短編
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はぁ、彼氏欲しい。
女子高生最後の夏休みだというのに私は何故こんな暑い部屋でガリガリ君に齧り付いているんだろう?
本当なら私だって彼氏と海に行ったり遊園地でラブラブな写真撮りまくったりしたかった。さっき読み終えた少女漫画のおかげで脳内は想像の彼氏とのピンクな妄想で埋め尽くされている。
あーやっぱりあの時当たって砕けろ精神でちゃんと告白していればよかった。思い出すのは終業式の日。片思い中のクラスメイト、沖田に告白しようと意を決して放課後まで待っていたのに一足先に可愛いと有名なひとつ下の後輩が告白してる場面を見てしまった。
結局のところ沖田はその女の子を振っていたわけだが、あれだけ可愛い子でも振られるくらいなら私なんて勝ち目がないと心が折れてしまい告白は出来なかった。
そんなことを思い出し、ため息をつきながら溶け始めたガリガリ君を口へと運んだ。ふと携帯を見てみるとお妙から連絡がきていた。内容を確認してみると今度開催される夏祭り及び花火大会へのお誘いだった。私はすぐに行くと返事を返した。
*
夏祭り当日、まだ明るい時間に集合場所へ向えば既にお妙と神楽が到着していた。周りの女子たちが浴衣姿で着飾る中3人揃って動きやすいワンピースなのは私たちが“色気より食い気“だからだ。そして集合するやいなや神楽が私とお妙の手をとった。
「今日はたくさん食べるネ!」
「神楽ちゃんそんな慌てなくても食べ物はなくならないわよ。」
「そうだよ、人混みなんだからゆっくり回ろうー。」
「何言ってるアルか?屋台制覇する気で来たネ早く回らないと時間がないヨ!」
そんなこと言ってる神楽の目は本気だった。それから神楽に引っ張られながら屋台を巡ったわけだがたこ焼きから始まり焼きそば、フランクフルト、から揚げ、チョコバナナをノンストップで食べ終えそろそろお腹が膨れてきた。
「ちょっと神楽ストップ休憩しよ。」
「だめだめ、時間がないネ!」
そう言って私たちの手をまたもや引っ張る神楽。
全くこんな可愛らしい見た目のくせに何でこんな大食いなんだこいつー。しかもいくら食べても太らないってどういうこと?羨ましい限りだ。ボーっとそんなことを考えていると神楽が急に足を止めた。どうしたのと尋ねてみればあからさまに嫌な顔をしてどこかを指をさしている。指の先へ視線を向けてみれば少し先の方に見慣れた蜂蜜色の髪の毛が目に入り急に心臓が早くなった。そう沖田が居たのだ。まぁ正確に言えば沖田の横には近藤と土方も居たのだが。お妙もそれに気付いたようで小さな声で、最悪だわと呟いた。あっちの3人もこちらに気付いたようで沖田とバッチリ目が合ってしまった。どんなリアクションをしていいか分からず思わず「ヤッホー!」などという間抜けな声が出てしまい我ながら情けない、、とその時近藤がこっちに凄い勢いで向かってきた怖い怖い怖い!
