2023年〜2024年に書いたもの
カチャカチャとジョイスティックとボタンを叩く音がしている。
時刻は夜中。夕飯を終えて各々の時間だ。つむぎはニューディメンションの後輩アイドルたちの次のライブを確認していて、その膝の上では夏目が真剣な顔でゲームをしていた。今日は対人ではなくオープンワールドのゲームらしい。画面を見つめてプレイヤーキャラクターを動かしている。
カフェオレに手を伸ばしてつむぎが自分のパソコンから視線を夏目のゲーム画面に向ける。据え置きタイプのゲーム機を必死に動かしていて画面の中の敵をばしばしとしばき倒していた。
「器用ですよね、夏目くん」
「ハ?いきなり何?」
「いえ、小さなコントローラーを動かして狂いもなく敵を倒しているのがすごいなぁって」
「フン、不器用なセンパイには無理なんだろうけド、こんなの誰でも慣れればできるヨ」
画面では敵を倒し終わったリザルトが表示されている。つむぎにはよくわからないがそれがハイスコアだということはなんとなく察せられた。器用だなあと恋人を見下ろしながら思う。つむぎとは大違いで彼は繊細な物事も簡単に完璧に組み立てられる。
「すごいですね、君は」
「今更気づいたノ?」
ふふんと誇らしげに鼻を鳴らした夏目が可愛らしく見えてふにゃりと笑ってしまう。しかしそうやって笑ったのが気に食わなかったのか、むっとした顔で夏目はつむぎの腹を肘でぐりぐりと押す。
「な、なんなんですか~?」
「センパイのくせに生意気」
「ええっ?どこが?」
「黙ってボクの椅子になってればいいんだヨ」
「ええ~??」
よくわからない理論で怒られてしまった。素直に褒めていたのにどうして。夏目のことを理解できた試しはない。けれどそれでもお互いがそばにいるのは愛し合っているからなのだろう。夏目に詰られることさえもどこか幸せに感じてしまうほどにはつむぎは夏目に惚れ込んでいるのだから。
「ハァ……いいかラ、椅子は黙ってれバ?」
「まあ、別におしゃべりしたい感じではありませんし。君をこうして愛でられるのは楽しいからそうさせてもらいますね」
「……」
胡乱な目を向けられた。本心を話しているだけなのにどうしてか夏目はこうして呆れたというような目を向けてくるときがある。それでもゲームに意識を戻して大切な恋人はつむぎのことを意識の外に置いた。
膝の上に乗っている彼のことをじっと見る。後ろからだと後頭部やうなじあたりまでしか見えないのだが、それでも夏目は可愛く見える。夏目がコントローラーをカチャカチャと動かしているのを見ながら空気を吸えば鼻孔いっぱい肺にまで彼の香りが届いてくる。すっきりとした香水の香りに、汗のにおい、それにかすかに香るボディソープの甘い匂い。夏目自身の体臭は薄くてそれこそベッドの中だとかじゃないと嗅げないのだがこうして一日の終わりに引っ付いているとかすかに彼自身の匂いも嗅げるのだ。これは有益なライフハック。
すんすんと匂いを感じて夏目の頭に顔を寄せる。赤毛に顔を押し付けるとうわ、という驚いた声が聞こえた。しかし止められないので許されているのだろう。そのまま夏目の匂いを嗅ぐ。整髪剤の香りがする。夏目はいろんな匂いをまとっているのだ。時々によって薬っぽいものだとか、無機質なものだとか、こうして整髪剤だったりたまに珈琲だったりといろいろ。その匂いが実は結構好きだったりする。
それにしても白い肌だ。視線を落とした先のうなじを見て。ぼんやりと美味しそう、という感想が浮かんだ。この白い肌が上気して赤に染まり、恥じらいを込めてつむぎを見上げてくる。そんな顔をした恋人が嫌いという人間がいたら会ってみたいものだ。夜はいつも明かりを付けさせてくれないからうすぼんやりとした中で見ているのだが、夏目の肌は真っ白だ。浮かび上がるような白さにどきどきと心音が鳴る。甘い香りに、この白い肌。美味しそうという感想を抱くには十分すぎるだろう。
