短編
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「久しぶり~!」
「久しぶりってこないだ遊んだばっかりじゃん。」
そうトモダチが笑った。夏休み真っ最中、今日は服でも買いに行く予定だが買い物の前に腹ごしらえをしようということになり定番のサイゼに入った。店内は冷房が効いていて汗ばんでいた体からスッと汗が引いていく。サイゼに来ては飽きもせず毎回同じメニューを頼んでいる私たちは悩む暇もなくすぐにいつもの食べ物とドリンクバーを注文した。
「そういえばトモダチはあいつと進展あった?」
「それが今度2人で勉強教えてもらうことになったんだよね!」
「何それ~!ちゃっかり進展してんじゃーん。」
「まぁね~、そういうナマエは沖田と進展ないの?」
「進展?ないよ!全然ない会う予定も無いし悲しみの極み。」
深いため息をつきドリンクバーの薄味カルピスを一気に飲み干した。折角の夏休みだというのに私は沖田を遊びに誘うどころかろくに連絡さえ出来ないでいた。沖田なんて2人で遊びに行こうなんて誘った日には即答で断られる。そんなことが容易く想像が出来てしまい、またため息。するとトモダチが何か思いついたようで大きな声を出した。
「うちら今度プール行こうって言ってたじゃん?それに沖田誘えばいいじゃん!」
「嘘でしょ?無理、プールとか水着だよ恥ずかしくて無理。」
「ナマエって恥じらいとかあったの?」
「あるよ!!」
トモダチは笑っているがさすがの私も好きな人の前で水着になる勇気はない。しかも相手はあの沖田、水着姿見ただけで絶対目が腐るくらい言ってくるに違いない。でも夏休みに会えるのは正直嬉しかったりするな。うーんと悩んでいればトモダチがさっさと誘え!なんて言ってくるもんだから勢いに負けて沖田に連絡してみることにした。すると案外早く返信が来た。土方と近藤さんも一緒で良ければと短い返信が返って来た。まさか一緒に行ってくれるなんて思っていなかった私は興奮して友人に画面を見せた。
「良かったじゃーん!」
「こうなればこの後水着も見に行かなくちゃ!」
*
プール当日。私たちはプールの最寄り駅に集合した。夏休みということもあり人が多い。
「やばい、全然痩せられなかった。」
「ナマエ、ダイエットしてないでしょ。」
「1日だけ頑張った、てかお腹出てるのに胸無いの辛すぎ。」
「あはは、それ一番最悪なやつじゃんー!」
朝から女子たちでこんな会話で盛り上がっていれば後ろから声を掛けられた。見れば元気に手を振っている近藤とテンションの低そうな土方に半分寝惚けた顔をした沖田がいる。皆が集まったのでプールに向かって歩いていれば
「ナマエちゃん、本当は総悟と2人が良かったんじゃないの?」
なんて耳元で話しかける近藤に、うるさい!と皆にばれないようにパンチをした。
プールに到着し男女でいったん別れ着替え終わり次第集合することになった。こないだ買ったばかりのビキニを早速着てみる。やっぱりこの水着最高に可愛いなぁ、一目惚れした水着なだけあって着るだけでテンションが上がった。隣を見ればトモダチもこないだ一緒に買った水着を着ている。水着を買った時にも散々褒め合ったのにまたお互いを褒め合いながらプールへ向かった。初めてこのプールに来たがとっても広い、上にはスライダーが張り巡らされている。凄いと感動して周りを見渡していれば男子たちも丁度来たようで近藤が声を掛けてきた。
「おー可愛いじゃんいいじゃん!」
「これ2人でこないだ買ったんだ~!」
「いいねぇ!似合ってるよなぁ、トシ総悟!」