「お妙さーん!いやーこんなところで会えるなんて!運命ってやつかな!ガハハ!!」
「誰が運命じゃ殺すぞゴリラ!」
「お妙落ち着いて、近藤たちも来てたんだね。」
「そうなんだよ、おーいお前らもこっちに来いよ!」
近藤の一声で沖田と土方もこっちに向かってきた。まさかこんなところで遭遇するなんて思ってなかった私は急にお洒落をしてこなかった自分を恨んだ。浴衣の一つでも着て着飾っておけば、、だけどそれ以上に初めて見る沖田の私服にテンションが上がってしまう。なんてことはないTシャツにGパン、それだけで様になっているのだからやっぱり顔が良い。会った瞬間神楽と睨み合っている沖田をチラリと見つめた。
「これも何かの縁ってことで後で花火も始まるし一緒に回りませんか!」
と近藤がニコニコした笑顔でこう言ってきた。一緒に花火!?最高すぎる、と思ったが私と近藤以外の4人は難色を示した。きっとこの状況をラッキーだと思っているのは私たちだけなんだろう。
「いいじゃん、お祭りは大人数の方がいいよ!ね、近藤!」
「だよねだよね~、絶対楽しいって!」
嫌がる4人をどうにか説得し何とか6人で行動を共にすることになった。それはいいのだが神楽と沖田はずっと言い合いをしている。というか本当に神楽と沖田って仲良いな。もしかして沖田は神楽のこと好きだったりするのかな。何気なく出たため息。そんなため息を聞き逃さなかったのか土方が話しかけてきた。
「お前祭り来てなんつー顔してんだよ。」
「乙女心は複雑なのよマヨ方くん。」
「誰がマヨ方だふざけんな。」
「ミョウジ、土方と話してるとマヨが移るぜ。」
「大丈夫、私マヨブロックしてるから」
「マヨブロックて何ィィ!?つかお前らマヨ馬鹿にするんじゃねぇ。」
ついさっきまで神楽と喧嘩をしていた沖田が私と土方の話に割り込んできた。沖田とちゃんと話すのは終業式以来で何だか少し緊張してしまう。
「俺イカ焼き食いてぇ奢ってくだせェ。」
「いいね、じゃあ私は綿あめお願いしまーす!」
「誰がお前らなんかに奢るか自分で買いやがれ。」
沖田と一緒に土方にたかりながら歩いた。するともうすぐ花火大会が始まるとのアナウンスが響き渡った。そしてそろそろ花火会場移動しようということになり会場に向かったのだが足に痛みが走った。どうやら新しいサンダルを履いて来たのでストラップのところがすれて靴擦れを起こしているようだ。何気なくふと足を見てみれば皮がめくれてるのが見えた。あー見てしまったら余計に痛い。このまま皆のペースで歩ける気がしないので皆に先に花火会場まで行って欲しいと伝えた。そしてぎこちない歩き方でどうにか人混みを抜けた。確か1枚くらい絆創膏持っていたはずガサガサと鞄の中を探していれば頭上から声をかけられ顔をあげてみればそこには沖田が居た。
「え!?沖田皆と一緒に行かなかったの?」
「近藤さんに女一人で行動するのは危ないからミョウジと一緒に来いって言われやした。」
近藤~!!ありがとういつもゴリラとかサイコストーカーとか言って本当にごめんなさい。これからお前は綺麗なゴリラだ、あれ結局ゴリラじゃね?いや今そんなことはどうでもいい、沖田だ。とりあえず沖田に今の状況を説明するといきなりしゃがみこんで私の足をじっと見ている。待って恥ずかしい。
「うーわこりゃ痛そうでさァ、触っていいですかィ?」
「待って無理、それだけは勘弁して!」
「えー嫌でさァ」
「ギャアーーーッ、本当やめて!!」
汚い声で叫べばそれ見て沖田は爆笑してる。むかつくなと思いながらも笑ってる沖田の姿にキュンキュンしちゃうんだから困ったもんだ。私はそんな沖田を横目にやっと見つけだした絆創膏をかかとに貼り付けた。これで何とか歩けそう。花火も始まっちゃうし皆のところに合流しようー!と歩き出そうとしたとき沖田に腕を掴まれた。いきなりのことでビックリしちゃって変な声が出てしまった。
「特等席案内してやりやしょうか?」
ついて来なせぇと沖田が歩き出すもんだから私も一緒に歩き出す。特等席ってなんだろ?不思議に思いながらついていくものの花火会場とは違う方向に歩いているようだった。皆と合流しなくてもいいの?と聞けばあいつらと居たら煩くて花火どころじゃないからと言われた。いきなりの幸運すぎる展開で頭がついていかない。賑やかな場所からも遠ざかりどんどん周りが暗くなってきた。本当どこ向かってるんだろう、不安に思い始めた時沖田が着いたと言い放った。そこは公園のようだった。