「……」
ちゅう、と、戯れにそのうなじにキスをした。夏目の身体がぴくりと震える。反応を伺っていると怒られる気配はない。ならばと少しいたずらの気持ちでうなじに軽く歯を立てる。かし、と噛みついて舌で舐る。夏目くんさすがに怒るかな、なんてどきどきと反応を待つ。怒ってこない。
珍しい。いつもなら殴られそうなのに。反応がないのをいいことにつむぎは夏目の首まわりに舌を這わせる。時々服を下げて吸い付いて、軽く噛んでとキスマークをつけられない代わりに見えないところをベチョベチョに濡らしていく。膝の上の夏目が脚をすり合わせた。つむぎがキスを落とすたびに体はぴくぴくと震えている。可愛らしいと微笑を浮かべて夏目を堪能していると、コントローラーを置いた音がした。
「……センパイ」
怒られるかな。
「はい?」
夏目の首筋から顔を離し、顔を覗き込むように傾ける。彼はこちらを少し見てきょろりと視線を彷徨わせた。
「……そレ、……もウ、止め、テ……」
小さな声だった。夏目の顔は真っ赤に染っていて、恥ずかしそうに口元に手を当ててふ、と小さく息を吐いた。心許ないようなか細い声。ふるふると震えていた体は見えるところが赤くて香り立つような色気が見えた。
「……」
「センパイ……?くすぐったいかラ、やめテ」
「ねえ、夏目くん」
低い声を意識して夏目を呼ぶ。びくりと跳ねた体はおそるおそるとつむぎを見る。にっこりと笑いかけて指を頬に触れる。撫でて唇に触れたら夏目はン、と小さく声を漏らす。
正直もう限界だった。ムラついている。夏目をこの場で組み敷いて抱きたいと本能が騒ぎ出す。なるべく優しい顔をして夏目に微笑みかけた。いやらしい雰囲気がないように、なるべくならかっこよく見えるように。
「このまま、しませんか?」
「ンッ、ヤダ……」
「……どうして?」
「……体洗えてないシ、下着だって気の抜けたの履いてるかラ……」
「そんなの気にしませんよ」
「ボクが気にス――んゥッ!ネ、ェッ……ヤダ、ってバ……!」
気にせず夏目の肌に唇を落とす。嫌だと言っているわりには拒絶の態度を見せない。つまりそういうことなのだろう。少し汗の味がする肌はきれいで触れるたびに羞恥からか赤くなっていく。あ、やっぱりおいしそう。上機嫌に夏目の肌を堪能する。小さく吐息をこぼして喘いでいた夏目が物欲しそうな目を向けてきた。わかりやすいなぁ、かわいい。耳元に舌を這わせると待ちわびていたようにびくんと身体が跳ね、つむぎの腕に縋りつく。
「……センパイのッ、ン、ッ……バカ」
「そんなに俺がいや?」
キスの合間に尋ねると夏目は目を吊り上げてつむぎを睨んだ。
「……っ、わかってるくせ二!」
「言ってくれないとわかりませんよ」
「……嫌じゃなイ、かラ、困ってるんだヨ……」
真っ赤でイチゴみたい。すごく美味しそうだ。色香もあって、なんだか甘い匂いもしているし。べろべろと舐めていると脚をすり合わせて腰が揺れている。ああ、かわいい。
「ね、ね?夏目くん。君が欲しいんです……ダメですか?ほんとに?」
「ひ、ッ、聞かないデ、ンく、っは、ぁあっ……」
おいしそう。食べたい。はやく、はやく。
夏目の身体を引き寄せ、ソファに押し倒す。電気を背にして見える姿は熟れ切った果実のよう。ごくりと喉を鳴らし、自分の中の凶暴な欲に苦笑した。キスを落として夏目の香りを吸い込む。肌に舌を這わせながら、つむぎは笑う。
――ねえ、もう食べてもいいですよね。嫌がってないし、それに俺のことを誘ってるのは、俺を拒まなかったのは、君なんだから。
ね、そうですよね。これは君が選択した結果です。俺はそれに乗っただけ。そうでしょう?ね、夏目くん。