近藤とは対照的に土方と沖田は露骨に興味の無さそうな顔で適当に返事をした。
「おい何さっきからモジモジしてんでィ。」
「うっお、いやちょっとビキニ着たけど恥ずかしくてさ」
いきなり沖田に話しかけられて変な声が出てしまった。
初めて見る水着姿、さすが剣道部なだけあってちゃんと腹筋もうっすら割れていて胸がキュンとなった。沖田を見ているとどうもドキドキしてしまうので私は誤魔化すように土方に話しかける。
「土方ってマヨばっかり食べてる割に腹筋ちゃんと割れてんだね。」
「お前なバカにすんじゃねーよ、つーかこれから何すんだ?」
「そりゃスライダー乗りまくるでしょ!!」
そうトモダチが楽しそうに言い出した。絶叫系の苦手な私は正直スライダー系は乗らないでゆったりプールで水遊びでもしていたかった。だが一人だけそんなことが言えるわけもなくスライダーに向かった。スライダーと言ってもここのプールは広く何種類かスライダーがあったので激しいやつはやめてと頼み込んだ。スライダーに向かえば列が出来ていたので私たちもそれに並ぶことにした。
「てかさこれ2人乗りだけどどうする?」
並んでいる最中にトモダチが思い出したように言い出した。
「グーパーして決める?」
「おおーナマエちゃん名案!そうしよう!!」
そう私たちはグーパーで組み分けをすることになった。グッとパーの掛け声で一斉に出せば上手いこと分かれた。トモダチと土方、私は近藤、そして1人で乗るのは沖田だ。
沖田の相手になれなかったのは少し残念だけど近藤と乗った方が緊張しなくていいか、そう思い近藤に話しかける。
「近藤、一緒だったねーよろぴく!」
「あー!いやーどうしよう!」
「どうしようって何!?私とじゃ嫌なの?」
「嫌ってわけじゃ、、そっ総悟、代わってくれー」
「は?なんで!沖田!?」
「…そうでさァ何で俺なんでィ。」
「頼むよ~、俺お妙さんがいるのに他の女の子と乗ったら嫉妬されちゃうよー!」
「いやいやお妙何も思わないでしょ」
沖田に抱き着きながら必死に頼み込んでいる近藤。そんな近藤に根負けしたのか沖田は要求をのんだ。折角、安全牌の近藤だったのに急に沖田と2人乗りだなんて心臓が持たない。ゴリラめ余計な気使いやがってー。ふと沖田を見れば目が合ってしまった。
「つーわけでお前俺と2人乗りでさァ。」
「わ、分かった、途中で落としたりしないでね。」
「それは分かんねェ。」
そう言って笑う沖田を睨んだ。普通に密着することもドキドキだけどこいつの場合途中で悪戯でもされるんじゃないかとそんな不安もある。トモダチは私を見て口パクで良かったねーなんて言ってるが本当に良かったのかこれ。
皆で話しながら順番を待っていたが案外あっという間に順番が回って来た。まずは近藤が1人でスタートした。そして次はトモダチと土方。結構怖いかも、と小さく漏らすトモダチに大丈夫だろと土方が答えている。かっこいいじゃんと感心していれば隣にいる沖田は「かっこつけてんじゃねーよ、死ね」と土方に向かって言っている。土方も言い返そうとしていたが無情にもスタートしてしまった。
2組がいってしまってついに私たちの番が回って来た。
「あー、乗るの止めたい、普通に怖い。」
「安心しろィ、お前の顔の方が怖いから。」
「どういう意味!?」
言い合いをしていれば苦笑いでスタッフさんがこちらに乗ってくださいと誘導してくる。前に乗るのは怖いので沖田に前に行ってもらい2人用の浮き輪の後ろに乗り込む。目の前には沖田の後頭部がドアップで映る、思っていたよりも近い距離に心臓が早くなる。すると沖田がいきなりこっちに顔を向けてくる。あー顔が近い!!
