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朝菊短編集



アーサー・カークランド。
彼はこの世で一番強い男。それは比喩でもなんでもなくて、本当に「一番強い男」なのだ。なぜなら彼は、この悪魔界を統べる夜の帝王。彼にはどんな魔法も攻撃も罠も効かない。あるのは絶体的な力だけ。残酷で酷薄。非道を犯す「ヒトデナシ」まあ、有り体に言えば魔王なのだ。

私はアーサーの使い魔、キク。
下級悪魔で野垂れ死にしそうだった私を救ってくれたのはアーサーだった。最初の頃は彼は優しく紳士的で鮮血の魔王などと呼ばれている意味がわからなかったが、ある日を境に彼は私に無体を働くようになった。
きっかけは、私がドジをしてからだった。アーサーの命令でおつかいに魔法薬を宵の森の魔女のところまで買いに行った際、帰り道で上級悪魔に絡まれてしまったのだ。いくら魔王の使い魔とは言え下級悪魔が上級悪魔に勝てるはずもなく。彼らのおもちゃにされておぞましいことをされた。思い出したくない体験だが、話さないと話が続かない。イタズラされたのだ。彼らの使い魔の触手で性的なイタズラを。彼らはどうやら淫魔を使い魔にしていたらしく、その蛸みたいな使い魔は強力な力で私を組み敷き至る所を散々犯しつくした。私は快楽と屈辱と懺悔でぐちゃぐちゃになってろくな抵抗もできなかった。アーサーはそれを助けに来たのだが、私の乱れた姿を見た途端扱いが変わった。私をソウイウコトが好きな淫乱な悪魔だと言うようになった。もちろんそんなはずはない。私は淫魔ではないのだ。ただ快楽に少し弱いだけで。言っておくが悪魔なら誰しも快楽や愉悦には弱いのだ。私だけが淫乱とかそういう訳ではない。
まあそれは置いておいて。アーサーが来て助けてくれたその後アーサーは無言で私の手を引き城へと帰った。そして乱暴に私をアーサーの寝室に放り込み、彼が言う「お仕置き」を受けた。ベッドに無駄に強力な魔法で縛り付けられ触手のせいで未だ火照った体をさらに煽るように薬を盛られて身動きが取れない、抵抗できないようにされて無体を働かれた。怒ったような、悔しそうな、それでいて楽しそうな顔をして私を責め立てた。その行為は恐らく半日続いたのだと思う。時計なんて見てないしわからないけど。私が気絶する度にさらに大きな快楽でたたき起こされてまた責められてそうして気絶して、の繰り返しだった。全てが終わってその日はいろいろと死んでしまいたかった。それなのにアーサーはさっきまでのしていた私との行為など知らないような涼しい顔をして仕事をしているのだから私一人が引きずられているようで、アーサーにとってはあんなことなんでもないようなことのようで、複雑な気持ちになった。私は、アーサーに恋をしているのだと思う。愛だの恋だの悪魔が言うと天使に笑われそうだが、元天使だしまあそこは許して欲しい。アーサーを見ると動悸が激しくなったり思わずきゅんとしてしまったりして彼と仕事をするのも一苦労だった。
そうして彼への恋心を仕事にかこつけて忘れられる仕事の繁忙期が終わってしまい、書斎にはアーサーが紅茶片手に読み物をしていた。私は彼の傍らで控えている。
「アーサー様」
「どうした?」
「……あの」
「なんだ。はっきり言え」
「………すみません、なんでもありません」
「……キク」
「はい」
「いくらお前と言えど許されることと許されないことがある。俺は今邪魔されたくなかった」
「…すみません」
「お前の言いたい事、当ててやろうか」
「え…」
気づいたら、アーサーが傍に来ていた。私は驚き、焦る。彼のことだ、心の内なんて読むことぐらい造作無いのだろう。だけど、読まれてしまったら。私はギュッと目を瞑った。
「…………」
