Behind the Bar
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攫われたマコトを追い、真島が日侠連の世良と対峙する。
マコトを別の人間に引き渡した事を話す世良に食い下がっていると、佐川の名前と共に不意に出る名前。
「佐伯と言う男を知ってるか?」
「っ!それがなんや……!」
自身とマコトを守ろうとした男の名前に少しの動揺。世良がそれを見逃す筈がなく、
「知ってるんだな……あいつは俺の相棒だった。あいつなら、お前ら2人をどうにかしてくれると思ったんだがな……」
相棒、と言う言葉に目を見開く真島。
実際守ろうとしてくれた事実はあるも、真島自身がそれを不本意に蹴った事で、今回の件に至る事に気付く。
「ちょお待て!佐伯は近江連合やろ、せやったらなんで東城会やないんや!」
「それは言えないな、お前とそんな関係値はない。聞きたかったら佐伯に聞くといい……素直に答えるか分からんがな」
含みのある口ぶりと表情。
兎に角、と本来のマコトの話に戻り、真島の覚悟を確める為の闘いに。世良の腹に拳を決め勝つと、世良の持っていた銃を真島に投げ渡し、世良の覚悟も見せる。マコトを引き渡した相手の名刺を見る為には世良を撃たねばならないが、真島は銃を捨て、自らが蒼天堀に留まる事で佐川共々自分を蒼天堀に留め、マコトを守ろうとする。その返事に応えようとする世良に銃弾が当たる。倒れる世良の背後から現れた佐川により、真島の覚悟はなかった事になり、名刺を手に入れると名前を覚え、佐川の付き添いの元、蒼天堀を離れ神室町に向かう事になった。
「でさ、お前のところに来たってわけ……佐伯ちゃん」
佐伯組事務所内、応接間で対面する3人。
「別に、私は東城会と手を組んでる訳ではないですよ」
落ち着いた様子の男に佐川が詰め寄る。
「聞いたよ、元相棒だったんだろ?……なんで言ってくれねぇかな。俺とお前の仲だろ、なぁ?」
佐川の脅しに対し、終始無表情な男。
その件に触れてほしくない態度を感じる。
真島は佐川と佐伯の近江以外の関係性が分からず、口を挟まないように2人を眺める。
「兎に角……今回の事は不問にしてやるからさ、今からやる事に協力してもらおうじゃねえの」
男の承諾を得ず、ま、知ってると思うが、と前置きをして、これまでの事情を話し始める佐川。
「攫ってったのがこいつだ」
と、真島に手で合図をし、名刺を出させる。
手渡されたそれを見る男は目を見開く。
「立華不動産?桐生、一馬……!」
カタギになったのか、と呟く男。
「なんだ、知ってるのか?」
「話したくない……少なくとも佐川さん。貴方には」
珍しく佐川に拒否を示す男。強い眼差しを佐川に向ける。それを見て、佐川に顔を向ける真島。
「なんだよ、俺だけ除け者か?」
せせら笑う佐川に2人の視線が刺さる。
「しょうがねえな、便所と煙草でも吸いに行くか」
佐伯組事務所は重要な紙を扱う為、この時代に珍しく火気厳禁であった。その為煙草を吸うには外に出るしかない。暫く空けてやる、という意思表示だ。
2人だけになった応接間に対面する真島と男。
対面する男は佐川の背中を見届けると、真島の方を向く。厳しかった視線は柔らかくなり、微笑みまで湛えている。
「俺には話してくれるんやな」
「俺の話しなんて、話せるのは君くらいだよ」
微笑む男の台詞に気は悪くない真島。なんなら、あの佐川を出し抜けて少し気分が良い。
「世良勝、いや……勝さんとは、日侠連を立ち上げた時からの付き合いでさ……勝に続いて腕が良かった俺が、総裁である勝を支えてたわけ」
「佐伯はん、戦えるんか!」
思わず驚く真島。世良の実力を知った今、侮っていた訳ではないが、あの余裕は相応に実力があるが故だったのだ。
男の世良を思い出す瞳は揺れている。
特別な感情がありそうな瞳と声音に黙る真島。
「その時から勝と俺を世話してくれてたのが、風間さん……聞いた事ない?嶋野の親父さんとかからさ」
真島の親、嶋野の名前が出るとは思わなかったが、確かに元々同じ堂島組だったのを思い出す。
「……いや、風間の名は知っとるけど、そないな話は聞いとらんわ」
「流石に言わないか、極秘の裏稼業だからね……つまり、俺の手も汚れてるわけだけど、その風間さんの孤児院で大事に育てた愛息子が桐生って感じかな」
さらりと告げられる男の重大な過去に理解が追いつかない真島。
「手も汚れとるって……殺したんか」