「ミョウジ、暴れて蹴ったりすんなよ。」
「出来るだけ頑張る。」
そう言えばスタッフさんが笑顔で背中を押してきてスタートした。
「ぎゃあああああああ!!!」
「おいっ、痛ぇ!!」
早い!思ってたより早い怖い、全力で目を閉じ終わることを願い自分でもびっくりするような汚い声で叫び続けた。静かになりやっと終わり、恐る恐る目を開ければ知らないうちに沖田の両腕をしっかりと掴んでる。しかも力を入れてしまったせいで赤くなってる。
「ごめん!腕掴んじゃってた!」
「腕は痛ぇし、うるせぇしまじでいい加減にしろ。」
「ひぇーごめん!」
「許さねェ。」
そう言えば沖田は私の足を掴んで思いっきりプールに落とした。ダイレクトに顔面から入水した私と言えば鼻に水が入り死にそうだ。水から顔を上げればグシャグシャの顔を見て沖田が、「ひでぇ顔でさァ!」と爆笑している。
何なんだよこいつ腹立つなぁ。
「ひーおもしれぇ傑作でさァ。」
そんな沖田にイラっとして私も沖田の足を掴みプールに引きずり落とした。
「てめぇ何すんでィ。」
「ぎゃはは仕返しです~!」
「ふざけんなよ!」
沖田が思いっきり水を掛けてくるのでこっちも負けじと水を掛けていればプールサイドからもう既に終わり外に上がっている皆の声が聞こえた。
「ナマエと沖田、そんなところで何してんの?早く浮き輪返してきな~!」
トモダチの言葉により私たちは我にかえり水の掛け合いという低レベルな争いをやめ皆に合流した。
「てか、ナマエびしょ濡れだけどどした?」
「沖田に頭から落とされた。」
「うけるー!折角の2人乗りだったのにね。」
トモダチは沖田らしいわと笑っているが折角したメイクも髪の毛もグシャグシャだし最悪だ。
「で、次はどれ乗るー?」
「あれなんか良くない?」
そんな中皆は次どれに乗るかの相談をし始めた。1回乗っただけで少しグロッキーになってしまった私は1回休憩するから皆で乗ってきていいよと伝えた。楽しんできてねー!と皆を見送りジュースでも飲んで休憩しようと思っていれば何故か沖田も動かずに皆を見送っている。
「沖田、皆と行かないの?」
「どっかのバカ女のせいで疲れたから俺も休憩でさァ。」
なんとラッキーなことに沖田と二人きりになってしまった。沖田が喉が渇いたというので2人で休憩所で休むことにした。
休憩所に移動中、トイレに行きたくなりトイレに寄った。ふと鏡で自分の顔を見てみればまぁ酷い顔で出来る限りのことをしてマシな顔と髪の毛に戻した。よし、と気合いを入れ待たしている沖田の元に向かえばお姉さん2人に話しかけられるではないか。それも中々の美人でしかも胸まで大きいときた。もしかしなくても逆ナンってやつだよね?あいつ、顔はピカイチにいいからそりゃ1人で居たら声もかけられるか。なんて妙に納得してしまいその光景をただボーっと見ていた。少し離れているせいで会話の内容までは聞こえないがお姉さんたちはとても楽しそうに笑顔を見せている。何だか悔しくて惨めな気持ちになった。もういいや、1人で休憩所に行こうそう思いバレないようにそっと通り過ぎようとしたとき、沖田が気付いたのか私を呼んだ。しかもいつもの『ミョウジ』ではない『ナマエ』と。
いきなりそんなことを言われて驚いた顔をしていれば沖田が手招きをしている。恐る恐る近づいて見ればいきなり手を引かれ引き寄せられた。いきなりのことで頭がパニックになっている。
「ナマエ、遅いでさァ待ちくたびれやした。」
そう言って手を絡めて恋人繋ぎをしてくる沖田、何これ!?
「これが自慢の彼女さんー?」
「へー、可愛いじゃーん」
かっ、彼女?訳が分からず沖田を見ればニッコリと笑っている。こんな笑顔見たことないけど?怖い!