パチン、とアーサーが指を鳴らした。慣れない浮遊感のあと、私達はアーサーの寝室にいた。
「え……」
「どうせ俺とこういうコトしたかったんだろ?御褒美にな」
「えっ、そ、それは…」
「なんだよ、違うのか?」
「っ、………ちが、くないです…」
「はは、正直な奴」
アーサーは私をベッドに押し倒した。そして乱暴に私の衣服を剥ぎ取る。私の首筋にアーサーが顔をうずめて、犬のように息を吸う。そのこそばゆさに思わず耐えるような笑いをこぼしてしまう。それを聞いたのであろうアーサーがちらりとこちらを見て、口を大きく開けた。まずい、と思ったが遅かった。彼の鋭い犬歯が私の皮膚を突き刺す。ぷつりと皮膚を食い破り、奥深くまで穿たれる。熱い。リップ音とともにアーサーが傷穴を噛みちぎって広げ、そこから出てきた血を啜る。熱い、痛い、気持ちいい。ジュルジュルと音を立てるのは私の羞恥を煽るためだろう。思わず私はアーサーの頭を抱えこんで髪をかき混ぜる。その間にも吸血行為は行われている。彼は吸血鬼と悪魔のハーフなのだ。生きる為ではなく、遊びとして吸血を行う。堕天した元天使の私の血の味は美味しいらしい。私の血を吸う彼のうっとりとした顔は可愛らしい。たとえ彼が私を堕天させた張本人だとしても。
しばらくの間音を立てられながらベッド上で血を吸われる。クラクラして目の前が白んでくるとアーサーは牙を離した。相変わらずタイミングが分かっている男だ。私が貧血になる前に、気持ちよさが頂点に達して動けなくなるところで吸血を止める。いつもそうなのだ。だから私は彼を止めることはできない。
ぼーっとした頭でアーサーをぼんやり眺める。アーサーは優しく微笑んで私を撫でた。「キク」
「………」
「大丈夫か」
「………はぃ」
「そうか」
アーサーは私の上にのしかかり服を脱いだ。服、と言ってもズボンとパンツを脱ぎ、天を仰いでいる剛直を露出させただけなのだが。
私は彼の雄の象徴を見て、ゴクリと喉を鳴らした。アーサーはそんな私を見て笑っていた。私がソレの虜になっていることをせせら笑うように。
「なぁキク」
「…はい」
「自分で拡げて?」
「……え?」
「だから、お前の気持ちよくなれる穴を、自分でほぐせ」
「…ゃ、」
「早くお前も気持ちよくなりたいだろ?ほら、俺をいやらしく誘えよ」
「ぅ…む、むり、です…」
「なんだよまた理性が許さねぇってか?大丈夫、お前は悪魔だ。本能のままに動いて怒る神なんていないし、咎める罰も罪もない。ほら、自分に素直に動け」
「…」
おそるおそると私は己の秘所に手を伸ばす。前からだとやりにくいな、と思ったのが伝わったのか、それともアーサーがまじまじと見たかったのか、私はひっくり返されてうつ伏せになった。腰を上げて後ろから秘所をほぐす。恥ずかしくて指はぎこちない動きをしているがアーサーは何も言わない。ほんとうに、私にやらせる気だ。
「あ、そうだった」
「あ、ぁぅ…」
アーサーがローションを私の尻にかけた。滑りが良くなり、やわやわと穴をゆっくり揉みほぐす。見られている。その事実が、感じるアーサーの視線が、私を責める。指が2本、3本と入るようになるまで時間がかかった。それを怒るでもなく、アーサーはただひたすら見ていた。どんな表情をしていたのかはわからないが、恐らく愉しそうに笑っていたのだろう。私は増やした指を中でバラバラに動かす。すると、異物感は気持ちよさに塗り変わる。アーサーに見られながらオナニーともとれることを見せて、彼に抱かれる準備を自分からして、そして快楽を追うようになる。なんと浅ましいのだろう。恥ずかしさは、火照った体をさらに熱くするだけだった。興奮材料が増えて熱に浮かされたようにひたすら良い所を擦ったり押したりとひとり遊びに興じた。そして、イきそうになった途端、体が動かなくなった。指1本動かせず、熱を持て余したペニスがフルフルと震える。出したい、出させて。それだけが脳を支配する。生理的な涙も浮かび、熱い吐息を吐く。そして、私はようやく思い出した。これは、アーサーに見られているのだ、と。
