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フェリ菊短編集

「俺に日本の加護を頂戴」
ちゅ、跪き手の甲にキスを落とされる。いつになく真剣な顔をしてその鳶色の眼に射抜かれる。顔が熱い。
「いた、りあ……くん……わたし……でも」
「大丈夫。日本ならできるよ。その優しさに俺はいつもクラクラしてる。ねえ、俺の、俺だけの天使様。俺に、加護を」
「〜〜〜っ!」
わかってる、気付いているのだ。この戦いに勝算がないことぐらい。でも、それでも道を戻ることはできないから。前に進むしかない。何かに縋りたい気持ちはわかる。だけど、なぜ?なぜ選んだのが私なのですか?
「俺、日本のことが好きだ。ずっと言わないでおいたけど、もう、言わないでいることなんて無理だ」
「イタリアくん……貴方は残酷だ」
こんな、こんなときに言うなんて。もう、二度と会えないかもしれないのに。覚悟が、揺らいでしまう。まだ、消えたくない、なんて。
「ごめん。ごめん、日本。でも、言っとかないと後悔すると思って……」
「私も、貴方のことが好き、です」
「っ、ああ、神様」
どうかこの人の歩んでいく先に、光あらんことを。
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