「というわけで、あんまお姉さんたちと話してるとこいつ嫉妬しちゃうんで。」
「あーぁ、本当に彼女いるとは思わなかった~。」
「はいはい邪魔者は消えまーす!」
そう言ってお姉さんたちはぶつくさと言いながら私たちの前から居なくなった。取り残されたのは密着して手を繋いでいる沖田と私。今になって恥ずかしくなってきて段々と体が熱くなる。
「ちょっとこれどういうこと!」
「あーあの女たちがしつこかったから彼女と来てるっつたら見たいとか言い出してこうなりやした。」
「もー!いきなり手とか繋がれたらビックリするじゃん!」
恥ずかしくて下を向いている顔を覗き込んでくる沖田。
「お前もしかして照れてんですかィ?」
「照れてない!普通に恥ずかしかっただけ、、」
「…じゃあ今日1日ずっと彼氏役でいてやりやしょうか?」
沖田はまるで面白い玩具を見つけたような顔でこちらを見てくる。こんなにドキドキしてるのは私だけかよ!何だか悔しくて繋いでる手を離そうとしたが沖田が強く握っているせいで離せない。
「ねぇ手離してよ。」
「いやでさァ、こうしてた方がお前大人しそうだし。」
ニヤリと笑う沖田の顔はむかつくけどかっこよくて顔に熱が集まってくる。黙りこんだ私の手を引きどんどんと休憩所に進んでいく沖田。休憩所と言ってもただ人工芝が敷かれたスペースだ。芝生に座る沖田の隣に静かに座る。やっと手を解放されたがさっきまで繋がれていたところがじんわりと熱い。
「あー喉乾いた、なんか買ってきてくだせェ。」
「何で私が買いに行かなきゃいけないの、沖田が行ってよ!」
「それが彼氏様に対する態度かてめぇ。」
「いつから彼氏になったの!?」
「今日1日彼氏役で居てやるっつたろうが。」
「はぁ?あれまだ続いてんの?」
1日限定の彼氏…沖田は完全に面白がってるが私からしたら冗談ではない。というか1日じゃなくてこれからずっと彼氏になって欲しいくらいなんだけど、喉まで出かかった言葉をグッと飲み込んだ。
「……私は本物の彼氏が欲しかった。」
「お前には無理だろィ。」
「どういう意味!?」
「お前ガサツだしうるせぇし我儘だしモテねぇしメス豚だし。」
「ボロカスじゃん。てか最後もう人間じゃなかったね?」
「まぁ…でも誰も貰い手がなかった俺が貰ってやろーか。」
冗談なのか本気なのか分からないがニヤリと笑いながらこちらを見ている沖田。何て答えていいのか分からずただ早くなる心臓の音。
「わっ、私だって沖田が思ってるよりモテるけどもし誰も居なかったら沖田のところいってあげる!」
「へー、そりゃ楽しみにしてまさァ。」
沖田は笑いながら私の頭に手を置いた。やけにうるさい心臓の音だけが響いた。
「久しぶりってこないだ遊んだばっかりじゃん。」
そうトモダチが笑った。夏休み真っ最中、今日は服でも買いに行く予定だが買い物の前に腹ごしらえをしようということになり定番のサイゼに入った。店内は冷房が効いていて汗ばんでいた体からスッと汗が引いていく。サイゼに来ては飽きもせず毎回同じメニューを頼んでいる私たちは悩む暇もなくすぐにいつもの食べ物とドリンクバーを注文した。
「そういえばトモダチはあいつと進展あった?」
「それが今度2人で勉強教えてもらうことになったんだよね!」
「何それ~!ちゃっかり進展してんじゃーん。」
「まぁね~、そういうナマエは沖田と進展ないの?」
「進展?ないよ!全然ない会う予定も無いし悲しみの極み。」
深いため息をつきドリンクバーの薄味カルピスを一気に飲み干した。折角の夏休みだというのに私は沖田を遊びに誘うどころかろくに連絡さえ出来ないでいた。沖田なんて2人で遊びに行こうなんて誘った日には即答で断られる。そんなことが容易く想像が出来てしまい、またため息。するとトモダチが何か思いついたようで大きな声を出した。
「うちら今度プール行こうって言ってたじゃん?それに沖田誘えばいいじゃん!」
「嘘でしょ?無理、プールとか水着だよ恥ずかしくて無理。」
「ナマエって恥じらいとかあったの?」
「あるよ!!」
トモダチは笑っているがさすがの私も好きな人の前で水着になる勇気はない。しかも相手はあの沖田、水着姿見ただけで絶対目が腐るくらい言ってくるに違いない。でも夏休みに会えるのは正直嬉しかったりするな。うーんと悩んでいればトモダチがさっさと誘え!なんて言ってくるもんだから勢いに負けて沖田に連絡してみることにした。すると案外早く返信が来た。土方と近藤さんも一緒で良ければと短い返信が返って来た。まさか一緒に行ってくれるなんて思っていなかった私は興奮して友人に画面を見せた。
