2022年に書いたもの
「不愉快だネ」
「なにがですか?」
就業時間も終わった夜のニューディの給湯室。コーヒーを飲みに来た俺は、そこで恋人でありユニットの仲間である夏目くんに捕まった。
「心当たりは無いのかナ?」
「ないです……また俺がなにか?」
特に思い当たることはない。彼に関することで今日あったことと言えば、彼自身と今こうして会話ができて、今日の疲れもそれだけ意味があったのかなということだけだ。
うーん、と悩んでいるとコーヒーをいれたマグカップを取り上げられ、夏目くんがひょい、と俺の口の中になにかを放り込んだ。
「んっ!?」
「飴だヨ。おかしなものじゃなイ」
「な、なんで……」
飴玉は本当にただの飴玉のようでいちごの味がした。ころころと転がしていると、夏目くんは冷めた目で俺を見る。
「センパイがそんな顔しているかラ。それ以外にあル?」
「……?」
だから、と前置き。ぐい、と夏目くんが俺に迫る。思わずのけぞって、後退しようとしてもシンクが後ろにある。やけに真剣な瞳の色。魅せられるように身体が動かなくなる。
「その顔、ボク以外に見せるナ、って言ってるんダ、センパイ?」
「え、……っと……どんな顔してますか、俺」
さらに近づく。夏目くんの瞳が、目の前にある。吐息のかかる距離。艶のある声が、ぞくりとする温度で囁いた。
「キスしてほしくてたまらないって顔」
びっくりして、慌てて顔を確認するように手で覆う。くすくすと笑う声が聞こえて、いじわるしたんですか?なんて真っ赤に染まっているであろう頬を抑えて問いかければ。
「いじわるっテ?」
「キス、されるか、と……」
「へぇ」
どこか愉しそうな、声。
「うう…夏目くん、からかわないで──」
「からかってるだけだと思うノ?」
「へ……」
気づけば手を顔から外されていた。ぽかんとする俺の手をおろし、指を絡めて握りこまれる。退路を絶たれたのだと気づいたのは、ちゅ、なんて軽い音と唇への感触が触れた後。
「ボクの顔を見テ?どんな顔してル?」
少し離れた距離に、ようやく頭が追いついた俺はただ彼を見る。その顔は、耳まで真っ赤で。
「……」
「こういう顔、誰にも見せたくないでショ?それすら分からなイ?」
照れた顔で、にいっと笑って、夏目くんが俺の首に手を回す。ぐいと引っ張られ、また軽い音がした。今度はほほに。
「センパイのそう言う顔を見ていいのハ、ボクだケ。だからどこでもかまわずそんな顔をしなイ。そうしないと許さないヨ。いいネ?」
「許さないと、どうなるんですか」
「ン〜、1ヶ月、キス禁止?」
「それ、夏目くんの方が耐えられなくなりませんか?」
「うるっさいナァ」
げし、と俺の脚を蹴る夏目くん。いたい、と悲鳴をあげれば自業自得だヨ、なんてそっぽを向く。その髪に隠れきれてない耳の先、朱色に熟れた色をしていることに気づいたことは、言わないでおこう。
「なにがですか?」
就業時間も終わった夜のニューディの給湯室。コーヒーを飲みに来た俺は、そこで恋人でありユニットの仲間である夏目くんに捕まった。
「心当たりは無いのかナ?」
「ないです……また俺がなにか?」
特に思い当たることはない。彼に関することで今日あったことと言えば、彼自身と今こうして会話ができて、今日の疲れもそれだけ意味があったのかなということだけだ。
うーん、と悩んでいるとコーヒーをいれたマグカップを取り上げられ、夏目くんがひょい、と俺の口の中になにかを放り込んだ。
「んっ!?」
「飴だヨ。おかしなものじゃなイ」
「な、なんで……」
飴玉は本当にただの飴玉のようでいちごの味がした。ころころと転がしていると、夏目くんは冷めた目で俺を見る。
「センパイがそんな顔しているかラ。それ以外にあル?」
「……?」
だから、と前置き。ぐい、と夏目くんが俺に迫る。思わずのけぞって、後退しようとしてもシンクが後ろにある。やけに真剣な瞳の色。魅せられるように身体が動かなくなる。
「その顔、ボク以外に見せるナ、って言ってるんダ、センパイ?」
「え、……っと……どんな顔してますか、俺」
さらに近づく。夏目くんの瞳が、目の前にある。吐息のかかる距離。艶のある声が、ぞくりとする温度で囁いた。
「キスしてほしくてたまらないって顔」
びっくりして、慌てて顔を確認するように手で覆う。くすくすと笑う声が聞こえて、いじわるしたんですか?なんて真っ赤に染まっているであろう頬を抑えて問いかければ。
「いじわるっテ?」
「キス、されるか、と……」
「へぇ」
どこか愉しそうな、声。
「うう…夏目くん、からかわないで──」
「からかってるだけだと思うノ?」
「へ……」
気づけば手を顔から外されていた。ぽかんとする俺の手をおろし、指を絡めて握りこまれる。退路を絶たれたのだと気づいたのは、ちゅ、なんて軽い音と唇への感触が触れた後。
「ボクの顔を見テ?どんな顔してル?」
少し離れた距離に、ようやく頭が追いついた俺はただ彼を見る。その顔は、耳まで真っ赤で。
「……」
「こういう顔、誰にも見せたくないでショ?それすら分からなイ?」
照れた顔で、にいっと笑って、夏目くんが俺の首に手を回す。ぐいと引っ張られ、また軽い音がした。今度はほほに。
「センパイのそう言う顔を見ていいのハ、ボクだケ。だからどこでもかまわずそんな顔をしなイ。そうしないと許さないヨ。いいネ?」
「許さないと、どうなるんですか」
「ン〜、1ヶ月、キス禁止?」
「それ、夏目くんの方が耐えられなくなりませんか?」
「うるっさいナァ」
げし、と俺の脚を蹴る夏目くん。いたい、と悲鳴をあげれば自業自得だヨ、なんてそっぽを向く。その髪に隠れきれてない耳の先、朱色に熟れた色をしていることに気づいたことは、言わないでおこう。
