トリップ先は海賊船
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この船に乗って数日が過ぎた。
今はお昼過ぎ、おやつの時間に向けてサンジに手伝ってもらいながらクッキーを作っていた。
「今日も手伝ってくれてありがとう、本当サンジは優しくて頼りになる。」
「秋ちゃんの力になれるならどうってことないよ、それにしても何種類作るんだ?」
「ちょっとベースになる生地を作り過ぎたので5種類ほど…作業増やしちゃってスミマセン…」
「これベースにするだけでそんなに出来上がるのか、どんなクッキーが出来上がるのか楽しみだよ。」
「ありがとう、私も出来上がりが今から楽しみ。」
混ぜ合わせる食材を選んでると、サンジは手を止めて質問をしてきた。
「あのさ、秋ちゃん…ここに来た時にさ、おれら麦わらの一味を知っているって言ってたけど、どれくらいおれの事知ってるか聞いてもいいかな?」
「どれくらい?んー、サンジのことだと過去のこと少しと、この先起こること少し…って感じかな?」
そう伝えるとサンジは少しうつむいて会話を続ける
「…過去って、“どこまで”知ってるんだ…?」
空気が張り詰めていて
さっきまで笑顔で話せていたのに今は俯くサンジがどんな顔でこの質問をしているのか
私の位置から表情は確認できない。
でも私の知識はあくまで昔アニメでやっていたところしか知らない。
もしかしたら間違いもあるかもしれないがこれは正直に伝えなきゃダメなやつだと思い
ゼフと出会いどうやって生き延びたとか
バラティエを開業して仲間も増えて海上レストランを守ってきた様子
ルフィたちと出会い、スカウトされて、戦いの後バラティエを出ることを決めたこと。
「…私が知ってるのはこれくらい、です。」
「…知ってるのは本当にそれだけ…?」
「うん。だから過去って言ってもサンジがルフィ達と会う前のことはそんなに詳しく知らないの…。」
「そっか…ならいいんだ、話してくれてありがとう。」
そう言っているサンジの顔は辛そうに見えた。
よくよく考えればわかるはずだった。
いきなり目の前に現れた人間が“貴方のことを知ってます”なんて気味が悪すぎる。
もしかしたら他のみんなにも不安や不愉快な思いをさせてるかも知れない。
「ごめんねサンジ…みんなの気持ち考えずに私みんなのこと知ってるなんて言っちゃって…
あの時自分のことしか考えてないままナミたちに知ってること全部伝えてたから…」
「ああ、いやいいんだよ…気にしないでくれ…。」
「…無理しないでね、気味悪がるのが普通だし無理に仲良くしなきゃなんて思わなくて大丈夫だよ?」
「ち、違う!!気味が悪いなんて思ってない!!」
いきなり声を荒げるサンジに心臓が飛び出そうだった。
「ごめん、その…もっと前の幼少期の自分にさ…コンプレックスというか、自信がないから…そんなおれを秋ちゃんが知ってたらさ…
どれだけ今秋ちゃんの前でカッコつけても…カッコ悪いだろ?」
「コンプレックス…サンジにもそういうのがあるんだね、私から見たらずっと完璧でカッコいいから知らなかった…。」
「はは、これからもそう言ってもらえるよう努力するさ、だからおれにカッコつけさせてね?秋ちゃん。」
「うん…!」
さっきみたいな重い空気はなく、サンジはやっといつもみたいな優しい雰囲気に戻ったみたい。
他のみんなにも一度謝った方がいいだろう、クッキーが完成したら配る時に謝ろう。
「あっ、クッキー忘れてた……。」