短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
神室町を散策する桐生。
ふと道に目を向けると、女が携帯を手にウロウロしているのが目についた。見た目は麗奈と同じくらいとみえ、気になったので声を掛ける。
「おいアンタ、どうした」
「あ、ちょっと人を探してて……」
「誰なんだ?」
普段なら声をかけないが、女の容貌が刺さったのか深く突っ込んで聞く桐生。
「息子なんですけど……」
息子……!と驚く桐生。女の容貌から子供がいるとは思わなかった桐生は軽くショックを受けながら続きを促す。
「ちょっと揉めてしまって……そしたら走って何処かへ行ってしまって、見失っちゃったんです」
「……分かった、俺も探そう」
「ありがとうございます!」
女はそう言い、息子の特徴を話す。女に少し似た顔、学生服が目印のようだ。連絡先を交換し、女とその場を離れる。自然と女の連絡先を手に入れられた事に笑みが溢れる桐生。
「◯◯、か……」
そう呟き、引き受けたからには、と聞いた情報を思い返す。息子の年は十代半ば、そのぐらいの年頃が向かいそうな場所を渡り歩く事にした桐生。思い付く限りを探し歩き、何の情報も手に入らなかった桐生は少し諦めながら街を眺めるようにゆったりと歩いていた。チャンピオン街、飲み屋の集落の中に小道が多いニッチなエリアに辿りつく。こんなところに子供はいないだろうと思いながら、念の為、目を皿のようにして見回しながら歩くと、そこにいた。飲み屋が軒連なる壁の隙間、人が通るには狭すぎるそこに向かって座り込む背中。飲み屋街に似合わない学生服の少年だ。何をしているのか覗き込むと、そこには野良猫がいた。覗き込む桐生を気に掛ける事もなく、少年の手から鰹節を貪る猫。少年は気が付いたのか、桐生を見上げ立ち上がる。猫は餌を食べ終わったのか立ち去っていく。桐生と向き合う少年。目元はぱっちりと二重で少し眠た気な印象。鼻から下が女の面影が見える。ともすれば女の子に見える少年に桐生が少し感心していると、
「もう見つかっちゃったか……」
手に乗っていた鰹節の粉を叩き落とし、桐生に話しかける少年。
「母さんに言われて来たんでしょ?」
「なんで分かるんだ?」
「母さんのしそうな事だもん」
勘が鋭い息子はそう言い、桐生をチャンピオン街から連れ出した。
「どうして逃げたりしたんだ?」
女に連絡を取り、出会った場所に戻る道中、息子の話を聞く。
「……俺さ、動物好きな訳じゃないんだけど、興味はあるんだよ」
「それがどうして逃げる事になるんだ?」
「母さんが不安そうな顔するんだ」
息子は語り出す。顔を見た事もない父親が、昔動物を飼っていたと。しかし事情がありその動物は亡くなってしまう。そこからその父親は変わってしまったという事らしい。
「だから、母さんも不安なんだと思う。俺が変わるのを恐れてるんだ」
「だが、お前がそうなるとは限らないだろ?」
「そうだろ?俺もそう言ったんだよ、けどこのザマ」
息子は肩を竦め桐生の前を歩き出す。
「さっきのは母さんには内緒にして?一応、俺も悪いと思ってるし」
「……分かった」
そのまま雑談をしながら女の元いた場所に戻る二人。そこに遅れてやってきた女が走ってくる。
「ごめんなさい!遅れましたっ……!」
「いや、そんなに待ってない」
「見つけてくれたんですね、ありがとうございます!」
桐生に頭を下げる女。それを横目で見ている息子の頭を両手で押さえ、下げさせようとする。
「貴方も謝りなさい!」
「なんでだよっ!」
反抗する息子。目の前で揉め始める親子を気まずい面持ちで止める桐生。
「いや、いいんだ……それより息子を許してやってくれねぇか?」
え?と女。その息子は桐生を疑うような眼差しで見る。
「少し話を聞いてな……息子が心配なのも分かるが、子供には自立する瞬間が来る。今がその時だろう」
女がハッとした後俯く。
「分かってはいるんです……でも、そうですね。心配しすぎても良くないか」
母親は息子を向き、息子も母を見る。
「ごめんね、お母さんこれからはもう言わないから……任せるね」
「……うん」
なんとなく仲直りの空気が流れ、桐生はフッと笑い息子に
「これからは自立した男だ。母親を泣かすんじゃねえぞ」
「分かってるよ」
