お隣さんの花形さん
名前変更
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先週、お隣さんの花形くん改め、透と話してから校内で彼の姿を追うようになった。
学年は違うから気にかける回数なんて微々たる回数なのだが。
そこで私は彼がバスケ部でとても要の選手で、校内では名が知れていて、すごくモテモテな男の子だと言うことを知った。
彼が教室の前を通れば教室の女の子達は高ぶる気持ちを抑えて彼への好意の言葉を囁き合う。
“かっこいい”
“素敵”
“付き合いたい”
色んな言葉が聞こえてくる。
そうか、彼はかっこいいのか。
確かにそうかも、と最近納得している。
私は第一印象が「この人背高すぎる怖い」とマイナス思考の中出会ったのでそんな風に見ていなかった。
そんな女子がきゃっきゃと騒いでいるのを友人のかなちゃんと眺めていた。
「すごいねぇ〜、人気者って。秋って家近いんでしょ?一緒に登下校しないの?」
「しないねー。お友達になったの先週だよ?全然そんなのないよ。」
「へー。昨日1組の山崎さん、告ったけどフラれたらしいよ〜。」
「あらぁーお気の毒に。新しい恋が見つかればいいねー…ってこの会話おばちゃん同士の噂話しっぽくてやだー、やめよ?」
「いいじゃん井戸端会議、楽しいよ?」
私達はモテモテの彼には興味がない。
かなちゃんには彼氏がいるし、私は歳の近い男の子って嫌な思い出しかないので恋愛とかしたくない。
他人の恋愛は私たちにとっては雑誌の特集と同じようなものなのだ。
まぁ、だから井戸端会議と言われても強く否定は出来ないのだが。
否定する、何故なら私達は乙女なのだから。
慎ましくありたいものだ。
放課後、天気予報が外れてしとしと雨が降ってきてしまった。
傘を持ってない生徒が大勢いる中みんな昇降口で雨が止んでくれないか空を見つめていた。
かなちゃんは折りたたみ傘を彼氏さんと相合傘をして嬉しそうに帰っていった。
それを横目に独り身の男子はカバンや学ランを頭にかぶせ悔しそうに走り去っていくのを私は見ていた。
私も帰るためにどうしたらいいか考えた末にだした結論は、お隣さんの透に傘がないか相談しに行くというものだった。
彼は部活動やってる人だからもしかしたらバスケ部に置き傘が余ってるかもしれないと読んだのだ。
早速昇降口を後にし、体育館へ向かった。
「とぉ…あー…花形くんいますか?」
学校で下の名前を皆の前で呼ぶのは少し気が引けてしまい言い直す。
「あ、秋だ。どうしたんだ?まだ帰らないのか?」
「帰りたいんだけど傘なくて、バスケ部は人数いるし、置き傘余ったりしてないかと思って相談しにきました。」
「そうか、悪いが同じ考えの奴が多くて、余ってた数本は全部持ってかれている。」
遅かったか、と肩を落とす。
知り合いはいないが他の部活もあたってみようか顎に手をあてて考え込んでいた。
そこに透から声が降りかかる。
「もう少し待っててくれ、雨降ってるから今日の部活、早く切り上げるんだ。一緒に帰ろう。」
「…え?とお、…花形くんは傘持ってるの?」
「あぁ。折りたたみだがな、ロッカーに入れっぱなしの俺の置き傘だ。」
「私に貸してくれる感じですか?」
「??…家が隣なんだ、一緒に帰ろうぜ?」
思わず、カナちゃんとの昼の会話を思い出した。
今朝は否定しましたが、今日一緒に下校することになりました。
明日訂正をしなければ。