神っぽい名無し主
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「……さい、……めなさい……目覚めるのです」
何処からか聞こえる声に目を開ける。
「……なんや、ここ」
「……どこだ、ここは」
目覚めた男達は暗闇に寝そべっていた。起き上がった男は真島、桐生、冴島、大吾の4人。
「なんやこれは、どないなっとるんや」
「俺達だけですね、他の奴らは……」
困惑する男達の脳内に声が響く。
「目覚めたのですね……伝説の男達よ……」
頭を抑える皆。どこからともなく聞こえる声に辺りを見回すが暗闇が広がっているだけだ。お互いに顔を見合い、状況を目だけで伝え合う。
「お前は誰だ!……ここはどこで、何が目的だ?!」
桐生の問いかけに答える気配のない声の主。
「どうなってやがる、兄さんは何か知ってるのか?」
「俺が知っとる訳ないやろ!大吾はどうなんや?!」
「俺にも分かりませんよ!……なら誰が一体こんな空間に……」
狼狽える桐生、真島、大吾に冴島が突っ込む。
「おい、俺にも聞けや」
不満げな冴島。
「兄弟はこんな事せんやろ」
「ああ、力尽くでどうにかしそうだ」
真島と桐生の言い分に頷く大吾。お前らに言われたくないという不服な顔をする冴島は謎の声の主に話し掛ける。
「おい、なんのつもりや!早よこっから出さんかい!」
「出てもいいけど、皆今は幽霊みたいなもんだよ?そのまま出たらどうなっちゃうかなぁー?」
声が届き驚く4人だが、話の内容にも驚愕する。非現実的な話だが、脳内に響くこの声がそれをやたらと現実めかしている。
「兄弟、俺を殴ってくれや!」
真島が冴島に要求する。驚く3人を放って真島は話を進める。
「ホンマに幽霊なら殴られても痛ないやろ、それにこの空間は現実やないって事になる」
「そ、そうか……すごいやないか兄弟!」
あったり前や!と喜び合う兄弟分達を見ながら1人焦る大吾。
「それが分かったとて何も解決しないんじゃ……」
「何言うとるんや!幽霊ならなんでも出来るやろ、飯も飲まず食わずで死なんっちゅうこっちゃ」
そうやろ?と声の主に問いかける真島。それに反応する声。最初の声音とは打って変わってフランクに会話をする。
「んーそれはそうだけど、肉体はそうはいかないんじゃないかなぁ?まあ初めてだから分からないんだよね!ぶっちゃけ」
「なんやと?!」
驚く4人。声の主の能天気さに呆れる。
「まあまあまあ!そんな君達に、神からの試練を与えてしんぜよう!さすれば解放させたもう!」
「何抜かしとんねん!キャラどないなっとるんや!」
メタな事を突っ込む真島に止める大吾。桐生と冴島は置いてけぼりだ。
「んー最初は何にしようかなぁ……」
「最初?!続きがあるとでも言うのか?!」
真島を止めていた大吾が思わず叫ぶ。日頃の恨みか、大吾からチョークスリーパーを掛けられている真島は大吾の腕をタップしていた。
「じゃあそのままハグ10秒で!」
と、言うと暗闇にデジタル時計がデカデカと表示される。
「これ、ハグ、ちゃうやろ……」
と、言うと10秒経たずに真島の意識が落ちる。
「ああー!まだ試練あるのにいー!」
神の声が遠巻きに聞こえる。男達の姿が消え、目の前が真っ暗になる真島。
ハッと目を覚ますとそこは幹部会の後の東城会本部、会議室であった。いつもの座席に腰掛けている4人は真島の意識が戻ると、それぞれゆっくりと意識を戻す。
自然と目を見合わせる4人。
「……なんやったんや、あれ」
真島の言葉にポツポツと喋り出す4人。
「……集団悪夢、ですかね」
少しげっそりした大吾が答える。
「結局何の為に呼ばれたんだ?」
流石の桐生も少し草臥れている。
「何も分からんかったな……」
困惑しっぱなしの冴島。男達はため息を吐き、椅子に凭れると天を仰ぐ。
「神の気まぐれだよーん!」
遠くの方で聞こえた先程の声に驚く4人。きょろきょろと見回すが怪しい姿はない。
「……最後の最後まで悪趣味やな」
げんなりした真島が呟く。4人で話し合い、この件は仕事の疲れによる集団悪夢であると決め付けると、各々の日常に戻るのだった。