不貞腐れたように答える息子の様子に微笑ましげに眺める女。気が付いたように桐生に向き直り、
「本当にありがとうございました!このお礼はさせてもらいます、また連絡してもいいですか?」
と聞く女。
「ああ、そんな大した事はしてねぇがな」
と答える桐生は息子の方を見る。息子も桐生をみて笑っている。じゃあ、失礼します、と息子を連れて帰る二人の背中を眺めていると向こうから真島がやってくるのが見えた。こんなタイミングで絡まれるのか、と思いつつも覚悟を決めていると、真島はその前を歩く二人の前に立ち止まり話し始めた。
「お前、聞いたで。どこ行っとったんや」
「……何処でもいいだろ?」
「一丁前に生意気な口聞きおって……お前の親がどんだけ心配しとったか」
「だから!分かってるって!」
「待って待って!私が悪かったから!」
何やら揉め始めた三人に桐生もその場に向かう。
「兄さん……何してんだ?」
おお、桐生ちゃん、と今気付いたように言う真島。
「何て、説教や」
「どういう事だ?……知り合いか?」
女と息子に顔を向ける桐生。二人は頷く。
「なんで二人に聞くねん、俺に聞けや」
「いや、兄さんが絡んでるようにしか見えなくてな……」
「こいつらの面倒は、俺が見てんのや」
「なんだと……?兄さんに子供が?!」
「……なんや、めんどい事になったのう」
呆れ顔で説明を始める真島。昔からの縁で女を守っている事、生い立ちが故に息子の面倒も見ている事、籍を入れていない事も言った。
「まぁ早い話、『俺の女』っちゅー事で二人を守っとるって事やな」
「そうだったのか……てっきり兄さんの子供かと」
「なんでそうなんねん!全然似とらんやろ!」
「この二重の感じとかそっくりだがなぁ……」
桐生と真島が少年の顔を見る。
「◯◯には似とるやろ、せやけど俺はおらんて!」
「いや、なんなら鼻も兄さんに似てる気が……」
息子の眼前で言い合う二人に、
「どうでもいいけど、俺の顔でごちゃごちゃ言うのやめてくんない?」
呆れた顔をする少年、横で苦笑いをする女。
「で、なんで兄さんはここにいるんだ?」
「せや、◯◯に息子が居なくなった、言われて探してたんや」
「あ、その件は……」
「俺が見つけたんだ」
桐生がいう。真島は桐生に向き合い、
「そうか、世話んなった」
と頭を下げる真島。意外な行動に驚く桐生に真島は頭を上げ、言葉を続ける。
「……せやけどこれとそれとは話は別や!」
飛びかかる真島。咄嗟に応戦する桐生。また始まったという顔をする女と呆れ顔の息子。
「どういう事だ!兄さん」
「言うたやろ、『堂島の龍』を取り戻す為に鍛えたるってな……まだ終わっとらん、行くで!桐生ちゃーん!!」
往来で派手な喧嘩を始める二人。段々と周りに野次馬が集まり女と息子は端に避ける。遠くから真島と桐生の喧嘩を眺める二人。
「立華不動産『桐生一馬』か……確かにごっつい男ね……」
「母さん、知ってるの?」
女の顔を覗き見る息子。
「名前だけはね、そっか……『堂島の龍』か……」
何かを思い出すように空を見上げる女。その横顔を見つめる息子。
喧嘩が終わったのか野次馬が段々と散っていく。ボロボロになった真島と桐生が二人に向かって歩いてくる。
「桐生一馬さん、強いのね」
「!……名前、知ってたのか」
「散々あの人から聞いてるし、元々噂で聞いてたの。あの人に代わってお礼を言うわ」
ありがとう、と再三のお礼を貰う桐生。なんとなく照れ臭くなる桐生に後から追いつく真島。
「桐生ちゃん、まだまだやで。次会ったらまた鍛えたるからな」
「……ああ」
と笑う桐生。今日はもう帰るという二人を駅まで見送り、真島と神室町まで歩く。
「……◯◯か、いい女だったな」
あ?と真島。
「いい女じゃねえか、なんで結婚しねえんだ?」
「……まあ、色々あるんや」
革ズボンのポケットに手を突っ込み歩く真島。
「コブ付きだからか?」
「そやない……いや、あん子も色々あるのは確かや。俺の一存で無理強いしたないだけや」
何かを思い返すような遠い目をする真島を見る。空気を変えるように桐生が続ける。
「そうか……なら俺にもチャンスはあるのか」
あ゛?!と真島。目を剥き桐生を見る。
「◯◯の息子なら遥とも上手くやってくれるんじゃねーか?」
「おま、何言うとるんや!!待たんかい!!」