少し躊躇いながら頷く男。
自分には出来なかったそれを、過去何度もしてきた事を告げる男には覚悟がいったのではないか。
拳を握り締め、俯く真島に気付き、真島のタイミングを読む男。
「風間のやっとる孤児院ってのは、極道を育てとるんか?」
沸いた疑問に真島が口を開く。
「いや、事情は話せないが純粋な孤児院だよ……桐生は風間さんが大好きだったってだけ」
納得のいった真島。伏せがちだった顔を上げて目を合わせる。
「……そんな事まで聞いてええんか?」
「真島くんだからだよ」
何事もなかったかのように笑う男。自分がそこまでの信用を、マコトを守る事で得た事を理解し、更にマコトへの思いを強める。
「そやったらなんで東城会続けへんかったん?今からでも近江辞めて東城会来たらええやん、佐伯はんやったら親父も喜ぶわ」
当然湧き出る疑問に眉を下げる男。どことなく顔に影が差したように感じる。
「それは、言えないかな……真島くんが東城会に戻ったら、にでもしよっか」
男の悲しげな表情に何も言えなくなる真島。
少しの沈黙の後、佐川が帰ってくる。
「終わった?この俺が律儀に待ってやったんだから話は済んだんだよなあ?」
返事も聞かず男の横にどかりと腰掛ける。腕を男の肩に回し、顔を近付けると話し掛ける佐川。
「でよ、元東城会なら俺たちが隠れられる場所ぐらい知ってるよな?」
薄ら笑いで足を組み、詰め寄る佐川に男の顔が歪むが、
「……私の使ってた倉庫なら教えますよ」
「なんだよケチ臭え、お前の家だっていいんだよ?」
「貴方に教えたら碌な事にならないでしょ?」
佐川の軽口に余裕を取り戻し、微笑みながら返す男。黙って見ていたが、佐川の執着が男に向いているのを感じる真島。
「分かった分かった、そこでいい……帰ってきたら覚えてろよ」
何やら怖い一言を付け加えると、その倉庫の場所を書いたメモを渡すよう要求する。
そのメモを渡そうと手を差し出すと、腕ごと掴み引っ張る佐川。
「……逃げるなよ?」
男の耳元で囁くと立ち上がり、出口に向かう。
「ほら行くよ、真島ちゃん」
と、座っている真島を振り返り呼ぶ。呼ばれた事に気付きつつも、男と目を合わせ、お互いに頷き合う。
「……よろしくね」
「ああ」
と、言うと立ち上がり、佐川の後を追う真島。
今度こそ、真島が間に合うように願いながら2人を見送る男であった。
マコトを別の人間に引き渡した事を話す世良に食い下がっていると、佐川の名前と共に不意に出る名前。
「佐伯と言う男を知ってるか?」
「っ!それがなんや……!」
自身とマコトを守ろうとした男の名前に少しの動揺。世良がそれを見逃す筈がなく、
「知ってるんだな……あいつは俺の相棒だった。あいつなら、お前ら2人をどうにかしてくれると思ったんだがな……」
相棒、と言う言葉に目を見開く真島。
実際守ろうとしてくれた事実はあるも、真島自身がそれを不本意に蹴った事で、今回の件に至る事に気付く。
「ちょお待て!佐伯は近江連合やろ、せやったらなんで東城会やないんや!」
「それは言えないな、お前とそんな関係値はない。聞きたかったら佐伯に聞くといい……素直に答えるか分からんがな」
含みのある口ぶりと表情。
兎に角、と本来のマコトの話に戻り、真島の覚悟を確める為の闘いに。世良の腹に拳を決め勝つと、世良の持っていた銃を真島に投げ渡し、世良の覚悟も見せる。マコトを引き渡した相手の名刺を見る為には世良を撃たねばならないが、真島は銃を捨て、自らが蒼天堀に留まる事で佐川共々自分を蒼天堀に留め、マコトを守ろうとする。その返事に応えようとする世良に銃弾が当たる。倒れる世良の背後から現れた佐川により、真島の覚悟はなかった事になり、名刺を手に入れると名前を覚え、佐川の付き添いの元、蒼天堀を離れ神室町に向かう事になった。
「でさ、お前のところに来たってわけ……佐伯ちゃん」
佐伯組事務所内、応接間で対面する3人。
「別に、私は東城会と手を組んでる訳ではないですよ」
落ち着いた様子の男に佐川が詰め寄る。
「聞いたよ、元相棒だったんだろ?……なんで言ってくれねぇかな。俺とお前の仲だろ、なぁ?」
佐川の脅しに対し、終始無表情な男。
その件に触れてほしくない態度を感じる。
真島は佐川と佐伯の近江以外の関係性が分からず、口を挟まないように2人を眺める。
「兎に角……今回の事は不問にしてやるからさ、今からやる事に協力してもらおうじゃねえの」
男の承諾を得ず、ま、知ってると思うが、と前置きをして、これまでの事情を話し始める佐川。