「ここが特等席?」
「この滑り台の上から見る花火が一番綺麗なんですぜィ。」
「へー、そうなんだ知らなかったよ。」
「ガキの頃によく来たんでさァ。」
沖田が慣れたように滑り台の上登っていく。私も同じように真似して登った。二人手すりにもたれかかったものの大人の体が並ぶにはだいぶ窮屈だ。沖田との距離は近いなんてもんじゃない、もう肩や腕がくっついている。心臓がまた早くなる。
「狭いな、今すぐ痩せろ。」
「まるで私がデブみたいな言い方やめてくんない?」
「え!?お前自分が細いと思ってるんですかィ!」
「思ってないわ!だから二の腕つまむのはやめて!?」
「はぁしょうがねぇ、ミョウジのせいで狭いけど我慢するか。」
「腹立つなー。」
さっきまでのドキドキを返して欲しい。沖田がどんどんバカにしてくるもんだから少し気持ちが落ち着いてきた。本当何でこんなやつ好きなんだろ、性格最悪だよと思いつつもやっぱり好きなんだよなーこれが惚れたら負けってことか。ため息をつけば、おいミョウジ見てみろって沖田が指をさしてるいるもんだから見てみれば公園の入り口のところでカップルがイチャついている。私達に気付いていないのか分からないが割と濃厚なイチャつきだ。バックハグからのキスをしたりしている。うっ、見ているこっちが恥ずかしい。沖田は隣でうえー気持ち悪ィなんて怪訝そうに見ている。しばらくイチャイチャしたカップルは満足したのかどこかに行ってしまった。
「ひえー見てるこっちが恥ずかしかった。」
「吐きそうだった。」
「あははー吐くのはやばい、でもちょっと羨ましいかも。」
「まじかよあんなのがいいのかよ。」
「えーちょっとは憧れちゃうじゃん。あそこまでは嫌だけど。」
「じゃあどんなことされたいんでさァ?」
そう聞かれ少し考え、単純に頭撫でられたり、顎クイされて『俺だけ見てろ』とか壁ドンされてキスとか憧れちゃうーと少し興奮気味に語れば沖田は冷めた目でこちらを見ている。
「頭大丈夫かよ。あー気持ち悪ィー。」
「自分で聞いといてその反応はやめて!恥ずかしいじゃん!」
そんな話をしていれば花火大会の時刻になったようで夜空に大きな花火が打ちあがった。本当によく見える。綺麗だね、なんて沖田に言えば場所代払えよとか言うもんだから沖田らしい返しだなと笑ってしまった。
しばらく二人して無言で花火を見ていたのだがふと隣を見れば沖田の横顔。やっぱり綺麗な顔してるなーなんて盗み見していれば沖田もこっちを見て目が合った。何も言わずに見つめてくる沖田に心臓が跳ねた。そしていきなり伸びてきた沖田の手に頭を撫でられて滑り落ちてきた手はそのまま頬に触れられた。
「ミョウジ好きですぜ、これからは俺だけ見てろよ。」
一瞬何が起こったのか分からなくて時間が止まった。そしてその行動と言葉を理解し全ての熱が顔に集まりとても顔が熱い。ドキドキが聞こえてしまうのではないかというくらいに心臓もうるさい。沖田は相変わらず何を考えているのか分からないポーカーフェイスでこちらを見つめている。何か話さないといけないと思いつつ上手く呼吸が出来ず言葉が出てこない。口をパクパクしているそんな私が面白かったのか急に吹き出し笑い出す沖田。
「ちょっと、何で笑うの!」
「あまりにも間抜けな顔してたからでさァ。」
「はぁ?いきなりあんなことされたら誰でもビックリするよ!!」
「お前の憧れを再現してやったんでさァ、感謝しろ。」
「うーわ最低最悪!本当冗談きつすぎ!!」
こういうやつだった、沖田はこういうやつだよ。本気にした自分がバカだった。でも嘘でも好きな人にあんなこと言われて照れない女はいないでしょ。悶々としながら下を向いていれば沖田が頭に手を置いて来た。もう次は何なの。
「まぁ本気にしてくれてもいいんですけどねィ。」
意味が分からず顔を上げ沖田の方を見れば得意そうな笑顔でこっちを見ていた。
「えっ、それどういう意味?」
「、、自分で考えろばーか。」
そう言い花火の方を向いてしまった沖田。横顔の沖田の顔色はよく分らないがいつもより顔が赤らんで見えるのはきっと花火のせいなのかな。死んでしまうのではないかというくらいに早い鼓動を何とか深呼吸でおさえ私も花火を見た。そのままお互い無言のまま花火を見ていた。触れている左肩がじんわりと熱い。きっと今ならちゃんと言える気がする。
「沖田、あのね、」
私の夏はこれから始まる。
女子高生最後の夏休みだというのに私は何故こんな暑い部屋でガリガリ君に齧り付いているんだろう?