逃げる桐生を追いかける真島が神室町天下一通りのゲートを潜り入って行き、神室町のいつもの喧騒に紛れていく二人。
ふと道に目を向けると、女が携帯を手にウロウロしているのが目についた。見た目は麗奈と同じくらいとみえ、気になったので声を掛ける。
「おいアンタ、どうした」
「あ、ちょっと人を探してて……」
「誰なんだ?」
普段なら声をかけないが、女の容貌が刺さったのか深く突っ込んで聞く桐生。
「息子なんですけど……」
息子……!と驚く桐生。女の容貌から子供がいるとは思わなかった桐生は軽くショックを受けながら続きを促す。
「ちょっと揉めてしまって……そしたら走って何処かへ行ってしまって、見失っちゃったんです」
「……分かった、俺も探そう」
「ありがとうございます!」
女はそう言い、息子の特徴を話す。女に少し似た顔、学生服が目印のようだ。連絡先を交換し、女とその場を離れる。自然と女の連絡先を手に入れられた事に笑みが溢れる桐生。
「◯◯、か……」
そう呟き、引き受けたからには、と聞いた情報を思い返す。息子の年は十代半ば、そのぐらいの年頃が向かいそうな場所を渡り歩く事にした桐生。思い付く限りを探し歩き、何の情報も手に入らなかった桐生は少し諦めながら街を眺めるようにゆったりと歩いていた。チャンピオン街、飲み屋の集落の中に小道が多いニッチなエリアに辿りつく。こんなところに子供はいないだろうと思いながら、念の為、目を皿のようにして見回しながら歩くと、そこにいた。飲み屋が軒連なる壁の隙間、人が通るには狭すぎるそこに向かって座り込む背中。飲み屋街に似合わない学生服の少年だ。何をしているのか覗き込むと、そこには野良猫がいた。覗き込む桐生を気に掛ける事もなく、少年の手から鰹節を貪る猫。少年は気が付いたのか、桐生を見上げ立ち上がる。猫は餌を食べ終わったのか立ち去っていく。桐生と向き合う少年。目元はぱっちりと二重で少し眠た気な印象。鼻から下が女の面影が見える。ともすれば女の子に見える少年に桐生が少し感心していると、
「もう見つかっちゃったか……」
手に乗っていた鰹節の粉を叩き落とし、桐生に話しかける少年。
「母さんに言われて来たんでしょ?」
「なんで分かるんだ?」
「母さんのしそうな事だもん」
勘が鋭い息子はそう言い、桐生をチャンピオン街から連れ出した。
「どうして逃げたりしたんだ?」
女に連絡を取り、出会った場所に戻る道中、息子の話を聞く。
「……俺さ、動物好きな訳じゃないんだけど、興味はあるんだよ」
「それがどうして逃げる事になるんだ?」
「母さんが不安そうな顔するんだ」
息子は語り出す。顔を見た事もない父親が、昔動物を飼っていたと。しかし事情がありその動物は亡くなってしまう。そこからその父親は変わってしまったという事らしい。
「だから、母さんも不安なんだと思う。俺が変わるのを恐れてるんだ」
「だが、お前がそうなるとは限らないだろ?」
「そうだろ?俺もそう言ったんだよ、けどこのザマ」
息子は肩を竦め桐生の前を歩き出す。
「さっきのは母さんには内緒にして?一応、俺も悪いと思ってるし」
「……分かった」
そのまま雑談をしながら女の元いた場所に戻る二人。そこに遅れてやってきた女が走ってくる。
「ごめんなさい!遅れましたっ……!」
「いや、そんなに待ってない」
「見つけてくれたんですね、ありがとうございます!」
桐生に頭を下げる女。それを横目で見ている息子の頭を両手で押さえ、下げさせようとする。
「貴方も謝りなさい!」
「なんでだよっ!」
反抗する息子。目の前で揉め始める親子を気まずい面持ちで止める桐生。
「いや、いいんだ……それより息子を許してやってくれねぇか?」
え?と女。その息子は桐生を疑うような眼差しで見る。
「少し話を聞いてな……息子が心配なのも分かるが、子供には自立する瞬間が来る。今がその時だろう」
女がハッとした後俯く。
「分かってはいるんです……でも、そうですね。心配しすぎても良くないか」
母親は息子を向き、息子も母を見る。
「ごめんね、お母さんこれからはもう言わないから……任せるね」
「……うん」
なんとなく仲直りの空気が流れ、桐生はフッと笑い息子に
「これからは自立した男だ。母親を泣かすんじゃねえぞ」
「分かってるよ」
不貞腐れたように答える息子の様子に微笑ましげに眺める女。気が付いたように桐生に向き直り、