「良かったじゃーん!」
「こうなればこの後水着も見に行かなくちゃ!」
*
プール当日。私たちはプールの最寄り駅に集合した。夏休みということもあり人が多い。
「やばい、全然痩せられなかった。」
「ナマエ、ダイエットしてないでしょ。」
「1日だけ頑張った、てかお腹出てるのに胸無いの辛すぎ。」
「あはは、それ一番最悪なやつじゃんー!」
朝から女子たちでこんな会話で盛り上がっていれば後ろから声を掛けられた。見れば元気に手を振っている近藤とテンションの低そうな土方に半分寝惚けた顔をした沖田がいる。皆が集まったのでプールに向かって歩いていれば
「ナマエちゃん、本当は総悟と2人が良かったんじゃないの?」
なんて耳元で話しかける近藤に、うるさい!と皆にばれないようにパンチをした。
プールに到着し男女でいったん別れ着替え終わり次第集合することになった。こないだ買ったばかりのビキニを早速着てみる。やっぱりこの水着最高に可愛いなぁ、一目惚れした水着なだけあって着るだけでテンションが上がった。隣を見ればトモダチもこないだ一緒に買った水着を着ている。水着を買った時にも散々褒め合ったのにまたお互いを褒め合いながらプールへ向かった。初めてこのプールに来たがとっても広い、上にはスライダーが張り巡らされている。凄いと感動して周りを見渡していれば男子たちも丁度来たようで近藤が声を掛けてきた。
「おー可愛いじゃんいいじゃん!」
「これ2人でこないだ買ったんだ~!」
「いいねぇ!似合ってるよなぁ、トシ総悟!」
近藤とは対照的に土方と沖田は露骨に興味の無さそうな顔で適当に返事をした。
「おい何さっきからモジモジしてんでィ。」
「うっお、いやちょっとビキニ着たけど恥ずかしくてさ」
いきなり沖田に話しかけられて変な声が出てしまった。
初めて見る水着姿、さすが剣道部なだけあってちゃんと腹筋もうっすら割れていて胸がキュンとなった。沖田を見ているとどうもドキドキしてしまうので私は誤魔化すように土方に話しかける。
「土方ってマヨばっかり食べてる割に腹筋ちゃんと割れてんだね。」
「お前なバカにすんじゃねーよ、つーかこれから何すんだ?」
「そりゃスライダー乗りまくるでしょ!!」
そうトモダチが楽しそうに言い出した。絶叫系の苦手な私は正直スライダー系は乗らないでゆったりプールで水遊びでもしていたかった。だが一人だけそんなことが言えるわけもなくスライダーに向かった。スライダーと言ってもここのプールは広く何種類かスライダーがあったので激しいやつはやめてと頼み込んだ。スライダーに向かえば列が出来ていたので私たちもそれに並ぶことにした。
「てかさこれ2人乗りだけどどうする?」
並んでいる最中にトモダチが思い出したように言い出した。
「グーパーして決める?」
「おおーナマエちゃん名案!そうしよう!!」
そう私たちはグーパーで組み分けをすることになった。グッとパーの掛け声で一斉に出せば上手いこと分かれた。トモダチと土方、私は近藤、そして1人で乗るのは沖田だ。
沖田の相手になれなかったのは少し残念だけど近藤と乗った方が緊張しなくていいか、そう思い近藤に話しかける。
「近藤、一緒だったねーよろぴく!」
「あー!いやーどうしよう!」
「どうしようって何!?私とじゃ嫌なの?」
「嫌ってわけじゃ、、そっ総悟、代わってくれー」
「は?なんで!沖田!?」
「…そうでさァ何で俺なんでィ。」
「頼むよ~、俺お妙さんがいるのに他の女の子と乗ったら嫉妬されちゃうよー!」
「いやいやお妙何も思わないでしょ」
沖田に抱き着きながら必死に頼み込んでいる近藤。そんな近藤に根負けしたのか沖田は要求をのんだ。折角、安全牌の近藤だったのに急に沖田と2人乗りだなんて心臓が持たない。ゴリラめ余計な気使いやがってー。ふと沖田を見れば目が合ってしまった。
「つーわけでお前俺と2人乗りでさァ。」
「わ、分かった、途中で落としたりしないでね。」
「それは分かんねェ。」
そう言って笑う沖田を睨んだ。普通に密着することもドキドキだけどこいつの場合途中で悪戯でもされるんじゃないかとそんな不安もある。トモダチは私を見て口パクで良かったねーなんて言ってるが本当に良かったのかこれ。
