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フェリ菊短編集

キクと一緒なら、俺はどこにだって行くよ。ねえ、だから。神様。
「キク、一緒に行こう?」
「フェリシアーノくん……でも」
「俺、もう無理だよ。こんなの、絶対嫌だ」
フェリシアーノくんのナイフを持つその手は震えていた。自らの掌を彼の手に重ねる。
「……無理、しないでください。……私が」
「キクの手は汚せないよ。俺が、やる」
「震えてるじゃないですか」
安心させるように彼に笑いかける。そんな私を見て、悲しそうにフェリシアーノくんも笑う。そして、決意を決めたのかナイフをギュッと握った。
「キク、なるべく痛くないようにするからね」
「それは、無理ではないでしょうか。流石に刺されるのは痛いですよ」
「嫌?」
「……貴方と一緒なら、どこへでも」
この世界は私たちを歓迎してはくれない。ならば、もっと過ごしやすい場所へいけばいいだけの話。
「じゃあ、キク。またあとでね」
「ええ。また、あとで」
喉に彼の持つナイフが振り下ろされた。
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