狂気のカケラ
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留置場に居る西谷に会いにビリケンという刑事を探し、闇闘技場で闘わされた真島。その三途の川底から屋形船で、元いた橋の上に帰る。出会った時と同じ場所に戻ると、自身の過去と西谷との縁を語り出すビリケン。
「……これは西谷には言うてへんのやけどなぁ、お前には言うたるわ」
「まだ言うてへん事あるんか」
「……あいつには隠し子がおんねん。小さい女の子が1人……あいつに似よって用心深い、せやけど人懐っこい子や……」
人懐っこい女の子、その言葉に1人の少女の顔が浮かぶ。公衆トイレの前に蹲み込んでいた子供。UFOキャッチャーで取ってやったぬいぐるみを片手に、人懐っこい笑みを浮かべる少女の顔。名前も知らないその子が、ビリケンのいう女の子に被って見えた。
「そん子供は今、母親が蒸発して俺がたまに面倒見てんねん」
「……母親が蒸発?ちょお待て、その子、UFOキャッチャーで取ったぬいぐるみ持ってへんか?」
真島の焦ったような質問に眉を上げると、疑念を抱きながら答えるビリケン。
「ああ、そんなん持って帰ってきよったな……やったんはお前か?」
「せや、無事なんか?」
真剣な顔つきで尋ねる真島に煙草を吹かしながら答える。感慨に耽るような、遠い目を真島にやると、
「ああ、元気にしとるわ……眼帯の兄ちゃん言うんはお前か。名前は頑なに言わんでな、せやったな……言われりゃお前だわな」
あからさまにほっと肩を撫で下ろす真島にフッと笑うビリケンの様子を、真島が咎める。
「何で西谷には言わんのや?」
「……外道には外道の生き方がある言うたやろ。あの娘にはそないなって欲しくないんや」
最後の一吸いを終え、吸い殻を道に捨てると踏み躙り揉み消す。それを黙って見つめる真島。
「……さ、行くで」
と、先を促すビリケンについていくのだった。
留置場で西谷に会い、マキムラマコトの一件について話を聞き出す。西谷の娘の事は、ビリケンの思いもあり一言も口に出せずにいた。
マコトを、佐川は殺す側なら自身は捕える側である事を告げる西谷。手を組もうと言う西谷に、捕えられるぐらいならマコトを攫った日侠連に預けたままの方がいいと言う真島。マコトを生かした責任がある、と言う真島に、
「お前みたいな男と、もっと早よ出会わんかったんが……ホンマに残念や」
「何や急に……?」
「フッ……何やろな……ワシみたいな人間が何をぬかしとんのやろなぁ……」
と物憂げな顔をする西谷。そんな西谷にあの日の娘の顔が被る。娘の存在を知らない西谷の心境を慮る真島。そんな表情も一瞬で、日侠連の話に戻る。日侠連の場所まで案内するという西谷。留置場を抜け出そうとする。鍵のかかっていない牢に疑問を感じるも、そのまま外に出る2人。
すると、ここまで手引きしてくれたビリケンがやってきたかと思うと、2人の目の前で、警官に撃たれてしまう。倒れ伏すビリケン。
「ビリケンさんにはよぅしてもろたんですがね。娘が大学行きたいなんて言うもんでして、ちょっと気張らなアカンのです」
拳銃を手にこちらににじり寄る警官。警戒する2人。
「やっぱ東京の人は羽振りええんですな」
一発の発砲音がした。衝撃と共に口から血を吐く西谷。
「……こら、アカン感じやないかい」
撃たれた箇所に手をやり、傷を確認すると、
「昔おっちゃんに言われたとおりや、悪いコトばっかりしてたらバチ当たんなぁ……」
こちらに銃口を向けた警官がまたもや発砲する。それを手を広げ、体で受け止める西谷。連続で発砲すると、弾が切れ、引き金が軽く空振る。真島は目の前の出来事に愕然としていた。急な展開に体も思考もついてこず、立ち尽くす。
「思いっきり暴れたらええ!思いっきり楽しんだらええ!!ヤクザなんぞどうせ早よ死ぬんや、なら後先考えんと自分の道、前に進めや……なぁ?」
空の銃を手に、放心する警官の前に血だらけで立ち塞がり続ける西谷。
「早よ行けや真島ぁ……マコトっちゅう女、生かした責任……キッチリとったらんかい!!行けやぁ真島ァ!!」
叫ぶ西谷の声に触発され、やっと動き出す事が出来た真島。留置場のドアに手をかけ、西谷を見遣る。怯える警官に血だらけで痛む体を動かし、追い詰める西谷。最後まで見届ける事はせず、その場を飛び出し、西谷を置いて行くしかなった真島。走り抜ける道中、西谷の知らぬ隠し子の顔が頭から離れず、マコトへの想いと西谷の娘への罪悪感を胸に、ひたすら前に進むしかなかった。
