プリ春雑多
「ほら、足出せ」
翔くんの住むシャイニング事務所寮の部屋に遙は今、翔のベッドへと腰掛けて、翔は床に座っている。翔の手元には黒のマニキュアボトルがある。
「ほ、ほんとうにするんですか…?」
「当たり前だろ。男に二言はないからな!」
おずおずと差し出される春歌の右足を掴む。そしてボトルを開けてハケ付きのキャップである程度大量にくっついてきているマニキュアの原液をこそげとる。
春歌の白くて細い足にひたり、とハケを落とす。そしてムラのないように慎重に塗っていく。彼女の白い肌に黒いマニキュアは鮮やかに見えて、モノクロなはずなのにどこか色気がある。シンプルイズベスト、という言葉もあるくらいだ。オーソドックスで翔自身愛用している色を選んで成功だったと翔は内心満足げに微笑む。
「……ひゃっ」
「どうした?」
「……なんかくすぐったいです…それと、マニキュアが冷たくて」
「あー、そうか、そうだよな。慣れてないと違和感感じるしなぁ。まあ、仕方ないし耐えてくれ」
「ううう…………」
くつくつと翔は肩を動かして笑う。春歌は目をぎゅっと瞑っており顔が赤くなっていた。ああ、可愛いらしい。
そうして両足を翔のマニキュアと同じ漆黒のそれで染めた後、翔は春歌の足をスッと持ち上げ、その爪先にキスを落とした。
「しょ、翔くん!?」
「うん、可愛い。やっぱ俺様のセンスは最高だぜ!」
ニカッと破顔する翔がとても嬉しそうで、幸せそうで。春歌はまた次もお願いします、と自然と声がこぼれた。