【3Z】かいこうそうぐう
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
作曲する時は軽音部の部室で行うのが多い。
だがここ数日思うように理想のリズムを紙におこせないでいた。
何か創作の刺激になるものがないか、部室から裏庭へと向かう、そんなある日の昼休み。
裏庭に向かう最中、体育館倉庫の方から女の怒声が聞こえてきた。
この学校は他校に比べて品がない生徒が多い、それを踏まえても、ヘッドホン越しに聴こえる程の騒がしさはいささか品がなさ過ぎると思う。
気になり覗きに行くと地面に伏す1人の女と、それを囲う3人の女がいた。
見てしまった手前放って置くのも後味が悪い。
そう思い彼女達の方へ足を進めた。
「主ら。多勢で弱者を叩いて楽しいでござるか?」
「はぁ?あんた誰だよ、関係ないでしょ、あっち行ってくれる?」
「品のない女でござるな、主らの奏でるリズムは不愉快だ、伏してる女も随分ボロボロに見受ける。その辺にしておけ。」
「こいつは私らの“お友達”なの、ちょっと喧嘩しただけ、まじでどっか行ってくんない?」
「え、ちょっと待って…アイツ高杉一派の河上じゃない…?」
「まじで…?!」
「目つけられたらまじでヤバイって、逃げよ!」
名も知れていたのが功して、囲っていた女達はそそくさとその場から立ち去って行った。
不愉快な音も消え、そこに残ったのは傷だらけの女。彼女のリズムも不安定で聴くに耐えない。
「大丈夫でござるか?手を貸そう。」
手を差し出すと素直に手を握ったので腕を引き、体を起こす。
「…すみません、助かりました。ありがとうございました。」
「拙者が勝手にしたことでござる、礼などいらん。」
頭を深々と下げ、制服の土埃をはらう女。
先程の女達と比べれば礼儀のある真面目そうな女である事に気づく。
「お主は“お友達”をもう少し選んだ方が良いでござるよ。」
「ぁ…あぁ、そうですよね、お気遣いありがとうございます。」
まあ、それが実行出来ていれば今頃こんな目にはあっていないであろうが、哀れな女だ。
「それでは拙者は失礼するでござる。」
「はい、本当にありがとうございました。」
またも深々とお辞儀をして見送られた。
大層なことはしていないのだが、創作の刺激にはなった出来事だったと思いながら、裏庭へと足を運んだ。
1/7ページ