2022年に書いたもの
「っふふ、駄犬みたいだネェ?センパイ♡」
20歳になって、夏目くんは大人の付き合いとして酒を飲んで帰ってくる日がたまにある。
借りてるアパートの一室で会う約束をして、彼を待っていたら酒に酔った姿で現れる、なんてこともなくはない。そして、それが今日だった。
上機嫌に帰ってきた彼を出迎えれば、そこで抱きしめられ──というか首をホールドされて髪をワシワシと犬相手にするみたいに撫でまくられる。
「えっ、わ、夏目くん!?」
「センパイ、お手」
「しませんよ!?」
むう、とむくれて夏目くんは俺にコートを押し付ける。
「もう、せっかく2人で過ごせる夜なのに……」
「お酒が入った方が都合がいいんだヨ」
「都合……」
ってなんですか、と続けようとして、顔を上げる。目の前に、夏目くんの伏せられた瞳が見えた。
口にあたる柔らかな感触に、鼻腔に満ちるアルコールの匂い。そこでようやく、俺はキスされているのだと気づいた。
「えっ」
「ふ、っ……」
夏目くん、まつげ長いな、とか。お酒くさいな、とか。
──アルコール入ってるのなら、セックスしても勃たないのに、とか。
「夏目くん、酔ってるのなら、ベッド行きましょうよ」
「お誘いかナ?」
「違います。酔っ払いに手を出すほど落ちぶれちゃいません」
夏目くんをどうにか引き剥がして、寝室へと引きずろうとする。けれど夏目くんは、動いてくれなかった。
「夏目くん?」
「……」
「どうしたんですか?気持ち悪くなっちゃいました?」
「手、出せヨ…」
「えっ?……っわ!?」
足払いをかけられ、狭い廊下に倒れ込んだ。上を見ると夏目くんが照明を背にして俺を見下ろしていて、その瞳はぎらついていた。
「な」
「決めタ。ここでセンパイをレイプしてやル」
「えっ!?」
「センパイがわるいんダ」
ゆるめのスウェットに隠されていた首元に、濡れたくちびるが触れる。べろりと舐められ、夏目くんがそのままキスを落としていく。くすぐったいのと、酔っ払い相手にするわけにもいかないので、なんとか理性を総動員させて俺は彼を引き剥がした。
「言ったでしょう?酔ってる子に手は出さない、って……夏目くん、本当にどうしたんですか?」
「……セックスがしたイ」
「え?」
「っ〜〜〜〜!!だかラ!!センパイとえっちしたいって言ってるノ!!」
見上げた夏目くんは、目元を真っ赤に染めていて。潤んだ瞳に酔っているとは思えない様子で、俺を睨みつけていた。
「……えっちしたいなら、普通に誘ってくださいよ」
「うるさイ、バカ」
「……ここじゃ身体が痛くなっちゃうので、ベッドにいきましょう?」
「……」
夏目くんの手を取れば、彼は素直に立ち上がる。俺の服の裾を掴んで、はやく、と急かした声は甘くて。
「なんでこんなことしたんですか?」
「……だって言えるわけないでショ」
「なんでですか?」
「我慢ができない犬なのハ、センパイであるべきだかラ」
ああもう。そういう変な意地を張っちゃうとこ、可愛いなぁと思ってしまうんですけどね。
20歳になって、夏目くんは大人の付き合いとして酒を飲んで帰ってくる日がたまにある。
借りてるアパートの一室で会う約束をして、彼を待っていたら酒に酔った姿で現れる、なんてこともなくはない。そして、それが今日だった。
上機嫌に帰ってきた彼を出迎えれば、そこで抱きしめられ──というか首をホールドされて髪をワシワシと犬相手にするみたいに撫でまくられる。
「えっ、わ、夏目くん!?」
「センパイ、お手」
「しませんよ!?」
むう、とむくれて夏目くんは俺にコートを押し付ける。
「もう、せっかく2人で過ごせる夜なのに……」
「お酒が入った方が都合がいいんだヨ」
「都合……」
ってなんですか、と続けようとして、顔を上げる。目の前に、夏目くんの伏せられた瞳が見えた。
口にあたる柔らかな感触に、鼻腔に満ちるアルコールの匂い。そこでようやく、俺はキスされているのだと気づいた。
「えっ」
「ふ、っ……」
夏目くん、まつげ長いな、とか。お酒くさいな、とか。
──アルコール入ってるのなら、セックスしても勃たないのに、とか。
「夏目くん、酔ってるのなら、ベッド行きましょうよ」
「お誘いかナ?」
「違います。酔っ払いに手を出すほど落ちぶれちゃいません」
夏目くんをどうにか引き剥がして、寝室へと引きずろうとする。けれど夏目くんは、動いてくれなかった。
「夏目くん?」
「……」
「どうしたんですか?気持ち悪くなっちゃいました?」
「手、出せヨ…」
「えっ?……っわ!?」
足払いをかけられ、狭い廊下に倒れ込んだ。上を見ると夏目くんが照明を背にして俺を見下ろしていて、その瞳はぎらついていた。
「な」
「決めタ。ここでセンパイをレイプしてやル」
「えっ!?」
「センパイがわるいんダ」
ゆるめのスウェットに隠されていた首元に、濡れたくちびるが触れる。べろりと舐められ、夏目くんがそのままキスを落としていく。くすぐったいのと、酔っ払い相手にするわけにもいかないので、なんとか理性を総動員させて俺は彼を引き剥がした。
「言ったでしょう?酔ってる子に手は出さない、って……夏目くん、本当にどうしたんですか?」
「……セックスがしたイ」
「え?」
「っ〜〜〜〜!!だかラ!!センパイとえっちしたいって言ってるノ!!」
見上げた夏目くんは、目元を真っ赤に染めていて。潤んだ瞳に酔っているとは思えない様子で、俺を睨みつけていた。
「……えっちしたいなら、普通に誘ってくださいよ」
「うるさイ、バカ」
「……ここじゃ身体が痛くなっちゃうので、ベッドにいきましょう?」
「……」
夏目くんの手を取れば、彼は素直に立ち上がる。俺の服の裾を掴んで、はやく、と急かした声は甘くて。
「なんでこんなことしたんですか?」
「……だって言えるわけないでショ」
「なんでですか?」
「我慢ができない犬なのハ、センパイであるべきだかラ」
ああもう。そういう変な意地を張っちゃうとこ、可愛いなぁと思ってしまうんですけどね。
