単発.長めの話まとめ
涼やかな風が金木犀の香りを連れて薄暗い室内へ吹き込んでくる。外は晴天。気温も風向きも丁度いい。あとはこの手の中にある、完成したての『くすり』を有効活用するだけだった。
夏目はたまらないとばかりに声を上げてひとり笑い出す。まさに徹夜明けのハイテンション。寝た方がいいと忠言をくれるひとは、幸か不幸か誰もおらず。
「……ついに出来タ!あとはこれをセンパイに浴びせるだけダ……!」
夏目の手の中にある霧吹き。その中には赤色の液体で満たされていた。腰に手を当て、アハハッという高笑い。無邪気さの滲む声でとんでもなく悪いことをこれから遂行しようとしているのだ。
「この超強力即効性媚薬でセンパイが情けないザコオスだってことを理解らせてやらないとネェ……!!」
ターゲットは本日、夏目とともに買い出しをする予定だった。夢ノ咲を卒業した夏目は、副所長の任をおりた彼──つむぎ、と共にSwitchの魔法を磨くために実験を繰り返している。その流れで実験に使う小道具やらを共に買いに行く予定が入ることが度々あり。その日が今日というわけだ。
昨夜から実験に没頭していたところ、思わぬ副産物が出来上がってしまった。丁度いいから憂さ晴らしにつむぎにぶちまけよう。と、徹夜明けで上手く回らない思考はぶっ飛び続けているのだが止めてくれる人なんて誰もいなかった。
鞄の中に媚薬入り霧吹きをしまい込み、そうして意気揚々と夏目は星奏館内の秘密の部屋から飛び出したのだ。
▷▷
逆先夏目と青葉つむぎは同じユニットに所属するアイドルであり、友人であり、昔なじみであり、そして『恋人』であった。
付き合いだしたきっかけは夏目がまだ夢ノ咲で二年生だった頃のことだ。抗争が終わって直ぐにつむぎから、「俺、君のことが好きみたいなんです」と微笑まれ、そこから始まったアプローチに押し負けた。
彼を見ていくうちに段々と彼自身にとてつもない愛情と執着と独占欲と支配欲と……その他もろもろの重量オーバー級の恋心を育んでしまっていた。絆されたともいう。そうして付き合い出したのがつむぎの卒業式前。そこからは順調なお付き合いを進め、ついには肉体関係を持つということさえ完遂した。
つまり今のつむぎは夏目だけのものであるはずなのだ。
セックスしてるんだからつむぎは夏目のものだし、夏目もつむぎのものであるはず。浮気なんてもってのほか。だというのにあのボケ男は。
夏目というものがありながらファンの女の子たちにちやほやされて鼻の下を伸ばしてるのだ。
なにが「髪を切ってからなんだかカッコイイってよく言われるんですよね〜」だ。「見つめて欲しいって言われて照れちゃいました」だ!嬉しそうに言うんじゃない!アイドルとして愛されてよかったね、なんて言えるほどボクの心は広くない!
その時は苛立ちすぎてどうにかなるかと思った。せめて仕事の邪魔をしないため、当たり障りなく「自惚れるなヨ」とだけ返したのだが当の本人は嬉しそうにはい、と言うだけだった。そんなことある?泣きそうになったのは仕方ないだろ。
そんな思いを抱えながらも実験をしていたところ、奇跡が起きた。天文学的確率で人体に無害でありながらも即効性超強力媚薬が出来上がったのだ。べつにこれをこうしてちょっと熱を加えたら媚薬が出来ちゃうな……にたどり着くために徹夜をしたわけじゃない。たまたまの副産物だ。本当だよ?