「あ……」
「そこまでお前が淫乱だったとはなァ?可愛かったぜ、キク」
「っひ……」
アーサーが私を仰向けにして組み敷いた。するりと火照った体には冷たくて気持ちの良い彼の手のひらが頬を撫でた。頬、顎、首筋そして鎖骨。するすると手は優しく撫でながら下へ向かう。胸までたどり着いたらやわく胸を揉まれた。それだけでも私には刺激になって、くるしい。微かに漏らした喘ぎ声は彼に拾われくつくつと笑われた。私はアーサーを非難しようと見て、後悔した。
そこにはケダモノのような獰猛な熱を綺麗なエメラルドの瞳に宿らせた、捕食者のような無駄に造形が良い男の顔があった。秘所が疼き、ありもしない子宮がきゅんと切なく鳴いた気がする。ぼうっと彼の顔を上気してモヤのかかった頭で見蕩れる。アーサーは優しく笑って、揉んでいた私の胸の突起を摘んだ。
「んぅ…!?」
「えっろい顔」
はあ、とアーサーの熱い吐息が耳元にかかり、綺麗な声で淫らな言葉を私にかける。私はこの人に弱い。それを知ってやっているのだろうな、と少し悔しく思った。
「なぁキク、どうだった?自分で抱かれる準備をして、トロ顔になるまで一人で楽しんで、それを俺に見られていたことも忘れるくらい自分の快楽に忠実になった感想は?元天使様がここまで堕落していたとはなァ」
「っ、ふ…ぁ、い、いじり、ながら、っん…喋らないでぇ…!」
「お前俺の声好きだもんな、それに、耳も弱い」
耳にふうっと息を吹きかけられて、それと同時に乳首も摘まれて、どうにかなりそうだ。この人は私の弱いところを知り尽くしている。勝てるはずもない。動けない体で快楽を享受するしかないのだ。中心部は熱を持ち、早く出したいとガマン汁をたらたらと流している。しかし決定的な刺激は先刻摘ままれたその一度のみ。これでは生殺しだ。恨みがましい目で彼を睨む。アーサーは意地の悪い顔をして私のおでこにキスをした。
「どうしてほしい?」
「っ、……」
「言えよ」
鋭い声音で強制させられる。それに興奮しているのは気が付かないふりをして。
「……………さい」
「聞こえねぇ」
「っ…もっと、触って、弄って…」
「どこを?」
「うぅ………」
「ここ?」
ニヤニヤしながらアーサーは内腿を撫でた。局部には触らず、脇腹をさすったり鎖骨を撫でたり焦らされる。これは言うまで許してくれなさそうで、羞恥で顔が熱くなる。
「おっ……ぅ、あぅ…」
アーサーの魔法で動けないためいつもみたいにアーサーの手を掴んで局部に持っていき、ココ、と言うのはできない。これは本当に言わないとじりじりとした微熱が燻ったままになって不完全燃焼のまま終わってしまう。私だって気持ちよくなりたいのだ。
「おっ、…お、ちんちん…わ、わたしの、その…触って」
「触るだけでいいのか?」
「っ、…い、いじめて、しごいて…気持ち、よく、して?」
「good boy」
アーサーが撫で回していた手を私の屹立へと移動させる。袋を揉みしだきながら鈴口を割って、気持ちイイところをひたすら責められる。喘ぐ声が大きくなり目の前が白くなる。もう、イく。喘ぎ喘ぎにアーサーに伝えたら耳元でまた囁かれ呆気なく私は達した。
肩で息をして快楽の余韻を味わおうと目を閉じたら、いきなり既にほぐれている後孔に指を挿入された。驚いてアーサーを見るが未だ魔法は解けておらずに目を動かすしか出来ない。抵抗できないのに、この人は何をしようとしているのか。アーサーの剛直を挿入されたら連続絶頂は不可避になってしまう。恐怖もあるが、何より私の中は期待でドロドロに溶けていた。いつからこんな淫乱になってしまったのか。アーサーに調教されてる効果はきちんと出ているらしい。
