一歩踏み出す誕生日
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「いやぁー、おめでとうお二人さん。随分と時間がかかったねぇ〜?5年だよ5年!愛だね若いね〜!そう思わないかいサカズキ?」
「なんでワシまで呼ぶんじゃ此奴の恋愛事情なんてどうでもええわい、全員さっさと仕事せぇバカモンが。」
「申し訳ありませんっ!赤犬大将!」
「秋ちゃんよしてよ、俺的には知って貰ってた方が色々と楽出来るから報告しときたいんだよ、座って。」
彼女の手を引いて座らせる。
言い方は大変良くないが監視は多い方がいいに決まってる。
こんな男まみれの職場でナニされたっておかしくないし、今更だがこんな危ない職業なんだ。いや彼女だって海兵の中じゃ新入りよりも強いけども。
俺の目の届かないところで何かあってからでは遅い、付き合ってすぐこれは独占欲強いなぁおれ。
「まあ、なんだ、今後秋ちゃんを見かけたら気にかけて欲しいんだ。悪い虫がよってたら潰しといてよ、俺が潰してもいいけどさ。」
二人を見て話していたら二人揃って不思議そうな顔をする。
「クザン秋ちゃんに仕事続けさせる気なのか〜い?」
「甲斐性なしな男じゃのお、寿退社くらいさせたらええもんを自分に嫁ぐ女を今後も海の戦さ場に送り込む気とは信じられんわい。」
どうやら二人は嫁は家で大事にしておきたい派の様だ。
だが俺は違う。
「俺は四六時中秋ちゃんと一緒に行動したいんだよ、でも俺の仕事について来れない場合も出てくるだろうし秋ちゃんだってそれなりに仕事もある…戦場には行かせないよ俺が根回しする。」
「え!私もっと強くなる為訓練積みますので大丈夫です!今まで通り任務こなします!根回しなんて必要ありません!」
「俺が嫌なんだよー…傷だらけで帰って来たら俺その任務同行してた奴全員に八つ当たりする自信があるぜ?」
「そんなのよくないです、無傷で帰りますので…!」
「俺の下にいる限りではそんな易しい任務ないのわかるでしょ…でも部署移動なんてさせたくない。だからしばらく任務は俺権限で行かせません。」
「そんなぁ…、では黄猿大将のところに部署移動は難しいでしょうか?黄猿さんの部署は戦闘もありますが情報収集の方が多いですし、黄猿大将のところなら青雉大将も不安要素ないでしょうし。」
「不安はないけど不満だからダメ。仕事中なんで俺が一人でボルサリーノが秋ちゃんと仕事できるの…おかしいでしょ…。」
「仕事ですからなにもおかしな事ありませんよ…随分と寂しがり屋なんですね青雉大将って、意外でした。」
「そ、おれ寂しがり屋だから寂しくて死んじゃったら困るだろ?一緒にいてくれよ秋ちゃん…。」
「気色悪い男じゃけえのぉ…。」
「惚気るのはわっしらが退室したあとにしてくれないかぁい?わっしのとこに移動するのは歓迎するよぉー!なんなら昇級させて指示出す役に置いてあげるよぉ。」
「ボルサリーノ!それだ!おれの部署で昇級させよう!」
「職権濫用にしても私的すぎます青雉大将!私それでは胸はって正義を通せません!」
「秋ちゃんの胸はみんなに張んなくていいの!正義は別の形で通せるように今後立場整えるから待ってて。」
「青雉大将!…赤犬大将も黄猿大将も何とか言ってください!」
「お前の選んだ男じゃろが、自分でなんとかせえ。」
「サカズキの言うことも一理ある、でも今からこんなんだと先が思いやられるねぇー。こんなみっともない青雉大将嫌いになっちゃったかい?」
おいおい付き合ってまだ1日も経ってないぞ勘弁してくれ。
と思い秋ちゃんの顔を見る。
秋ちゃんは顔をみるみる赤くしていき小声で「…大好きです。」と言った。
嬉しくて抱きしめたら
見かねたサカズキがキレた。
「いい加減にせえ!!わしは仕事に戻る!!次から要件がまとまってから呼びつけろアホらしい、付き合っとられんわい!!」
「おー怖い怖い。まあ、わっしもそろそろ失礼するよお、職場でお熱いのも大概にしときなよクザン。んじゃあねぇ〜。」
返事するまもなく出ていく2人を、抱き合うまま見送り彼女とちゃんと話し合わなきゃいけないと気づく。
「おれも勝手してるのは少しくらい悪いと思ってるけど、秋ちゃんは家庭に入りたい派なの?」
「出来ることならこのまま海兵を続けるつもりでしたが、今日の青雉大将の言動を見て海兵を辞めるべきか…少し揺らぎました……。」
俯く秋ちゃんを見て俺までどこまで願望を押し付けていいものか、考えさせられる。
秋ちゃんという女性は、おれが我儘を言うくらいで折れるやわな女ではないらしい。
「青雉大将…、クザンさんに傷ついて欲しくないのは私も同じです。
けれど海軍を辞めて欲しいなんて微塵も思いません。
私がどれだけ訓練を積んでもクザンさんの右腕になれる日なんて来ない事くらい、自覚しております…でも、今までもこれからもクザンさんの目指す正義に少しでも力になれたらと、未来に向けて力をつけている所存です。」
「秋ちゃん…。」
「クザンさんは、傷の多い女は好きになれませんか…?」
「そんなことねえ。」
彼女の言葉で自身の考えが幼かったなと反省した。
「おれは欲張りなんだわ、これからもっと我儘増えるけど大丈夫?」
「ふふ、…欲張りなのは私も負けませんよ?全部対処してみせます。」
「そうかい?」
誰もいない部屋なのをいいことに彼女の頬にキスをした。
彼女の顔はみるみる赤くなって百面相をしていた。
喜怒哀楽がぐるぐるしている感じで、言葉を発する時に出ていたのは“怒”の顔だった。
「就業時間内にこういった行動は慎むべきです青雉大将!!」
「名前で呼んでって昨日からお願いしたでしょー」
「今は就業時間内なので上司と部下です!!う、嬉しいですがダメです!!公私混同が過ぎる様でしたら私は黄猿大将の部隊に移動願いを致しますので…!!もうっ…もぉ〜…!」
余裕のない彼女を見るのがしばらくの楽しみになりそうだ。
「そう怒らないで、今日の夜一緒にご飯でもどうだいマイハニー?」
「変な呼び方しないでください!…お誘いの方は、是非ご一緒させてください…。」
仕事仲間から一歩踏み外れたおれと秋ちゃんが心の距離を埋めるのは時間がかかるかもしれないが、少しずつでいい。
お互いを知っていきたい。
生涯を共にする伴侶だから、ゆっくりと、2人で好きを増やしていこう。
end
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