【3Z】かいこうそうぐう
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居眠りをしていた拙者を現実に引き戻したのはケータイのメール着信。
教師の「うるせぇからマナーモードにしなさい」という銀八の声を無視しケータイをいじる。
ディスプレイにはまだ見慣れない「佐藤 秋」の文字。
メールを開くと
“昼食ご一緒してもらえませんか?”
短い文章に拙者は
“軽音部で待っている。”
とさらに短く返信をした。
昼休みを知らせるチャイムを聞き、約束通り軽音部の部室へ足を運ぶ。
裏庭でもよかったがこちらの方が噂を広めている様な連中は寄って来ないと踏んでの選択だ。
無雑作に置いてある椅子に腰を下ろし居眠り前に書いた歌詞を眺め修正を施す。
晋助に言わせてやりたい青くさい歌詞と、その言葉を引き立てるような単語のバランスを探っているがこれが難しい。
余白にいくつか思いつく単語を書いている最中、ガラリとドアは音を立てた。
視線を向けると拙者を昼食に誘った佐藤が立っていた。
「失礼します、急に誘ったのにありがとうございました。」
「構わぬ。なんせ拙者らは“偽装カップル”、故に昼食を共に過ごすくらい当然でござろう?」
「…多分?私彼氏いたことないから分からないけど、河上くんが言うならそうなのかも。」
佐藤は入り口から1番近い椅子に座った。
拙者は気にせずノートにペンを走らせ続けた。
「…教室にいると周りの視線が痛くて…好奇の目っていうのかな…元々クラスに馴染んでないのにさらに浮いちゃって…」
「左様でござったか。」
「河上くんのクラスは平気?変な事言われてたらごめんね。」
「あのクラスは変わり者ばかりでござる、常識的な発言をする奴など居らぬがこんな噂話を気にする奴はもっと居ないでござるよ。」
「そうなんだ、よかった。河上くんも苦しかったらどうしようかと思ってたから…安心しました。」
佐藤の発言が気になりノートから顔を彼女に向けた。
「主は苦しいのか?」
視線が交わる。
「私にとって、学校は苦しいよ」
交わった視線は逸らされた。
彼女は静かに笑んでいたが、あの目は重く光を写していなかった。
佐藤は黙々と昼食の準備を始めた。
その様子を見て自身も用意していたパンを齧る。
咀嚼しながら拙者は
青春ソングの歌詞を連ねるページに
苦しい
と書いた。
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