「──というわけデ、出来上がったものがこちらでス」
「夏目くん……またおかしなテンションになっちゃってますね?」
呆れ切ったつむぎを見下し鼻で笑う。馬鹿め。夏目の自室にて。ベッドの上には後ろ手に縛られた恋人の姿。夏目はその前に仁王立ちになって説明をしていたところだ。
媚薬が生み出された素晴らしい経緯を説いてやったというのに反応が薄い。気に食わない。
「それよリ、センパイは自分の心配をしなくていいノ?縛られちゃってるのに余裕綽々だネ」
「いえ、夏目くんの奇行ならある程度は慣れてますから……っていうか、媚薬ってなんですか?そんなものあるんですか?」
「本来ならばこの世に「媚薬」なんていう都合のいいものはないヨ。あったとしても興奮状態、催淫効果、強壮剤にフェロモンと言った眉唾物ばかりダ。でもボクは天才だからネ。できてしまうんだヨ……♪」
「本当に徹夜明けっぽいですね~?」
「うるさイ!もっと怯えロ!ボクに何をされるのかわからないって泣いて震えロ!!」
つむぎに指を突きつけ、彼の眼前に霧吹きを持ち出す。赤い液体がとぷりと揺れた。
「これがその媚薬ダ……これを浴びたらまず催淫作用により興奮状態になル……そして勃起シ、思考を快楽一色に塗り変えられ敏感になった五感すべてがセックスによる快楽を求めてしまうのダ……!サァ、準備はいいかナ♪」
「……そこでそのセリフはやめた方がいいですよ〜?まあでも、身体に悪いもの……毒とかが入ってさえいなければ付き合うこともやぶさかではありませんが」
「大丈夫サ。ボクを信じテ?」
にっこりと微笑みかけ、夏目はめくるめく快楽の世界へとつむぎを堕落させるため取っ手に指をかける。
ぐっと力をこめればぶしゅっ、と音がして霧状の媚薬が飛び散り──風に乗って二人に襲い掛かった。
「ぅぎゃア!?」
「わわっ!?ちょ、夏目くん!?君もかかってませんか?!」
「……ッ、どうしてだヨ!?なんかボクにもかかったんだけド!?なんでいきなり風が──……ッテ、そうダ……そういえば窓を開けっぱなしにしていたネ」
「そのせいじゃないですか~。何やってるんですか、まったくもう」
視線を動かせば見事に開いている窓。爽やかな秋風が吹きこんできて、あまったるい媚薬の匂いをまぜっ返していた。浴びてしまったものは仕方ない。これでしっぽり楽しむだけだ。──夏目は見事に理性と正気を失っていた。
「それじゃア、しようカ」
「一応聞きますけど、何をですか?」
「何ってこうなったラ、『セックス』しかないでショ」
苦笑をしたつむぎの鼻頭をぎゅむと摘み上げる。痛い目を見るのはセンパイの方なんだからな。自分には関係ありません、みたいに余裕こいていられるのも今のうちだ。
「フフッ……啼かせてあげル」
「……お手柔らかにお願いしますね」
さてどうやって泣かせてやろう。
「許してください夏目くん、もう君以外を見ませんから」とか「おねがいします、夏目くんじゃないとイけないんです」とか、「俺は夏目くんのものです。夏目くん以外をもう見ないからはやく君が欲しいんです」とか。
それこそ言わせたい言葉は星の数ほどある。人の欲望というのは尽きることを知らないのだ。つむぎの顎を掴んで視線を絡め、夏目はぞっとするような色香をまとわせ笑ったのだった。
▷
がちゃがちゃと金属が擦れる音がする。
「っうぁ……は、ぁ、はっ……」
「ンン……っふ……んむッ」
ちゅ、ぢゅるっ、ぬちゅ。濡れた音が鼓膜から体内の熱を上げていくようだ。つむぎの反り立つ肉棒に舌を這わせ、夏目はベッドサイドにしゃがみこんで奉仕をしていた。
指で重たく張っている陰嚢を揉みながら先端をぱくりと咥え、舌で段差をぬろぬろと舐める。
時折口を離して横から竿を食んで扱けばつむぎは太ももを震わせていた。
いつもより呼吸が乱れている。それに、感じ方も敏感になっているようだった。これが媚薬の成果。
「ングっ……ふ、んんゥ……」
「っく、あ、あ……も、イくっ……なつめ、く、あ、出る、出ちゃ、ぅあ、出るッ……ぇ、あれ!?」
彼の陰茎がびくびくと震え、耐えきれない声が高くなった頃合いを見てすっと口を離す。すべての愛撫を止めれば困惑しきった情けない声が聞こえてきて笑ってしまった。全力疾走のあとみたいな呼吸じゃん。情けな。
「ハハッ……簡単にイかせてあげるわけないじゃン」
「ど、どうしてですか〜!?かなりきついんですけど!!」
「生殺しだネェ……ご愁傷さマ♡」
後ろ手におもちゃの手錠で拘束されているせいで、彼は思うように動けず夏目が与えるだけの快楽しか得られていない。勃起させてから十数分。フェラをしてイきそうになったら全てを止める、という行為をひたすらに続けてきた。
媚薬がすっかり効いているはずだがまだつむぎの理性がドロドロに融け堕ちている感覚は無い。まだまだ正気だ。憎たらしいことにね。
本来ならばあの媚薬を浴び、十数分もお預けを食らわされてまともで居られるはずがない。誰でも善がり狂うように作ったおかげでクジラもイチコロの性能のはずだ。だというのにつむぎの様子は普段と大して変わりがない。
「……センパイ、本当に媚薬効いてル?」
「効いてますよ〜、すっごいキツイですね……さすがは夏目くんです」
「もうワンプッシュぐらいしとク?」
「え゛」
取り出した媚薬IN霧吹きをつむぎに向け、容赦なくぶしゅっぶしゅ、と何度か吹きかけた。甘い匂いがかすかに漂い、むせている声が聞こえてくる。掛けすぎたかも。ごめんセンパイ。
「……どウ?」
「っふー……ふ、ぅゔーーっ……」
ちらりと覗いてみれば荒々しい呼吸音と、目に見えて顔が火照りどろりと蕩けた瞳をしていた。
なんだ、効いてるじゃん。
ちょっと楽しくなってきて、夏目はバキバキに天を向いて腹までそり立っている陰茎に指を這わせる。我慢汁でぐちゃぐちゃだ。少し触れただけで「ひぁ、」とつむぎが啼いた。そうだよこれだよこういうのだよ!
