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カプごった煮

「アルフレッドさん?」
アルフレッドがアポ無しで菊の家に突撃し、玄関を壊して居間までドカドカと靴のまま侵入してきたまではいつも通りだった。だが、菊を見つけたその後バスコンとウインクするでもなく菊に抱きつき頭をグリグリと肩口に押し付け何も言わないのである。これには菊も何事かとお説経を忘れ困り果てた。
「どうかしたのですか?」
「んうううう……」
「なにか嫌なことでも?」
「…………………ん」
「大丈夫ですよ、貴方はアメリカでしょう?」
「…………んぅ」
ナンタケットがピコピコ揺れる。アルフレッドは少し落ち着いたらしい。説得を続けなければ爺の腰が死ぬ。
「アルフレッドさん、何があったかは知りませんが大丈夫ですよ。爺が保証します」
「…………うん」
「ほらほら、ヒーローなんだから泣かないで」
「…………ありがと、なんだぞ」
アルフレッドはようやく菊を解放した。そして自分の頬を1回叩くとニコッ、といつもの笑顔が戻った。
「おれの恋人は最高なんだぞ!」
「…はいはい」
苦笑いの菊は恋人というより親ポジの気がしますとは言えなかった。
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