プリ春雑多
「あっちぃ………」
春歌と翔は炎天下の下、買い物へと出かけていた。カンカン照りの太陽が乾いた地面を焼き焦がし、アスファルトからは蜃気楼が立ち上る。風は生ぬるい空気を運ぶ。空は真っ青で白い雲が高く、映えていた。本日の気温は30度。動かなくても外にいて太陽からの光を浴びるだけでしっとりと肌が汗ばむ。不快感に翔はシャツの襟首を持ってパタパタとあおぐ。
隣で翔より軽いエコバッグを持った春歌があ、と声を上げた。
「ん?どうした?」
「翔くん、アイス買ったんですよ!食べていかない?」
「おー、いいな」
「近くの公園で食べましょう。ね!」
アイスを買っていたことを思い出して食べられるというだけで春歌は一気に楽しそうに笑む。
▷▷
「何買ったんだ?」
「苺のヨーグルトアイスです!」
木陰のベンチで春歌はガサゴソとエコバッグを漁ってアイスを2つ取り出す。一つを翔に渡すと早速自分の分のアイスの包装を開けた。そして1口、パクリと食べる。冷たいアイスが舌の上でジワリと溶けて一時の暑さに負けないできた御褒美とばかりに口内を冷やす。
ぱくぱくと夢中になって食べている春歌を横目に見ながら翔も自分のアイスの包装を開ける。苺の果肉が入っていてピンクのマダラ模様が白に映えて美味しそうだ。口を開けて、アイスを食べようとして、止めた。
「なぁ、春歌」
「はい?なぁに翔くん」
「あーん、してくんねぇ?」
「っ、え!?」
ふと思いついたように言う翔は目を輝かせており、春歌は翔のその期待のこもった眼差しに負ける。観念して恥ずかしいので一口だけですよ、と言ってアイスを差し出すと翔は大口でパクリと飲み込んだ。
「ん、うめぇ」
「……私は恥ずかしいです」
「お前もほら」
翔に笑顔でアイスを向けられる。食べないのか?と純粋な瞳で聞かれるとノーとは言えず。控えめに一口、口にする。
「あ」
「はい?……っ!?」
翔がいきなり顔を近づけ、春歌の口元を舐めた。びっくりして春歌は後ずさろうとするが翔がいつの間にか春歌の腰に手をまわしており、逃げられない。そうこうしているうちに翔は春歌の唇を舐めて、キスをした。それはだんだん深いものになっていき、お互いの舌を絡ませ唾液と微かに残っているアイスの後味とを交換し、春歌に嚥下させる。しばらくそうしてキスをしていると春歌が酸欠で翔の胸を叩いた。名残惜しいな、と思うが翔は口を離す。てらてらと唾液で濡れた赤い唇をした春歌は怒っていた。
ごめん、と笑って翔は溶けかけのヨーグルトアイスを頬張った。