「ハハッ……センパイ、苦しイ?イきたいノ?ホラ、おちんちんびくびくって震えちゃってぐしゃぐしゃに泣いてるネェ……こ〜んなにお汁垂らしちゃっテ、あ〜ァ、お行儀が悪いダメなセンパイ♡」
指先で竿から切っ先へ撫でただけでつむぎはひゃんひゃんと啼いている。あ、これ楽しいかも。
「ひっ♡♡う♡っゔあ♡♡っや、あ、あ、あ!♡なつめ、く、ひゃ、んんっ♡♡んん゛〜っ♡や、らぁ、も、イきた、あひ♡♡ひぐっ♡う♡♡」
「ざ〜こ♡ざこ♡♡センパイ、いっつもボクを抱いてるくせにおちんぽ撫でられてるだけでメス堕ちしちゃうんダァ……♡アハハ♡よわすギ♡♡どうすル?次から上下変えル?♡」
つむぎの膝に乗り上げ、耳元に囁き声を落としながら手淫で責め立てる。にゅこにゅことヌルついた肉棒を擦る度に彼は甘ったるい声をあげていて、さすがに反応が良すぎて楽しくなってきてしまう。
裏筋をぐり、と押したらつむぎが顎を仰け反らせた。
「アハッ……♡どうせだしサァ、センパイもこのまま女の子イキしちゃウ?ボクがやめてって言っても普段はやめてくれないからネ……たまにはそっち側も体験するといイ……♪」
「あ゛!あ゛ーっ!!ひ、ぐっ♡♡あふ♡んふぅ゛ッッ♡ゔお゛……ッ♡♡あ、あ゛!だめッだめ!イ゛ッ♡♡んゔッッ♡♡っづ……♡あ゛!?ど、ぉ、ひて♡♡!???」
「簡単にイかせてあげるわけないじゃン♡バ〜カ♡♡」
イきそうになったつむぎの陰茎の根元。そこをギュッと握りしめて射精を止めた。どうせ痛みも感じづらいんだ。思い切り握って、夏目は彼の首筋に舌を這わせる。汗に濡れた肌を舐めるとしょっぱくて。つむぎの匂いが濃く感じた。
「んむ……ッふ……フフ……セ〜ンパイ」
「うぎゃっ!?」
「アハハ……うぎゃっ!テ……何?ここ、気持ちいいでショ……♡」
尿道をせき止め、そのままもう片方の手で亀頭を擦る。鈴口に親指を当て、ぐりぐりっと撫でればつむぎは低い声で喘いでいた。
「ネェ」
「ひんんっ♡♡あひッ♡ひゃう♡く、ぅうんっっ♡♡♡」
「バカなワンチャン、ご主人様にどうしてほしイ?」
「どおっで、何でっ♡♡ひゃあうゔゔ♡♡♡おちんぽ壊れるっ♡♡だめっ♡なつめ、く、ああ゛♡ッッ♡♡」
「ウンウン♡びゅっびゅ♡できないネェ♡♡どうするノ?このまま出せない状態でメスイキしてみル?♡」
「やだやだやだっ♡♡イきたッ♡なぅめ、く、ひッッ♡♡ゆゔじで、おぇ、が、ッあ゛ふ♡♡」
ぐりぐりと開いている鈴口を刺激し続ければつむぎの目はドロドロに快楽に堕ちきっていた。背を反らして喘ぎ声をあげ、ひたすらちんぽを震わせている無様なオス。
ぞくぞくと背筋が愉悦で粟立った。だってこんなに必死になってボクにすがりついてるセンパイ、初めて見るから。
「ボクは優しい彼氏だからネ♡いいヨ♡イきたいならイってモ♡♡指、退かしてあげるけド……センパイ、どうなっちゃうんだろうネ?一気に溜まってた精子がドプドプ溢れてきテ、尿道をめちゃくちゃに膨らませておちんちんおかしくなっちゃうぐらい沢山精液が出ていくのかナ?イき続けてるみたいな感覚に耐え切れるかなァ?」
「ゔ♡あ゛♡♡あ゛〜〜ッッ♡♡んお゛♡♡ゔ♡ッお゛♡♡♡」
「それでもイきたいのかナ?」
こくこくと首を縦に振っているつむぎを見下ろし、夏目はにんまりと笑った。泣かせるにはまだ足りないがそれなりに楽しめた。それに、そろそろ|自《・》|分《・》|の《・》|方《・》|も《・》|限《・》|界《・》だ。
