわざと大げさにしたのだろう…失敗したらどうするつもりだったんだ…。
「別れるなんて考えは微塵もなかったけど、容姿の差に悩んでたのは本当だよ…みんなから見ると私達って兄妹に見えるんだって…。それがショックでさ、牧君まで傷つけたらって思うと相談出来なかったんだ、ごめん。」
「そうだったんだな…」
牧君は少し考えて、私に向き合う。
「周りがどう思おうと関係ないし、周りが思ってるより俺は大人じゃない。高校生らしい付き合いが俺にはわからないが、その…人並みのカップルみたいに、抱きしめたり、……キス、だったり、したいと思ってる…。」
「ぇ、へー…?そっか、…そうなんですか……。」
「秋は、嫌か?」
首を横に振る、牧君から、そういった、色めいた単語を初めて聞いたので、驚いてしまった。
“嫌じゃない”
そう意思を伝えた後、お互い顔を赤くして、縮まらない身長差を埋めるように近付き
初めてキスをした。
「…嫌じゃ、なかったか?」
「うん…、ありがとう、嬉しいよ。」
「俺もよく老けてるって言われるが、俺より老けてるやつもいるし、秋がこんな俺でも好きでいてくれたなら、俺は嬉しい。もちろん、秋がどんな容姿でも俺はずっと側にいたい。そんな、相応しいかどうか何て、もう考えるんじゃないぞ。」
「そっか、そうだね。私も牧君のこと大好き!ずっと一緒にいさせてね!」
「もちろんだ!」
そう言って抱きしめてくれた。
負の感情を打ち消すことが出来て、また牧君と、笑顔で学校生活を過ごして行けそうです。
「前から気になってたんだが、そろそろ俺の事名前で呼んでくれてもいいんだぞ?」
「照れるなぁ…紳一、くん…?」
「…嬉しいからもっかい呼んで欲しい。」
「えー!?明日!!明日からちゃんと呼ぶ!!恥ずかしいから今日はダメ!!」
周りの人がドン引きするくらい、周りの目が気にならなくなるくらいの
世界一のバカップルになれたらいいな、なんて。
紳一くんの隣は誰にも譲らないんだから!
2/2ページ