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プリ春雑多


「次の撮影はチャイナ服なのですよね」
トキヤが家に帰り、同棲している恋人である七海春歌に今回の仕事の話をポツリとこぼした。春歌も一応トキヤの仕事スケジュールは把握しているが仕事内容までは知らされることはない。まだ世に出回っていない情報がバレたら会社にもスポンサーにも迷惑をかけてしまうため仕事内容というのはトップシークレットなのだ。まあ、春歌は口は固いほうなのでST☆RISHのメンバーは仕事内容を春歌に言うことは多々あるのだが。それにしても生真面目なトキヤが仕事内容を春歌に言うなんて何ヶ月ぶりだろうか。滅多にないことなのでチャイナ服を着ることになにか抵抗でもあるのかと心配になる。トキヤは恋人である以前にパートナーなのだ。パートナーが仕事を楽しめなければ意味がない。
「トキヤくんはチャイナ服嫌いですか?」
「?なぜそういう話になるのですか」
「だって、私に仕事内容を言うなんて珍しいから何かあるのかな、と」
「………まあ、何かがないと言えば嘘になりますね」
「楽しめない仕事を強要されるなんてダメです!」
「…」
「トキヤくん?」
黙り込んだトキヤに春歌はやはり仕事のことに口を挟むべきではなかったかと焦る。トキヤはこれでもHAYATOとして何年も前から芸能界でやってきたのだ。その中にはやりたくない仕事などごまんとあっただろう。アワアワと行き場のない手を宙に彷徨わせているとその手がガシッと掴まれた。
「春歌」
「はっ、はい!」
「頼みたいことがあります」
怒ってはいない声のトーンに春歌はほっと胸をなでおろす。トキヤの頼み事ならば叶えてあげたいと思いなんですか、と聞き返す。
「………言い難いのですが、チャイナ服を、その…着ては、くれませんか……?」
「はい!……え?」
顔を真っ赤にしたトキヤは尻すぼみな言葉で春歌にチャイナ服を着てほしい、と言ったのだ。思わず勢いで了承した春歌は困惑した。私なんかがチャイナ服を着ても似合わないしなんの得にもなりませんよ?それより林檎先生とかが着た方が似合うのでは…と春歌が方向のずれたことを考えている間にトキヤは鞄をまさぐっていた。
そして、テーブルの上に置かれたのは1着のチャイナ服だった。
「着るといいましたよね?」
「え、でも、その…あれは勢いというか…」
「それでもあなたは了承しました」
「わ、私なんかよりもっとチャイナ服が似合う方に着せた方が良いのでは…」
「貴女でなければ意味がありません」
グイグイ迫るトキヤに春歌は白旗をあげた。そして春歌は結局大人しくトキヤに用意されたチャイナ服を着ることとなったのだった。


▷▷

「春歌、いいですか?」
「ひゃい!」
トキヤの部屋で着替えをすることになりトキヤは部屋の外、春歌はトキヤの部屋でチャイナ服をなんとかおぼつかない手つきだが着ることができた。そしてトキヤは何のためらいもなく部屋のドアを開けて入ってきた。
「………っ」
「あ、あの……」
ギリギリまで入っている深いスリットが、ぴったりすぎるサイズで体の形がよく分かってしまう綺麗な青のチャイナ服が、胸元が開いていて胸の谷間が見えてしまうことが、全てが恥ずかしくてトキヤのことを直視できない。
一方黙り込んでしまったトキヤは春歌を凝視したまま動かなくなっていた。
気恥しい沈黙が部屋を包む。
最初に動いたのはトキヤだった。
「やはり私の目に狂いはありませんでしたね」
トキヤが春歌をぎゅっと抱きしめる。両腕ですっぽりと包み込めるその華奢で小さな体は覗いている肩が恥ずかしそうに朱にそまっている。見えない顔もおそらく真っ赤になっているのだろう。あまりの可愛さにトキヤはさらに春歌を抱く力を強くすると春歌はあう、と小さな声を漏らした。
「可愛らしいです、春歌」
「そ、そうですかね…?」
「ええ、この世界のどんな女性より貴女が1番です」
「それは言い過ぎなのでは…」
「そのくらい可愛いということですよ」
腕の拘束を緩めて俯く春歌の顎に手をかけ、上向かせる。するとやはり彼女の頬はリンゴのように真っ赤に染まっていた。たまらずトキヤは春歌にキスをする。驚きで目を見開いたが春歌はすぐにその瞳を閉じてキスに溺れる。そうなるように育て上げたのは己だという支配欲が満たされる感覚にトキヤの背筋はゾクゾクした。
最初は啄むようなバードキス。ちゅ、ちゅ、とリップ音をたてて何回もキスをする。そのうちトキヤの唇が春歌のそれに触れる時間が長くなっていく。舌で春歌の唇をなぞれば春歌の唇が薄く開く。その隙に肉厚な舌を中へと潜り込ませ、春歌の口内をトキヤの舌が蹂躙する。歯列をなぞり、上顎を掠めるとビクビクと春歌の体が反応した。それに機嫌をよくして引っ込んでいた春歌の舌に自身のそれを絡め引っ張り出す。おずおずと舌を春歌も絡めて応える。角度を変えて何回も何回も深い深いキスを繰り返す。トキヤはもう限界だった。
キスの合間に春歌の際どいスリットに指を這わせると春歌が小さく鳴いた。白い太ももを撫で回して戯れにスリットの中に指を入り込ませる。そしてそのまま春歌をベッドに押し倒す。白いシーツに春歌の萌えるようなオレンジの髪が散らばる。胸元や腰周りが大胆に誘っているかのようなチャイナ服を着て涙目で荒く肩で息をしている春歌にトキヤは欲情した。トキヤが春歌の上になるとギッ、とベッドのスプリングが軋んだ。そしてトキヤは再びその赤く染まって唾液で濡れた春歌の唇に一つキスを落とす。
「春歌…」
「トキヤ、くん」
「いいですね?」
「……はい」
消え入るような声だったがゴーサインは貰えた。ここでダメだと言われたとしても止まることは出来ないのだが。春歌がトキヤの首に手を回す。そしてトキヤが深いキスを再開させる前に春歌がトキヤの耳元で囁いた。
その言葉にトキヤは目を見開き、フッと表情を和らげた。
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