「よ〜シ♡イっちゃえ♡♡」
縛っていた指を離す。陰茎から搾るようにぢゅっ!と上へ扱けばつむぎは声にならない声を上げて精を吐き出した。
とぷとぷと絶えず落ちていく白濁液。少量ずつマグマが広がるように垂れていくそれは長い絶頂の証だった。
「アハハッ!ざこ♡快楽に勝てない雑魚オス♡」
「……ッ……♡♡」
「ボクが許してあげないとイけないなんて可哀想だネ〜?フフ……もう声も出せなイ?あァ、か〜わいイ……♡」
絶頂を味わっているつむぎの姿を見ていると、自分の陰茎もすっかり勃起してしまっていて。後ろに早く大きくて重たい熱が欲しいと先程から疼いて仕方ないのだ。つむぎの匂いが濃いせいで、興奮が抑えられない。
犬みたいな呼吸音に、おバカなワンチャンは果たしてどちらだろう、なんて思った。まあ、どちらでもいいんだけど。
「まだ終わらないからネ」
「えひッッ!?♡♡」
つむぎの陰茎を手で数度扱けば簡単に硬度を取り戻した。固定し、射精が止まってないそれをそのまま孔に宛てがう。ぷちゅ、と音が聞こえて羞恥が煽られた。
「ッふ……!」
「んぐっ!???!?」
「ボクもネ、媚薬浴びてるんだヨ……センパイ、足りないノ……おなかが寂しいんダ」
つむぎの陰茎を呑み込むと、腰を落とす。再奥に一気にたどり着いた怒張は欲しかったものだと安心さえしてしまう良さだった。
「あ゛ンッッ♡」
「イ゛っれゔ!なひゅめ、くっ……」
「呂律も回っテ、なイ、ネ……ッ」
彼の怒張を全て収める。ぐぽっ!と弁を開いて切っ先はS状結腸へ。
ハッハッ、と荒い呼吸を繰り返し、夏目はつむぎに抱きついた。頬擦りをして、後ろ手の拘束具を外してやる。抱きしめてくれないのが寂しいと思ってしまったからだ。
「これでお仕置は終わりダ……ネ、これからは普通のセックスをしよウ?」
つむぎの背に腕を回して抱きつく。汗で濡れた肌が夏目の服を濡らした。上はまだ着込んでいるせいでつむぎの全てを感じられない。
服を脱ごうと腕を離した。その瞬間だった。
「エッ……わ、ァ!?」
とん、と肩を押され、重力に従って背がシーツに沈んだ。驚いて「何するの」と聞く暇もなくつむぎが上にのしかかる。
「セン──」
「ふー゛ッ……ふ、ぅゔ……ッ……なつめ、くん……」
「エ、……ア、な、何……?」
「君も、媚薬、浴びてましたよね……?」
「ウ、ウン……」
逆光の中、見上げたつむぎの表情は荒々しく、今にも獲物を喰い尽くそうとしている獰猛な獣みたいで。唾を飲み込んで期待に疼く体が震えた。
彼の指先が夏目の喉仏から、鎖骨、胸へとたどって降りていく。腹に触れ、ヘソの窪みを擽ると嫌な予感がした。逃げ出そうともがいて、しかしつむぎが全身の体重をかけて来て身動きが取れなくなる。まずい。このままおかしな目に合いそうなのだけはわかる。
「セ、センパイ……?ちょっと落ち着いテ」
「落ち着いてますよ。君も辛いんじゃないですか?あの媚薬、相当強いものですから……ほら、君だってずっと勃起が落ち着いてない」
大きな手のひらが陰茎を握る。ずっと完勃ちしていたそこはぐしょぐしょに濡れきっていた。
くちゅ、と音がして、指が竿をゆるく扱く。ビリッとした快感が神経から脊髄、脳へ駆け抜ける。
「ゔァッ♡」