皆で話しながら順番を待っていたが案外あっという間に順番が回って来た。まずは近藤が1人でスタートした。そして次はトモダチと土方。結構怖いかも、と小さく漏らすトモダチに大丈夫だろと土方が答えている。かっこいいじゃんと感心していれば隣にいる沖田は「かっこつけてんじゃねーよ、死ね」と土方に向かって言っている。土方も言い返そうとしていたが無情にもスタートしてしまった。
2組がいってしまってついに私たちの番が回って来た。
「あー、乗るの止めたい、普通に怖い。」
「安心しろィ、お前の顔の方が怖いから。」
「どういう意味!?」
言い合いをしていれば苦笑いでスタッフさんがこちらに乗ってくださいと誘導してくる。前に乗るのは怖いので沖田に前に行ってもらい2人用の浮き輪の後ろに乗り込む。目の前には沖田の後頭部がドアップで映る、思っていたよりも近い距離に心臓が早くなる。すると沖田がいきなりこっちに顔を向けてくる。あー顔が近い!!
「ミョウジ、暴れて蹴ったりすんなよ。」
「出来るだけ頑張る。」
そう言えばスタッフさんが笑顔で背中を押してきてスタートした。
「ぎゃあああああああ!!!」
「おいっ、痛ぇ!!」
早い!思ってたより早い怖い、全力で目を閉じ終わることを願い自分でもびっくりするような汚い声で叫び続けた。静かになりやっと終わり、恐る恐る目を開ければ知らないうちに沖田の両腕をしっかりと掴んでる。しかも力を入れてしまったせいで赤くなってる。
「ごめん!腕掴んじゃってた!」
「腕は痛ぇし、うるせぇしまじでいい加減にしろ。」
「ひぇーごめん!」
「許さねェ。」
そう言えば沖田は私の足を掴んで思いっきりプールに落とした。ダイレクトに顔面から入水した私と言えば鼻に水が入り死にそうだ。水から顔を上げればグシャグシャの顔を見て沖田が、「ひでぇ顔でさァ!」と爆笑している。
何なんだよこいつ腹立つなぁ。
「ひーおもしれぇ傑作でさァ。」
そんな沖田にイラっとして私も沖田の足を掴みプールに引きずり落とした。
「てめぇ何すんでィ。」
「ぎゃはは仕返しです~!」
「ふざけんなよ!」
沖田が思いっきり水を掛けてくるのでこっちも負けじと水を掛けていればプールサイドからもう既に終わり外に上がっている皆の声が聞こえた。
「ナマエと沖田、そんなところで何してんの?早く浮き輪返してきな~!」
トモダチの言葉により私たちは我にかえり水の掛け合いという低レベルな争いをやめ皆に合流した。
「てか、ナマエびしょ濡れだけどどした?」
「沖田に頭から落とされた。」
「うけるー!折角の2人乗りだったのにね。」
トモダチは沖田らしいわと笑っているが折角したメイクも髪の毛もグシャグシャだし最悪だ。
「で、次はどれ乗るー?」
「あれなんか良くない?」
そんな中皆は次どれに乗るかの相談をし始めた。1回乗っただけで少しグロッキーになってしまった私は1回休憩するから皆で乗ってきていいよと伝えた。楽しんできてねー!と皆を見送りジュースでも飲んで休憩しようと思っていれば何故か沖田も動かずに皆を見送っている。
「沖田、皆と行かないの?」
「どっかのバカ女のせいで疲れたから俺も休憩でさァ。」
なんとラッキーなことに沖田と二人きりになってしまった。沖田が喉が渇いたというので2人で休憩所で休むことにした。
休憩所に移動中、トイレに行きたくなりトイレに寄った。ふと鏡で自分の顔を見てみればまぁ酷い顔で出来る限りのことをしてマシな顔と髪の毛に戻した。よし、と気合いを入れ待たしている沖田の元に向かえばお姉さん2人に話しかけられるではないか。それも中々の美人でしかも胸まで大きいときた。もしかしなくても逆ナンってやつだよね?あいつ、顔はピカイチにいいからそりゃ1人で居たら声もかけられるか。なんて妙に納得してしまいその光景をただボーっと見ていた。少し離れているせいで会話の内容までは聞こえないがお姉さんたちはとても楽しそうに笑顔を見せている。何だか悔しくて惨めな気持ちになった。もういいや、1人で休憩所に行こうそう思いバレないようにそっと通り過ぎようとしたとき、沖田が気付いたのか私を呼んだ。しかもいつもの『ミョウジ』ではない『ナマエ』と。
いきなりそんなことを言われて驚いた顔をしていれば沖田が手招きをしている。恐る恐る近づいて見ればいきなり手を引かれ引き寄せられた。いきなりのことで頭がパニックになっている。
「ナマエ、遅いでさァ待ちくたびれやした。」
そう言って手を絡めて恋人繋ぎをしてくる沖田、何これ!?