本当なら私だって彼氏と海に行ったり遊園地でラブラブな写真撮りまくったりしたかった。さっき読み終えた少女漫画のおかげで脳内は想像の彼氏とのピンクな妄想で埋め尽くされている。
あーやっぱりあの時当たって砕けろ精神でちゃんと告白していればよかった。思い出すのは終業式の日。片思い中のクラスメイト、沖田に告白しようと意を決して放課後まで待っていたのに一足先に可愛いと有名なひとつ下の後輩が告白してる場面を見てしまった。
結局のところ沖田はその女の子を振っていたわけだが、あれだけ可愛い子でも振られるくらいなら私なんて勝ち目がないと心が折れてしまい告白は出来なかった。
そんなことを思い出し、ため息をつきながら溶け始めたガリガリ君を口へと運んだ。ふと携帯を見てみるとお妙から連絡がきていた。内容を確認してみると今度開催される夏祭り及び花火大会へのお誘いだった。私はすぐに行くと返事を返した。
*
夏祭り当日、まだ明るい時間に集合場所へ向えば既にお妙と神楽が到着していた。周りの女子たちが浴衣姿で着飾る中3人揃って動きやすいワンピースなのは私たちが“色気より食い気“だからだ。そして集合するやいなや神楽が私とお妙の手をとった。
「今日はたくさん食べるネ!」
「神楽ちゃんそんな慌てなくても食べ物はなくならないわよ。」
「そうだよ、人混みなんだからゆっくり回ろうー。」
「何言ってるアルか?屋台制覇する気で来たネ早く回らないと時間がないヨ!」
そんなこと言ってる神楽の目は本気だった。それから神楽に引っ張られながら屋台を巡ったわけだがたこ焼きから始まり焼きそば、フランクフルト、から揚げ、チョコバナナをノンストップで食べ終えそろそろお腹が膨れてきた。
「ちょっと神楽ストップ休憩しよ。」
「だめだめ、時間がないネ!」
そう言って私たちの手をまたもや引っ張る神楽。
全くこんな可愛らしい見た目のくせに何でこんな大食いなんだこいつー。しかもいくら食べても太らないってどういうこと?羨ましい限りだ。ボーっとそんなことを考えていると神楽が急に足を止めた。どうしたのと尋ねてみればあからさまに嫌な顔をしてどこかを指をさしている。指の先へ視線を向けてみれば少し先の方に見慣れた蜂蜜色の髪の毛が目に入り急に心臓が早くなった。そう沖田が居たのだ。まぁ正確に言えば沖田の横には近藤と土方も居たのだが。お妙もそれに気付いたようで小さな声で、最悪だわと呟いた。あっちの3人もこちらに気付いたようで沖田とバッチリ目が合ってしまった。どんなリアクションをしていいか分からず思わず「ヤッホー!」などという間抜けな声が出てしまい我ながら情けない、、とその時近藤がこっちに凄い勢いで向かってきた怖い怖い怖い!