「夏目くんも、楽にしてあげますね……♡俺もまだまだ、イき足りなくて辛いので……♡♡」
「ヒェ……エ、あノ、別にそんな事しなくてもいいんだヨ……?」
「だいじょぶですよ〜♡君はただ気持ちよくなってくれればいいんです♡」
夏目はたまらないとばかりに声を上げてひとり笑い出す。まさに徹夜明けのハイテンション。寝た方がいいと忠言をくれるひとは、幸か不幸か誰もおらず。
「……ついに出来タ!あとはこれをセンパイに浴びせるだけダ……!」
夏目の手の中にある霧吹き。その中には赤色の液体で満たされていた。腰に手を当て、アハハッという高笑い。無邪気さの滲む声でとんでもなく悪いことをこれから遂行しようとしているのだ。
「この超強力即効性媚薬でセンパイが情けないザコオスだってことを理解らせてやらないとネェ……!!」
ターゲットは本日、夏目とともに買い出しをする予定だった。夢ノ咲を卒業した夏目は、副所長の任をおりた彼──つむぎ、と共にSwitchの魔法を磨くために実験を繰り返している。その流れで実験に使う小道具やらを共に買いに行く予定が入ることが度々あり。その日が今日というわけだ。
昨夜から実験に没頭していたところ、思わぬ副産物が出来上がってしまった。丁度いいから憂さ晴らしにつむぎにぶちまけよう。と、徹夜明けで上手く回らない思考はぶっ飛び続けているのだが止めてくれる人なんて誰もいなかった。
鞄の中に媚薬入り霧吹きをしまい込み、そうして意気揚々と夏目は星奏館内の秘密の部屋から飛び出したのだ。
▷▷
逆先夏目と青葉つむぎは同じユニットに所属するアイドルであり、友人であり、昔なじみであり、そして『恋人』であった。
付き合いだしたきっかけは夏目がまだ夢ノ咲で二年生だった頃のことだ。抗争が終わって直ぐにつむぎから、「俺、君のことが好きみたいなんです」と微笑まれ、そこから始まったアプローチに押し負けた。
彼を見ていくうちに段々と彼自身にとてつもない愛情と執着と独占欲と支配欲と……その他もろもろの重量オーバー級の恋心を育んでしまっていた。絆されたともいう。そうして付き合い出したのがつむぎの卒業式前。そこからは順調なお付き合いを進め、ついには肉体関係を持つということさえ完遂した。
つまり今のつむぎは夏目だけのものであるはずなのだ。
セックスしてるんだからつむぎは夏目のものだし、夏目もつむぎのものであるはず。浮気なんてもってのほか。だというのにあのボケ男は。
夏目というものがありながらファンの女の子たちにちやほやされて鼻の下を伸ばしてるのだ。
なにが「髪を切ってからなんだかカッコイイってよく言われるんですよね〜」だ。「見つめて欲しいって言われて照れちゃいました」だ!嬉しそうに言うんじゃない!アイドルとして愛されてよかったね、なんて言えるほどボクの心は広くない!
その時は苛立ちすぎてどうにかなるかと思った。せめて仕事の邪魔をしないため、当たり障りなく「自惚れるなヨ」とだけ返したのだが当の本人は嬉しそうにはい、と言うだけだった。そんなことある?泣きそうになったのは仕方ないだろ。
そんな思いを抱えながらも実験をしていたところ、奇跡が起きた。天文学的確率で人体に無害でありながらも即効性超強力媚薬が出来上がったのだ。べつにこれをこうしてちょっと熱を加えたら媚薬が出来ちゃうな……にたどり着くために徹夜をしたわけじゃない。たまたまの副産物だ。本当だよ?