「これが自慢の彼女さんー?」
「へー、可愛いじゃーん」
かっ、彼女?訳が分からず沖田を見ればニッコリと笑っている。こんな笑顔見たことないけど?怖い!
「というわけで、あんまお姉さんたちと話してるとこいつ嫉妬しちゃうんで。」
「あーぁ、本当に彼女いるとは思わなかった~。」
「はいはい邪魔者は消えまーす!」
そう言ってお姉さんたちはぶつくさと言いながら私たちの前から居なくなった。取り残されたのは密着して手を繋いでいる沖田と私。今になって恥ずかしくなってきて段々と体が熱くなる。
「ちょっとこれどういうこと!」
「あーあの女たちがしつこかったから彼女と来てるっつたら見たいとか言い出してこうなりやした。」
「もー!いきなり手とか繋がれたらビックリするじゃん!」
恥ずかしくて下を向いている顔を覗き込んでくる沖田。
「お前もしかして照れてんですかィ?」
「照れてない!普通に恥ずかしかっただけ、、」
「…じゃあ今日1日ずっと彼氏役でいてやりやしょうか?」
沖田はまるで面白い玩具を見つけたような顔でこちらを見てくる。こんなにドキドキしてるのは私だけかよ!何だか悔しくて繋いでる手を離そうとしたが沖田が強く握っているせいで離せない。
「ねぇ手離してよ。」
「いやでさァ、こうしてた方がお前大人しそうだし。」
ニヤリと笑う沖田の顔はむかつくけどかっこよくて顔に熱が集まってくる。黙りこんだ私の手を引きどんどんと休憩所に進んでいく沖田。休憩所と言ってもただ人工芝が敷かれたスペースだ。芝生に座る沖田の隣に静かに座る。やっと手を解放されたがさっきまで繋がれていたところがじんわりと熱い。
「あー喉乾いた、なんか買ってきてくだせェ。」
「何で私が買いに行かなきゃいけないの、沖田が行ってよ!」
「それが彼氏様に対する態度かてめぇ。」
「いつから彼氏になったの!?」
「今日1日彼氏役で居てやるっつたろうが。」
「はぁ?あれまだ続いてんの?」
1日限定の彼氏…沖田は完全に面白がってるが私からしたら冗談ではない。というか1日じゃなくてこれからずっと彼氏になって欲しいくらいなんだけど、喉まで出かかった言葉をグッと飲み込んだ。
「……私は本物の彼氏が欲しかった。」
「お前には無理だろィ。」
「どういう意味!?」
「お前ガサツだしうるせぇし我儘だしモテねぇしメス豚だし。」
「ボロカスじゃん。てか最後もう人間じゃなかったね?」
「まぁ…でも誰も貰い手がなかった俺が貰ってやろーか。」
冗談なのか本気なのか分からないがニヤリと笑いながらこちらを見ている沖田。何て答えていいのか分からずただ早くなる心臓の音。
「わっ、私だって沖田が思ってるよりモテるけどもし誰も居なかったら沖田のところいってあげる!」
「へー、そりゃ楽しみにしてまさァ。」
沖田は笑いながら私の頭に手を置いた。やけにうるさい心臓の音だけが響いた。
