プリ春雑多
「嫌なら、言えよ…」
そう囁くと春歌は紅く染まった顔を俯かせて、コクリと頷いた。
恋人になってから、ステップをきちんと踏んで愛を深めてきた。手を繋いで、抱きしめて、キスをして。心を通わせて、愛を囁くことの幸福さを、愛する人が隣で笑ってくれる奇跡を知った。
なんとなくそんな雰囲気になったことは何回かあった。その度に那月やら音也やらが突然現れてぶち壊されてきたのだが。今日は違う。誰も邪魔できない場所、翔の住む部屋で、誰の邪魔も入らないように携帯の電源は切り家の鍵をしっかり閉めた。薄暗い室内でお互いの体温を確かめ合う。キスが深くなっていく。一旦春歌の唇から翔が離れると、春歌はぼうっと蕩けた目で翔を見つめる。そのあまりにも扇情的な彼女の姿に翔は、ドキリと心臓が高なる。
「春歌」
「…はい」
「これから、お前を抱く。痛かったり怖かったらちゃんと言ってくれ。できるだけ優しくしたいけど、抑えられるかわかんねぇ」
「しょう、くん…」
「……いいか?」
翔が春歌の頭を撫でて問いかける。嬉しそうに春歌は笑った。