一歩踏み出す誕生日
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上司のクザンさんの誕生日、私は毎年朝一番に会えるように早起きしてプレゼントに菓子折りをあげる。
形が残らず、クザンさんが気に入らなければ誰かが食べればいい。
クザンさんに迷惑がかからず、クザンさんへの愛を押し付ける私なりの方法。
かれこれ5年は続けてる。
それ以外は仕事で会うだけで私とはなにも恋愛的なことはない。
けれど5年でクザンさんと女の子の噂はどれだけ聞いたか…数知れない。
でも、それでいい、私にチャンスなど回ってこなくていい。
一番最初に、彼の誕生日をお祝いするわがままくらい世の女たちも許してくれるだろう。
「おはようございます、青雉大将。」
「秋ちゃんおはよう、今ここにいる理由が去年と一緒なら、今年も秋ちゃんが一番最初だよ。」
今は自分にだけ微笑んでくれてると思うと顔が緩む、自然な笑顔になっているといいな。
「良かった、早起きしたかいがあります。青雉大将、お誕生日おめでとうございます。」
「毎年ありがとうね、秋ちゃん。今年もお菓子かな?」
「はい!人気店の商品なので、大将でもまだ口にしたことがないと思い用意させていただきました!」
「あはは、仕事の報告じゃないんだからそんなかしこまらなくてもいいじゃないの。」
「は、はい!すみません、…お口に合えばいいのですが。」
「大丈夫、大丈夫!例年どれも美味しかったからね、好みの味が似てるのかもね俺ら?」
顔を覗かれて一瞬息を止めてしまう。
好きな人と、視線が交わり顔が近くなった状況で赤面しない女はいない。
私だって今顔が真っ赤だろう。
「そう、なんでしょうかっ…?ぁ、えと…素敵な一日になるといいですね!…今日の業務もどうぞよろしくお願いします!失礼します!」
お辞儀と敬礼をして足早にその場を立ち去った。
今年もちゃんと渡せた、それだけで私は幸福感に溢れていた。
今日一日、いや。
これで今年一年また頑張れそうだ。
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