「何考えてんだよ」
「っあ!」
前立腺を擦られて指でバラバラに刺激を受ける。何も考えられなくなるほどの快楽。そうして私は2度目の絶頂を迎えた。
「あーあ、またイったのか?堪え性の無いやつだな」
「あ、あ、ああ…」
ビクビクと痙攣する私に意地の悪そうに笑いかける。
アーサーは涼し気な顔で身につけていた服をパチンと指を鳴らしただけで全部取り払う。そして、すでに立ち上がっているアーサーの剛直を私の尻に押し当てた。これから行われる行為への期待で胸が高鳴る。バックのまま私の後孔へずぷりとゆっくり挿入していく。この行為をし始めた頃には大きすぎて入らなかったソレがいまでは少し慣らしただけで簡単に受け入れられる。一番太いところも難なく飲み込んで、奥まで押し込める。歓喜で中が蠢いたことでアーサーはまた愉しそうに笑った。私は恥ずかしさよりも、もっと気持ちよくなりたい、とそれだけだった。
「んだよ、さっきイったばっかなのにまた勃ってるぞ?変態」
「っあ、ん」
「ああそうか、魔法まだかかってたな」
アーサーが私の唇にキスをする。すると身動きが取れるようになった。しかしこの状況で魔法を解かれても逃げ道も、逃げる気もない。あのまま魔法がかけられていても行為は行えるだろうに、なぜ今?彼が優しかった、とかではないことは確かだ。
「ん……そうだな」
アーサーはずるりと中に入ってた剛直を引き抜いた。その時の刺激で私は喘いだがアーサーは笑うとすでにぐったりしている私を抱き上げてさっきとは反対の体勢になった。アーサーが下に寝転がり、私が上に乗る。騎乗位というヤツがやりたいのかこの人。しかし私の体力の無さを知っているはずなのに、どうしてこんな。
「今日はお前が動け」
「え、…でも」
「もう疲れた、ってか?」
「は…はい」
「仕方ねぇなぁ。口開けろ」
「え、……?!」
口の中に何か放り込まれて飲まされた。嚥下するとじわりじわりとなにか温かいものが体中に広がっていく。そして、それと同時に疲労感が消えて火照りが、燻りが戻ってくる。これならまだまだ動けそうだ。
「ほら、自分で自分のイイトコ探してみろよ」
「んっ、う……っ」
「はは、言う前にもうとっくに探してたか。この淫乱」
アーサーに笑われるがそれどころではない。この持て余した熱をどうにか外に出したい、考えるのはそれだけだった。
ぬるぬると腰をやわく揺り動かす。私はやはりまだ理性が残っているのか快楽をひたすら追うことができない。アーサーはつまらなさそうにそれを見ていたことに私は気がつけなかった。
「わざとか?それ」
「ふぁ……?」
「そのぬるい動きはわざとかって言ってんだよ」
ズン!と腰を掴まれ奥まで突き入れられる。おごっ、と声にならない声が出たがそれを気にせずアーサーはガツンガツンと激しい動きで私の腰を上下させる。前立腺を的確に突くそれは私には強すぎる刺激だった。すぐに絶頂してしまうが、それでもアーサーの動きは止まらない。アーサーは未だ1度もイっていないのだ、辛いのだろう。私は過ぎた快楽に涙を流し唾液を垂らしてぐちゃぐちゃになりながらもなんとか彼の責めを受け止める。
「あ゙っ♡おっ、ごっ、ゔあ゙〜〜〜♡♡」
「はっ、トぶ、んじゃ、ねぇ、よ、っ!」
「あ、あァ゙〜!」
気持ちがいい。何も考えられなくなるほどの快楽を享受している。ああ、彼がご主人様で良かった。だって、こんなにも、堕天した私に、イイことをしてくれる。
「あ、っ、あぁしゃ、す、っゔ、好き、好きぃ…!」
「ッはは、俺もだよdarling」
お前を堕天させられて、良かった。
アーサーの言葉は私に届くことは無かった。
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