脳裏におとうちゃん、と笑いかける女の子の声が木霊していた。
「……これは西谷には言うてへんのやけどなぁ、お前には言うたるわ」
「まだ言うてへん事あるんか」
「……あいつには隠し子がおんねん。小さい女の子が1人……あいつに似よって用心深い、せやけど人懐っこい子や……」
人懐っこい女の子、その言葉に1人の少女の顔が浮かぶ。公衆トイレの前に蹲み込んでいた子供。UFOキャッチャーで取ってやったぬいぐるみを片手に、人懐っこい笑みを浮かべる少女の顔。名前も知らないその子が、ビリケンのいう女の子に被って見えた。
「そん子供は今、母親が蒸発して俺がたまに面倒見てんねん」
「……母親が蒸発?ちょお待て、その子、UFOキャッチャーで取ったぬいぐるみ持ってへんか?」
真島の焦ったような質問に眉を上げると、疑念を抱きながら答えるビリケン。
「ああ、そんなん持って帰ってきよったな……やったんはお前か?」
「せや、無事なんか?」
真剣な顔つきで尋ねる真島に煙草を吹かしながら答える。感慨に耽るような、遠い目を真島にやると、
「ああ、元気にしとるわ……眼帯の兄ちゃん言うんはお前か。名前は頑なに言わんでな、せやったな……言われりゃお前だわな」
あからさまにほっと肩を撫で下ろす真島にフッと笑うビリケンの様子を、真島が咎める。
「何で西谷には言わんのや?」
「……外道には外道の生き方がある言うたやろ。あの娘にはそないなって欲しくないんや」
最後の一吸いを終え、吸い殻を道に捨てると踏み躙り揉み消す。それを黙って見つめる真島。
「……さ、行くで」
と、先を促すビリケンについていくのだった。
留置場で西谷に会い、マキムラマコトの一件について話を聞き出す。西谷の娘の事は、ビリケンの思いもあり一言も口に出せずにいた。
マコトを、佐川は殺す側なら自身は捕える側である事を告げる西谷。手を組もうと言う西谷に、捕えられるぐらいならマコトを攫った日侠連に預けたままの方がいいと言う真島。マコトを生かした責任がある、と言う真島に、
「お前みたいな男と、もっと早よ出会わんかったんが……ホンマに残念や」
「何や急に……?」
「フッ……何やろな……ワシみたいな人間が何をぬかしとんのやろなぁ……」
と物憂げな顔をする西谷。そんな西谷にあの日の娘の顔が被る。娘の存在を知らない西谷の心境を慮る真島。そんな表情も一瞬で、日侠連の話に戻る。日侠連の場所まで案内するという西谷。留置場を抜け出そうとする。鍵のかかっていない牢に疑問を感じるも、そのまま外に出る2人。
すると、ここまで手引きしてくれたビリケンがやってきたかと思うと、2人の目の前で、警官に撃たれてしまう。倒れ伏すビリケン。
「ビリケンさんにはよぅしてもろたんですがね。娘が大学行きたいなんて言うもんでして、ちょっと気張らなアカンのです」
拳銃を手にこちらににじり寄る警官。警戒する2人。
「やっぱ東京の人は羽振りええんですな」
一発の発砲音がした。衝撃と共に口から血を吐く西谷。
「……こら、アカン感じやないかい」
撃たれた箇所に手をやり、傷を確認すると、
「昔おっちゃんに言われたとおりや、悪いコトばっかりしてたらバチ当たんなぁ……」
こちらに銃口を向けた警官がまたもや発砲する。それを手を広げ、体で受け止める西谷。連続で発砲すると、弾が切れ、引き金が軽く空振る。真島は目の前の出来事に愕然としていた。急な展開に体も思考もついてこず、立ち尽くす。
「思いっきり暴れたらええ!思いっきり楽しんだらええ!!ヤクザなんぞどうせ早よ死ぬんや、なら後先考えんと自分の道、前に進めや……なぁ?」
空の銃を手に、放心する警官の前に血だらけで立ち塞がり続ける西谷。
「早よ行けや真島ぁ……マコトっちゅう女、生かした責任……キッチリとったらんかい!!行けやぁ真島ァ!!」
叫ぶ西谷の声に触発され、やっと動き出す事が出来た真島。留置場のドアに手をかけ、西谷を見遣る。怯える警官に血だらけで痛む体を動かし、追い詰める西谷。最後まで見届ける事はせず、その場を飛び出し、西谷を置いて行くしかなった真島。走り抜ける道中、西谷の知らぬ隠し子の顔が頭から離れず、マコトへの想いと西谷の娘への罪悪感を胸に、ひたすら前に進むしかなかった。
脳裏におとうちゃん、と笑いかける女の子の声が木霊していた。