プリ春雑多
これから一年間過ごすパートナーはHAYATOの大ファンの可愛らしい内気な少女だった。
彼女はことある事にHAYATO様を褒めてはあの方にいつか自分が作った曲を歌ってもらうのだとトキヤの前で意気込んでいた。
HAYATO様に曲を歌ってもらうためにはまずデビューをしなければいけませんね、と笑って彼女は私のためだけの曲を作り出す。その曲は確かに「一ノ瀬トキヤ」のための曲だった。初めて本当の自分のためだけの曲を貰って歌った。なんとも言えない高揚感と快感に涙が零れそうになった。一ノ瀬トキヤを彼女は見てくれていた。
でも彼女の夢はあくまで「HAYATO様に曲を歌ってもらうこと」。私は彼女の踏み台にしかならないのか、私はツクリモノのHAYATOとして彼女の曲を歌わなければいけないのか。そう考えるとちくりちくりと胸が痛んだ。
トキヤはHAYATOではない。しかし、HAYATOはトキヤなのだ。
メビウスの輪のような答えのない道を走っている気分だった。屈託なくHAYATOの素晴らしさについて語る春歌に、トキヤはHAYATOは自分なのだと言いたかった。でも、それを告げるのはひどく躊躇うことだった。
明るくて元気で前向きなHAYATOがこんなHAYATOとは正反対の自分の演じていただけのキャラだったと知ったら春歌はトキヤを軽蔑するのだろう。
嫌われたくない。でも、自分を見てほしい。HAYATOなんかではなく、本当の自分を。
夜空を見上げて音也がいないのをいいことにトキヤは歌を歌った。春歌がいつだかHAYATO様に歌ってもらう曲だと言っていた、一度聞いただけの曲を。
彼女はことある事にHAYATO様を褒めてはあの方にいつか自分が作った曲を歌ってもらうのだとトキヤの前で意気込んでいた。
HAYATO様に曲を歌ってもらうためにはまずデビューをしなければいけませんね、と笑って彼女は私のためだけの曲を作り出す。その曲は確かに「一ノ瀬トキヤ」のための曲だった。初めて本当の自分のためだけの曲を貰って歌った。なんとも言えない高揚感と快感に涙が零れそうになった。一ノ瀬トキヤを彼女は見てくれていた。
でも彼女の夢はあくまで「HAYATO様に曲を歌ってもらうこと」。私は彼女の踏み台にしかならないのか、私はツクリモノのHAYATOとして彼女の曲を歌わなければいけないのか。そう考えるとちくりちくりと胸が痛んだ。
トキヤはHAYATOではない。しかし、HAYATOはトキヤなのだ。
メビウスの輪のような答えのない道を走っている気分だった。屈託なくHAYATOの素晴らしさについて語る春歌に、トキヤはHAYATOは自分なのだと言いたかった。でも、それを告げるのはひどく躊躇うことだった。
明るくて元気で前向きなHAYATOがこんなHAYATOとは正反対の自分の演じていただけのキャラだったと知ったら春歌はトキヤを軽蔑するのだろう。
嫌われたくない。でも、自分を見てほしい。HAYATOなんかではなく、本当の自分を。
夜空を見上げて音也がいないのをいいことにトキヤは歌を歌った。春歌がいつだかHAYATO様に歌ってもらう曲だと言っていた、一度聞いただけの曲を。