時刻は夜中。夕飯を終えて各々の時間だ。つむぎはニューディメンションの後輩アイドルたちの次のライブを確認していて、その膝の上では夏目が真剣な顔でゲームをしていた。今日は対人ではなくオープンワールドのゲームらしい。画面を見つめてプレイヤーキャラクターを動かしている。
カフェオレに手を伸ばしてつむぎが自分のパソコンから視線を夏目のゲーム画面に向ける。据え置きタイプのゲーム機を必死に動かしていて画面の中の敵をばしばしとしばき倒していた。
「器用ですよね、夏目くん」
「ハ?いきなり何?」
「いえ、小さなコントローラーを動かして狂いもなく敵を倒しているのがすごいなぁって」
「フン、不器用なセンパイには無理なんだろうけド、こんなの誰でも慣れればできるヨ」
画面では敵を倒し終わったリザルトが表示されている。つむぎにはよくわからないがそれがハイスコアだということはなんとなく察せられた。器用だなあと恋人を見下ろしながら思う。つむぎとは大違いで彼は繊細な物事も簡単に完璧に組み立てられる。
「すごいですね、君は」
「今更気づいたノ?」
ふふんと誇らしげに鼻を鳴らした夏目が可愛らしく見えてふにゃりと笑ってしまう。しかしそうやって笑ったのが気に食わなかったのか、むっとした顔で夏目はつむぎの腹を肘でぐりぐりと押す。
「な、なんなんですか~?」
「センパイのくせに生意気」
「ええっ?どこが?」
「黙ってボクの椅子になってればいいんだヨ」
「ええ~??」
よくわからない理論で怒られてしまった。素直に褒めていたのにどうして。夏目のことを理解できた試しはない。けれどそれでもお互いがそばにいるのは愛し合っているからなのだろう。夏目に詰られることさえもどこか幸せに感じてしまうほどにはつむぎは夏目に惚れ込んでいるのだから。
「ハァ……いいかラ、椅子は黙ってれバ?」
「まあ、別におしゃべりしたい感じではありませんし。君をこうして愛でられるのは楽しいからそうさせてもらいますね」
「……」
胡乱な目を向けられた。本心を話しているだけなのにどうしてか夏目はこうして呆れたというような目を向けてくるときがある。それでもゲームに意識を戻して大切な恋人はつむぎのことを意識の外に置いた。
膝の上に乗っている彼のことをじっと見る。後ろからだと後頭部やうなじあたりまでしか見えないのだが、それでも夏目は可愛く見える。夏目がコントローラーをカチャカチャと動かしているのを見ながら空気を吸えば鼻孔いっぱい肺にまで彼の香りが届いてくる。すっきりとした香水の香りに、汗のにおい、それにかすかに香るボディソープの甘い匂い。夏目自身の体臭は薄くてそれこそベッドの中だとかじゃないと嗅げないのだがこうして一日の終わりに引っ付いているとかすかに彼自身の匂いも嗅げるのだ。これは有益なライフハック。
すんすんと匂いを感じて夏目の頭に顔を寄せる。赤毛に顔を押し付けるとうわ、という驚いた声が聞こえた。しかし止められないので許されているのだろう。そのまま夏目の匂いを嗅ぐ。整髪剤の香りがする。夏目はいろんな匂いをまとっているのだ。時々によって薬っぽいものだとか、無機質なものだとか、こうして整髪剤だったりたまに珈琲だったりといろいろ。その匂いが実は結構好きだったりする。
それにしても白い肌だ。視線を落とした先のうなじを見て。ぼんやりと美味しそう、という感想が浮かんだ。この白い肌が上気して赤に染まり、恥じらいを込めてつむぎを見上げてくる。そんな顔をした恋人が嫌いという人間がいたら会ってみたいものだ。夜はいつも明かりを付けさせてくれないからうすぼんやりとした中で見ているのだが、夏目の肌は真っ白だ。浮かび上がるような白さにどきどきと心音が鳴る。甘い香りに、この白い肌。美味しそうという感想を抱くには十分すぎるだろう。