「──というわけデ、出来上がったものがこちらでス」
「夏目くん……またおかしなテンションになっちゃってますね?」
呆れ切ったつむぎを見下し鼻で笑う。馬鹿め。夏目の自室にて。ベッドの上には後ろ手に縛られた恋人の姿。夏目はその前に仁王立ちになって説明をしていたところだ。
媚薬が生み出された素晴らしい経緯を説いてやったというのに反応が薄い。気に食わない。
「それよリ、センパイは自分の心配をしなくていいノ?縛られちゃってるのに余裕綽々だネ」
「いえ、夏目くんの奇行ならある程度は慣れてますから……っていうか、媚薬ってなんですか?そんなものあるんですか?」
「本来ならばこの世に「媚薬」なんていう都合のいいものはないヨ。あったとしても興奮状態、催淫効果、強壮剤にフェロモンと言った眉唾物ばかりダ。でもボクは天才だからネ。できてしまうんだヨ……♪」
「本当に徹夜明けっぽいですね~?」
「うるさイ!もっと怯えロ!ボクに何をされるのかわからないって泣いて震えロ!!」
つむぎに指を突きつけ、彼の眼前に霧吹きを持ち出す。赤い液体がとぷりと揺れた。
「これがその媚薬ダ……これを浴びたらまず催淫作用により興奮状態になル……そして勃起シ、思考を快楽一色に塗り変えられ敏感になった五感すべてがセックスによる快楽を求めてしまうのダ……!サァ、準備はいいかナ♪」
「……そこでそのセリフはやめた方がいいですよ〜?まあでも、身体に悪いもの……毒とかが入ってさえいなければ付き合うこともやぶさかではありませんが」
「大丈夫サ。ボクを信じテ?」
にっこりと微笑みかけ、夏目はめくるめく快楽の世界へとつむぎを堕落させるため取っ手に指をかける。
ぐっと力をこめればぶしゅっ、と音がして霧状の媚薬が飛び散り──風に乗って二人に襲い掛かった。
「ぅぎゃア!?」
「わわっ!?ちょ、夏目くん!?君もかかってませんか?!」
「……ッ、どうしてだヨ!?なんかボクにもかかったんだけド!?なんでいきなり風が──……ッテ、そうダ……そういえば窓を開けっぱなしにしていたネ」
「そのせいじゃないですか~。何やってるんですか、まったくもう」
視線を動かせば見事に開いている窓。爽やかな秋風が吹きこんできて、あまったるい媚薬の匂いをまぜっ返していた。浴びてしまったものは仕方ない。これでしっぽり楽しむだけだ。──夏目は見事に理性と正気を失っていた。
「それじゃア、しようカ」
「一応聞きますけど、何をですか?」
「何ってこうなったラ、『セックス』しかないでショ」
苦笑をしたつむぎの鼻頭をぎゅむと摘み上げる。痛い目を見るのはセンパイの方なんだからな。自分には関係ありません、みたいに余裕こいていられるのも今のうちだ。
「フフッ……啼かせてあげル」
「……お手柔らかにお願いしますね」
さてどうやって泣かせてやろう。
「許してください夏目くん、もう君以外を見ませんから」とか「おねがいします、夏目くんじゃないとイけないんです」とか、「俺は夏目くんのものです。夏目くん以外をもう見ないからはやく君が欲しいんです」とか。
それこそ言わせたい言葉は星の数ほどある。人の欲望というのは尽きることを知らないのだ。つむぎの顎を掴んで視線を絡め、夏目はぞっとするような色香をまとわせ笑ったのだった。
▷
がちゃがちゃと金属が擦れる音がする。
「っうぁ……は、ぁ、はっ……」
「ンン……っふ……んむッ」
ちゅ、ぢゅるっ、ぬちゅ。濡れた音が鼓膜から体内の熱を上げていくようだ。つむぎの反り立つ肉棒に舌を這わせ、夏目はベッドサイドにしゃがみこんで奉仕をしていた。
指で重たく張っている陰嚢を揉みながら先端をぱくりと咥え、舌で段差をぬろぬろと舐める。
時折口を離して横から竿を食んで扱けばつむぎは太ももを震わせていた。
いつもより呼吸が乱れている。それに、感じ方も敏感になっているようだった。これが媚薬の成果。
「ングっ……ふ、んんゥ……」
「っく、あ、あ……も、イくっ……なつめ、く、あ、出る、出ちゃ、ぅあ、出るッ……ぇ、あれ!?」
彼の陰茎がびくびくと震え、耐えきれない声が高くなった頃合いを見てすっと口を離す。すべての愛撫を止めれば困惑しきった情けない声が聞こえてきて笑ってしまった。全力疾走のあとみたいな呼吸じゃん。情けな。
「ハハッ……簡単にイかせてあげるわけないじゃン」
「ど、どうしてですか〜!?かなりきついんですけど!!」
「生殺しだネェ……ご愁傷さマ♡」
後ろ手におもちゃの手錠で拘束されているせいで、彼は思うように動けず夏目が与えるだけの快楽しか得られていない。勃起させてから十数分。フェラをしてイきそうになったら全てを止める、という行為をひたすらに続けてきた。
媚薬がすっかり効いているはずだがまだつむぎの理性がドロドロに融け堕ちている感覚は無い。まだまだ正気だ。憎たらしいことにね。
本来ならばあの媚薬を浴び、十数分もお預けを食らわされてまともで居られるはずがない。誰でも善がり狂うように作ったおかげでクジラもイチコロの性能のはずだ。だというのにつむぎの様子は普段と大して変わりがない。
「……センパイ、本当に媚薬効いてル?」
「効いてますよ〜、すっごいキツイですね……さすがは夏目くんです」
「もうワンプッシュぐらいしとク?」
「え゛」
取り出した媚薬IN霧吹きをつむぎに向け、容赦なくぶしゅっぶしゅ、と何度か吹きかけた。甘い匂いがかすかに漂い、むせている声が聞こえてくる。掛けすぎたかも。ごめんセンパイ。
「……どウ?」
「っふー……ふ、ぅゔーーっ……」
ちらりと覗いてみれば荒々しい呼吸音と、目に見えて顔が火照りどろりと蕩けた瞳をしていた。
なんだ、効いてるじゃん。
ちょっと楽しくなってきて、夏目はバキバキに天を向いて腹までそり立っている陰茎に指を這わせる。我慢汁でぐちゃぐちゃだ。少し触れただけで「ひぁ、」とつむぎが啼いた。そうだよこれだよこういうのだよ!