「本当にありがとうございました!このお礼はさせてもらいます、また連絡してもいいですか?」
と聞く女。
「ああ、そんな大した事はしてねぇがな」
と答える桐生は息子の方を見る。息子も桐生をみて笑っている。じゃあ、失礼します、と息子を連れて帰る二人の背中を眺めていると向こうから真島がやってくるのが見えた。こんなタイミングで絡まれるのか、と思いつつも覚悟を決めていると、真島はその前を歩く二人の前に立ち止まり話し始めた。
「お前、聞いたで。どこ行っとったんや」
「……何処でもいいだろ?」
「一丁前に生意気な口聞きおって……お前の親がどんだけ心配しとったか」
「だから!分かってるって!」
「待って待って!私が悪かったから!」
何やら揉め始めた三人に桐生もその場に向かう。
「兄さん……何してんだ?」
おお、桐生ちゃん、と今気付いたように言う真島。
「何て、説教や」
「どういう事だ?……知り合いか?」
女と息子に顔を向ける桐生。二人は頷く。
「なんで二人に聞くねん、俺に聞けや」
「いや、兄さんが絡んでるようにしか見えなくてな……」
「こいつらの面倒は、俺が見てんのや」
「なんだと……?兄さんに子供が?!」
「……なんや、めんどい事になったのう」
呆れ顔で説明を始める真島。昔からの縁で女を守っている事、生い立ちが故に息子の面倒も見ている事、籍を入れていない事も言った。
「まぁ早い話、『俺の女』っちゅー事で二人を守っとるって事やな」
「そうだったのか……てっきり兄さんの子供かと」
「なんでそうなんねん!全然似とらんやろ!」
「この二重の感じとかそっくりだがなぁ……」
桐生と真島が少年の顔を見る。
「◯◯には似とるやろ、せやけど俺はおらんて!」
「いや、なんなら鼻も兄さんに似てる気が……」
息子の眼前で言い合う二人に、
「どうでもいいけど、俺の顔でごちゃごちゃ言うのやめてくんない?」
呆れた顔をする少年、横で苦笑いをする女。
「で、なんで兄さんはここにいるんだ?」
「せや、◯◯に息子が居なくなった、言われて探してたんや」
「あ、その件は……」
「俺が見つけたんだ」
桐生がいう。真島は桐生に向き合い、
「そうか、世話んなった」
と頭を下げる真島。意外な行動に驚く桐生に真島は頭を上げ、言葉を続ける。
「……せやけどこれとそれとは話は別や!」
飛びかかる真島。咄嗟に応戦する桐生。また始まったという顔をする女と呆れ顔の息子。
「どういう事だ!兄さん」
「言うたやろ、『堂島の龍』を取り戻す為に鍛えたるってな……まだ終わっとらん、行くで!桐生ちゃーん!!」
往来で派手な喧嘩を始める二人。段々と周りに野次馬が集まり女と息子は端に避ける。遠くから真島と桐生の喧嘩を眺める二人。
「立華不動産『桐生一馬』か……確かにごっつい男ね……」
「母さん、知ってるの?」
女の顔を覗き見る息子。
「名前だけはね、そっか……『堂島の龍』か……」
何かを思い出すように空を見上げる女。その横顔を見つめる息子。
喧嘩が終わったのか野次馬が段々と散っていく。ボロボロになった真島と桐生が二人に向かって歩いてくる。
「桐生一馬さん、強いのね」
「!……名前、知ってたのか」
「散々あの人から聞いてるし、元々噂で聞いてたの。あの人に代わってお礼を言うわ」
ありがとう、と再三のお礼を貰う桐生。なんとなく照れ臭くなる桐生に後から追いつく真島。
「桐生ちゃん、まだまだやで。次会ったらまた鍛えたるからな」
「……ああ」
と笑う桐生。今日はもう帰るという二人を駅まで見送り、真島と神室町まで歩く。
「……◯◯か、いい女だったな」
あ?と真島。
「いい女じゃねえか、なんで結婚しねえんだ?」
「……まあ、色々あるんや」
革ズボンのポケットに手を突っ込み歩く真島。
「コブ付きだからか?」
「そやない……いや、あん子も色々あるのは確かや。俺の一存で無理強いしたないだけや」
何かを思い返すような遠い目をする真島を見る。空気を変えるように桐生が続ける。
「そうか……なら俺にもチャンスはあるのか」
あ゛?!と真島。目を剥き桐生を見る。
「◯◯の息子なら遥とも上手くやってくれるんじゃねーか?」
「おま、何言うとるんや!!待たんかい!!」
逃げる桐生を追いかける真島が神室町天下一通りのゲートを潜り入って行き、神室町のいつもの喧騒に紛れていく二人。
1/2ページ