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カプごった煮



体が弱いのは体質だった。
幼い頃から入退院を繰り返し、同年代の子供のように外で遊ぶことはおろかろくに外へ出ることもままならなかった。そんな私がなんとか高校を出て大学に入学できたのは奇跡と言っても過言ではないと思っている。
順調に進むかと思っていた生活は、運命は私を嫌っているらしい。二年生に上がった春、倒れてしまった。原因は不明。ただ分かるのは、このままでは私は死ぬだろう、ということらしい。
突如突きつけられた死ぬ、という事実に私はどこか実感がわかずにいた。その代わりショックを受けたのが二人の友人。ギルベルト・バイルシュミットとアーサー・カークランド。
ギルベルトくんは私の先生。外に出られなかった私のためにいろいろなことを教えてくれたのだ。私より三つ年上のお兄ちゃんというポジションだ。
アーサーさんは私の幼なじみ。ギルベルトくんと同じく外に出られない私の傍にずっといてくれた大切な親友。
余命宣告を受けたということは2人にはもう言ってある。仕事中だろうからメールで送ったのだが、2人から同じような内容の返信メールが返ってきた。

それは、私への愛を綴ったものだった。

私は驚き、夢でも見てるんじゃないかと自分の頬をつねった。痛かった。夢じゃないんだ。そう思った。私の最後を看取りたい、俺じゃダメか、少しの間でいい、恋人にしてくれないか。そう言った内容だった。
どうすればいいのだろう。困りきった私はとにかく2人をそれぞれ時間をずらして病室に呼んだ。


「ギルベルトくん」
「菊、なあ、菊。俺は本気なんだ。好きだ、愛してる」
「…先がない私なんかよりも他の人がいるでしょうに」
「菊じゃないとダメなんだ…なあ、菊」
「…ギルベルトくん、考えさせてください」
「いい返事を待ってる」


「アーサーさん」
「菊、菊、きくきくきく、なあ、置いてかないでくれよ、俺はお前がいないとダメなんだ。わかってるだろう?」
「…アルフレッドさんやマシューさんがいるではないですか」
「キクの代わりはいない」
「…保留に、しておいても?」
「……… キクが言うなら。でも、早く返事をくれよ」

こうして私は二人の間で揺れ動くこととなった。
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