「ハハッ……センパイ、苦しイ?イきたいノ?ホラ、おちんちんびくびくって震えちゃってぐしゃぐしゃに泣いてるネェ……こ〜んなにお汁垂らしちゃっテ、あ〜ァ、お行儀が悪いダメなセンパイ♡」
指先で竿から切っ先へ撫でただけでつむぎはひゃんひゃんと啼いている。あ、これ楽しいかも。
「ひっ♡♡う♡っゔあ♡♡っや、あ、あ、あ!♡なつめ、く、ひゃ、んんっ♡♡んん゛〜っ♡や、らぁ、も、イきた、あひ♡♡ひぐっ♡う♡♡」
「ざ〜こ♡ざこ♡♡センパイ、いっつもボクを抱いてるくせにおちんぽ撫でられてるだけでメス堕ちしちゃうんダァ……♡アハハ♡よわすギ♡♡どうすル?次から上下変えル?♡」
つむぎの膝に乗り上げ、耳元に囁き声を落としながら手淫で責め立てる。にゅこにゅことヌルついた肉棒を擦る度に彼は甘ったるい声をあげていて、さすがに反応が良すぎて楽しくなってきてしまう。
裏筋をぐり、と押したらつむぎが顎を仰け反らせた。
「アハッ……♡どうせだしサァ、センパイもこのまま女の子イキしちゃウ?ボクがやめてって言っても普段はやめてくれないからネ……たまにはそっち側も体験するといイ……♪」
「あ゛!あ゛ーっ!!ひ、ぐっ♡♡あふ♡んふぅ゛ッッ♡ゔお゛……ッ♡♡あ、あ゛!だめッだめ!イ゛ッ♡♡んゔッッ♡♡っづ……♡あ゛!?ど、ぉ、ひて♡♡!???」
「簡単にイかせてあげるわけないじゃン♡バ〜カ♡♡」
イきそうになったつむぎの陰茎の根元。そこをギュッと握りしめて射精を止めた。どうせ痛みも感じづらいんだ。思い切り握って、夏目は彼の首筋に舌を這わせる。汗に濡れた肌を舐めるとしょっぱくて。つむぎの匂いが濃く感じた。
「んむ……ッふ……フフ……セ〜ンパイ」
「うぎゃっ!?」
「アハハ……うぎゃっ!テ……何?ここ、気持ちいいでショ……♡」
尿道をせき止め、そのままもう片方の手で亀頭を擦る。鈴口に親指を当て、ぐりぐりっと撫でればつむぎは低い声で喘いでいた。
「ネェ」
「ひんんっ♡♡あひッ♡ひゃう♡く、ぅうんっっ♡♡♡」
「バカなワンチャン、ご主人様にどうしてほしイ?」
「どおっで、何でっ♡♡ひゃあうゔゔ♡♡♡おちんぽ壊れるっ♡♡だめっ♡なつめ、く、ああ゛♡ッッ♡♡」
「ウンウン♡びゅっびゅ♡できないネェ♡♡どうするノ?このまま出せない状態でメスイキしてみル?♡」
「やだやだやだっ♡♡イきたッ♡なぅめ、く、ひッッ♡♡ゆゔじで、おぇ、が、ッあ゛ふ♡♡」
ぐりぐりと開いている鈴口を刺激し続ければつむぎの目はドロドロに快楽に堕ちきっていた。背を反らして喘ぎ声をあげ、ひたすらちんぽを震わせている無様なオス。
ぞくぞくと背筋が愉悦で粟立った。だってこんなに必死になってボクにすがりついてるセンパイ、初めて見るから。
「ボクは優しい彼氏だからネ♡いいヨ♡イきたいならイってモ♡♡指、退かしてあげるけド……センパイ、どうなっちゃうんだろうネ?一気に溜まってた精子がドプドプ溢れてきテ、尿道をめちゃくちゃに膨らませておちんちんおかしくなっちゃうぐらい沢山精液が出ていくのかナ?イき続けてるみたいな感覚に耐え切れるかなァ?」
「ゔ♡あ゛♡♡あ゛〜〜ッッ♡♡んお゛♡♡ゔ♡ッお゛♡♡♡」
「それでもイきたいのかナ?」
こくこくと首を縦に振っているつむぎを見下ろし、夏目はにんまりと笑った。泣かせるにはまだ足りないがそれなりに楽しめた。それに、そろそろ|自《・》|分《・》|の《・》|方《・》|も《・》|限《・》|界《・》だ。
「よ〜シ♡イっちゃえ♡♡」