「……」
ちゅう、と、戯れにそのうなじにキスをした。夏目の身体がぴくりと震える。反応を伺っていると怒られる気配はない。ならばと少しいたずらの気持ちでうなじに軽く歯を立てる。かし、と噛みついて舌で舐る。夏目くんさすがに怒るかな、なんてどきどきと反応を待つ。怒ってこない。
珍しい。いつもなら殴られそうなのに。反応がないのをいいことにつむぎは夏目の首まわりに舌を這わせる。時々服を下げて吸い付いて、軽く噛んでとキスマークをつけられない代わりに見えないところをベチョベチョに濡らしていく。膝の上の夏目が脚をすり合わせた。つむぎがキスを落とすたびに体はぴくぴくと震えている。可愛らしいと微笑を浮かべて夏目を堪能していると、コントローラーを置いた音がした。
「……センパイ」
怒られるかな。
「はい?」
夏目の首筋から顔を離し、顔を覗き込むように傾ける。彼はこちらを少し見てきょろりと視線を彷徨わせた。
「……そレ、……もウ、止め、テ……」
小さな声だった。夏目の顔は真っ赤に染っていて、恥ずかしそうに口元に手を当ててふ、と小さく息を吐いた。心許ないようなか細い声。ふるふると震えていた体は見えるところが赤くて香り立つような色気が見えた。
「……」
「センパイ……?くすぐったいかラ、やめテ」
「ねえ、夏目くん」
低い声を意識して夏目を呼ぶ。びくりと跳ねた体はおそるおそるとつむぎを見る。にっこりと笑いかけて指を頬に触れる。撫でて唇に触れたら夏目はン、と小さく声を漏らす。
正直もう限界だった。ムラついている。夏目をこの場で組み敷いて抱きたいと本能が騒ぎ出す。なるべく優しい顔をして夏目に微笑みかけた。いやらしい雰囲気がないように、なるべくならかっこよく見えるように。
「このまま、しませんか?」
「ンッ、ヤダ……」
「……どうして?」
「……体洗えてないシ、下着だって気の抜けたの履いてるかラ……」
「そんなの気にしませんよ」
「ボクが気にス――んゥッ!ネ、ェッ……ヤダ、ってバ……!」
気にせず夏目の肌に唇を落とす。嫌だと言っているわりには拒絶の態度を見せない。つまりそういうことなのだろう。少し汗の味がする肌はきれいで触れるたびに羞恥からか赤くなっていく。あ、やっぱりおいしそう。上機嫌に夏目の肌を堪能する。小さく吐息をこぼして喘いでいた夏目が物欲しそうな目を向けてきた。わかりやすいなぁ、かわいい。耳元に舌を這わせると待ちわびていたようにびくんと身体が跳ね、つむぎの腕に縋りつく。
「……センパイのッ、ン、ッ……バカ」
「そんなに俺がいや?」
キスの合間に尋ねると夏目は目を吊り上げてつむぎを睨んだ。
「……っ、わかってるくせ二!」
「言ってくれないとわかりませんよ」
「……嫌じゃなイ、かラ、困ってるんだヨ……」
真っ赤でイチゴみたい。すごく美味しそうだ。色香もあって、なんだか甘い匂いもしているし。べろべろと舐めていると脚をすり合わせて腰が揺れている。ああ、かわいい。
「ね、ね?夏目くん。君が欲しいんです……ダメですか?ほんとに?」
「ひ、ッ、聞かないデ、ンく、っは、ぁあっ……」
おいしそう。食べたい。はやく、はやく。
夏目の身体を引き寄せ、ソファに押し倒す。電気を背にして見える姿は熟れ切った果実のよう。ごくりと喉を鳴らし、自分の中の凶暴な欲に苦笑した。キスを落として夏目の香りを吸い込む。肌に舌を這わせながら、つむぎは笑う。
――ねえ、もう食べてもいいですよね。嫌がってないし、それに俺のことを誘ってるのは、俺を拒まなかったのは、君なんだから。
ね、そうですよね。これは君が選択した結果です。俺はそれに乗っただけ。そうでしょう?ね、夏目くん。