「攫ってったのがこいつだ」
と、真島に手で合図をし、名刺を出させる。
手渡されたそれを見る男は目を見開く。
「立華不動産?桐生、一馬……!」
カタギになったのか、と呟く男。
「なんだ、知ってるのか?」
「話したくない……少なくとも佐川さん。貴方には」
珍しく佐川に拒否を示す男。強い眼差しを佐川に向ける。それを見て、佐川に顔を向ける真島。
「なんだよ、俺だけ除け者か?」
せせら笑う佐川に2人の視線が刺さる。
「しょうがねえな、便所と煙草でも吸いに行くか」
佐伯組事務所は重要な紙を扱う為、この時代に珍しく火気厳禁であった。その為煙草を吸うには外に出るしかない。暫く空けてやる、という意思表示だ。
2人だけになった応接間に対面する真島と男。
対面する男は佐川の背中を見届けると、真島の方を向く。厳しかった視線は柔らかくなり、微笑みまで湛えている。
「俺には話してくれるんやな」
「俺の話しなんて、話せるのは君くらいだよ」
微笑む男の台詞に気は悪くない真島。なんなら、あの佐川を出し抜けて少し気分が良い。
「世良勝、いや……勝さんとは、日侠連を立ち上げた時からの付き合いでさ……勝に続いて腕が良かった俺が、総裁である勝を支えてたわけ」
「佐伯はん、戦えるんか!」
思わず驚く真島。世良の実力を知った今、侮っていた訳ではないが、あの余裕は相応に実力があるが故だったのだ。
男の世良を思い出す瞳は揺れている。
特別な感情がありそうな瞳と声音に黙る真島。
「その時から勝と俺を世話してくれてたのが、風間さん……聞いた事ない?嶋野の親父さんとかからさ」
真島の親、嶋野の名前が出るとは思わなかったが、確かに元々同じ堂島組だったのを思い出す。
「……いや、風間の名は知っとるけど、そないな話は聞いとらんわ」
「流石に言わないか、極秘の裏稼業だからね……つまり、俺の手も汚れてるわけだけど、その風間さんの孤児院で大事に育てた愛息子が桐生って感じかな」
さらりと告げられる男の重大な過去に理解が追いつかない真島。
「手も汚れとるって……殺したんか」
少し躊躇いながら頷く男。
自分には出来なかったそれを、過去何度もしてきた事を告げる男には覚悟がいったのではないか。
拳を握り締め、俯く真島に気付き、真島のタイミングを読む男。
「風間のやっとる孤児院ってのは、極道を育てとるんか?」
沸いた疑問に真島が口を開く。
「いや、事情は話せないが純粋な孤児院だよ……桐生は風間さんが大好きだったってだけ」
納得のいった真島。伏せがちだった顔を上げて目を合わせる。
「……そんな事まで聞いてええんか?」
「真島くんだからだよ」
何事もなかったかのように笑う男。自分がそこまでの信用を、マコトを守る事で得た事を理解し、更にマコトへの思いを強める。
「そやったらなんで東城会続けへんかったん?今からでも近江辞めて東城会来たらええやん、佐伯はんやったら親父も喜ぶわ」
当然湧き出る疑問に眉を下げる男。どことなく顔に影が差したように感じる。
「それは、言えないかな……真島くんが東城会に戻ったら、にでもしよっか」
男の悲しげな表情に何も言えなくなる真島。
少しの沈黙の後、佐川が帰ってくる。
「終わった?この俺が律儀に待ってやったんだから話は済んだんだよなあ?」
返事も聞かず男の横にどかりと腰掛ける。腕を男の肩に回し、顔を近付けると話し掛ける佐川。
「でよ、元東城会なら俺たちが隠れられる場所ぐらい知ってるよな?」
薄ら笑いで足を組み、詰め寄る佐川に男の顔が歪むが、
「……私の使ってた倉庫なら教えますよ」
「なんだよケチ臭え、お前の家だっていいんだよ?」
「貴方に教えたら碌な事にならないでしょ?」
佐川の軽口に余裕を取り戻し、微笑みながら返す男。黙って見ていたが、佐川の執着が男に向いているのを感じる真島。
「分かった分かった、そこでいい……帰ってきたら覚えてろよ」
何やら怖い一言を付け加えると、その倉庫の場所を書いたメモを渡すよう要求する。
そのメモを渡そうと手を差し出すと、腕ごと掴み引っ張る佐川。
「……逃げるなよ?」
男の耳元で囁くと立ち上がり、出口に向かう。
「ほら行くよ、真島ちゃん」
と、座っている真島を振り返り呼ぶ。呼ばれた事に気付きつつも、男と目を合わせ、お互いに頷き合う。
「……よろしくね」
「ああ」
と、言うと立ち上がり、佐川の後を追う真島。
今度こそ、真島が間に合うように願いながら2人を見送る男であった。