縛っていた指を離す。陰茎から搾るようにぢゅっ!と上へ扱けばつむぎは声にならない声を上げて精を吐き出した。
とぷとぷと絶えず落ちていく白濁液。少量ずつマグマが広がるように垂れていくそれは長い絶頂の証だった。
「アハハッ!ざこ♡快楽に勝てない雑魚オス♡」
「……ッ……♡♡」
「ボクが許してあげないとイけないなんて可哀想だネ〜?フフ……もう声も出せなイ?あァ、か〜わいイ……♡」
絶頂を味わっているつむぎの姿を見ていると、自分の陰茎もすっかり勃起してしまっていて。後ろに早く大きくて重たい熱が欲しいと先程から疼いて仕方ないのだ。つむぎの匂いが濃いせいで、興奮が抑えられない。
犬みたいな呼吸音に、おバカなワンチャンは果たしてどちらだろう、なんて思った。まあ、どちらでもいいんだけど。
「まだ終わらないからネ」
「えひッッ!?♡♡」
つむぎの陰茎を手で数度扱けば簡単に硬度を取り戻した。固定し、射精が止まってないそれをそのまま孔に宛てがう。ぷちゅ、と音が聞こえて羞恥が煽られた。
「ッふ……!」
「んぐっ!???!?」
「ボクもネ、媚薬浴びてるんだヨ……センパイ、足りないノ……おなかが寂しいんダ」
つむぎの陰茎を呑み込むと、腰を落とす。再奥に一気にたどり着いた怒張は欲しかったものだと安心さえしてしまう良さだった。
「あ゛ンッッ♡」
「イ゛っれゔ!なひゅめ、くっ……」
「呂律も回っテ、なイ、ネ……ッ」
彼の怒張を全て収める。ぐぽっ!と弁を開いて切っ先はS状結腸へ。
ハッハッ、と荒い呼吸を繰り返し、夏目はつむぎに抱きついた。頬擦りをして、後ろ手の拘束具を外してやる。抱きしめてくれないのが寂しいと思ってしまったからだ。
「これでお仕置は終わりダ……ネ、これからは普通のセックスをしよウ?」
つむぎの背に腕を回して抱きつく。汗で濡れた肌が夏目の服を濡らした。上はまだ着込んでいるせいでつむぎの全てを感じられない。
服を脱ごうと腕を離した。その瞬間だった。
「エッ……わ、ァ!?」
とん、と肩を押され、重力に従って背がシーツに沈んだ。驚いて「何するの」と聞く暇もなくつむぎが上にのしかかる。
「セン──」
「ふー゛ッ……ふ、ぅゔ……ッ……なつめ、くん……」
「エ、……ア、な、何……?」
「君も、媚薬、浴びてましたよね……?」
「ウ、ウン……」
逆光の中、見上げたつむぎの表情は荒々しく、今にも獲物を喰い尽くそうとしている獰猛な獣みたいで。唾を飲み込んで期待に疼く体が震えた。
彼の指先が夏目の喉仏から、鎖骨、胸へとたどって降りていく。腹に触れ、ヘソの窪みを擽ると嫌な予感がした。逃げ出そうともがいて、しかしつむぎが全身の体重をかけて来て身動きが取れなくなる。まずい。このままおかしな目に合いそうなのだけはわかる。
「セ、センパイ……?ちょっと落ち着いテ」
「落ち着いてますよ。君も辛いんじゃないですか?あの媚薬、相当強いものですから……ほら、君だってずっと勃起が落ち着いてない」
大きな手のひらが陰茎を握る。ずっと完勃ちしていたそこはぐしょぐしょに濡れきっていた。
くちゅ、と音がして、指が竿をゆるく扱く。ビリッとした快感が神経から脊髄、脳へ駆け抜ける。
「ゔァッ♡」
「夏目くんも、楽にしてあげますね……♡俺もまだまだ、イき足りなくて辛いので……♡♡」
「ヒェ……エ、あノ、別にそんな事しなくてもいいんだヨ……?」
「だいじょぶですよ〜♡君はただ気持ちよくなってくれればいいんです♡」
