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フェリ菊短編集



日本が俺の髪をいじる。情事の後の、砂糖菓子みたいな甘い空気。心地よいまどろみ。でも、俺の心はもやもやしていた。
「ねえ日本」
「なんですか、イタリアくん。くるんには触らないから安心してくださいな」
「やだよ、俺。一夜限りの関係なんて」「おや、ふふ、イタリアくんは鋭いですねえ」
「俺は本気なんだよ?本気でお前のことが……」
「それ以上は、いけませんよイタリアくん。国の身である私たちに、こんな感情など」
「じゃあ、なんで。……なんで俺に抱かれたの?」
「……さあ」
目を伏せる日本に俺は心が締め付けられた。ねえ!なんでそうやって身を引こうとするの!?
「俺たち両思いなんだよ、日本、諦めないでよ、お願いだからさ……」
「そう悲しそうな顔をしないでください。貴方が悲しむのは見たくない」
「矛盾してるよ、俺をそうさせてる張本人はお前だろ」
「……ええ、そうでしたね」
ああ、こんな時は煙草が吸いたくなる。
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