「お妙さーん!いやーこんなところで会えるなんて!運命ってやつかな!ガハハ!!」
「誰が運命じゃ殺すぞゴリラ!」
「お妙落ち着いて、近藤たちも来てたんだね。」
「そうなんだよ、おーいお前らもこっちに来いよ!」
近藤の一声で沖田と土方もこっちに向かってきた。まさかこんなところで遭遇するなんて思ってなかった私は急にお洒落をしてこなかった自分を恨んだ。浴衣の一つでも着て着飾っておけば、、だけどそれ以上に初めて見る沖田の私服にテンションが上がってしまう。なんてことはないTシャツにGパン、それだけで様になっているのだからやっぱり顔が良い。会った瞬間神楽と睨み合っている沖田をチラリと見つめた。
「これも何かの縁ってことで後で花火も始まるし一緒に回りませんか!」
と近藤がニコニコした笑顔でこう言ってきた。一緒に花火!?最高すぎる、と思ったが私と近藤以外の4人は難色を示した。きっとこの状況をラッキーだと思っているのは私たちだけなんだろう。
「いいじゃん、お祭りは大人数の方がいいよ!ね、近藤!」
「だよねだよね~、絶対楽しいって!」
嫌がる4人をどうにか説得し何とか6人で行動を共にすることになった。それはいいのだが神楽と沖田はずっと言い合いをしている。というか本当に神楽と沖田って仲良いな。もしかして沖田は神楽のこと好きだったりするのかな。何気なく出たため息。そんなため息を聞き逃さなかったのか土方が話しかけてきた。
「お前祭り来てなんつー顔してんだよ。」
「乙女心は複雑なのよマヨ方くん。」
「誰がマヨ方だふざけんな。」
「ミョウジ、土方と話してるとマヨが移るぜ。」
「大丈夫、私マヨブロックしてるから」
「マヨブロックて何ィィ!?つかお前らマヨ馬鹿にするんじゃねぇ。」
ついさっきまで神楽と喧嘩をしていた沖田が私と土方の話に割り込んできた。沖田とちゃんと話すのは終業式以来で何だか少し緊張してしまう。
「俺イカ焼き食いてぇ奢ってくだせェ。」
「いいね、じゃあ私は綿あめお願いしまーす!」
「誰がお前らなんかに奢るか自分で買いやがれ。」
沖田と一緒に土方にたかりながら歩いた。するともうすぐ花火大会が始まるとのアナウンスが響き渡った。そしてそろそろ花火会場移動しようということになり会場に向かったのだが足に痛みが走った。どうやら新しいサンダルを履いて来たのでストラップのところがすれて靴擦れを起こしているようだ。何気なくふと足を見てみれば皮がめくれてるのが見えた。あー見てしまったら余計に痛い。このまま皆のペースで歩ける気がしないので皆に先に花火会場まで行って欲しいと伝えた。そしてぎこちない歩き方でどうにか人混みを抜けた。確か1枚くらい絆創膏持っていたはずガサガサと鞄の中を探していれば頭上から声をかけられ顔をあげてみればそこには沖田が居た。
「え!?沖田皆と一緒に行かなかったの?」
「近藤さんに女一人で行動するのは危ないからミョウジと一緒に来いって言われやした。」
近藤~!!ありがとういつもゴリラとかサイコストーカーとか言って本当にごめんなさい。これからお前は綺麗なゴリラだ、あれ結局ゴリラじゃね?いや今そんなことはどうでもいい、沖田だ。とりあえず沖田に今の状況を説明するといきなりしゃがみこんで私の足をじっと見ている。待って恥ずかしい。
「うーわこりゃ痛そうでさァ、触っていいですかィ?」
「待って無理、それだけは勘弁して!」
「えー嫌でさァ」
「ギャアーーーッ、本当やめて!!」
汚い声で叫べばそれ見て沖田は爆笑してる。むかつくなと思いながらも笑ってる沖田の姿にキュンキュンしちゃうんだから困ったもんだ。私はそんな沖田を横目にやっと見つけだした絆創膏をかかとに貼り付けた。これで何とか歩けそう。花火も始まっちゃうし皆のところに合流しようー!と歩き出そうとしたとき沖田に腕を掴まれた。いきなりのことでビックリしちゃって変な声が出てしまった。
「特等席案内してやりやしょうか?」
ついて来なせぇと沖田が歩き出すもんだから私も一緒に歩き出す。特等席ってなんだろ?不思議に思いながらついていくものの花火会場とは違う方向に歩いているようだった。皆と合流しなくてもいいの?と聞けばあいつらと居たら煩くて花火どころじゃないからと言われた。いきなりの幸運すぎる展開で頭がついていかない。賑やかな場所からも遠ざかりどんどん周りが暗くなってきた。本当どこ向かってるんだろう、不安に思い始めた時沖田が着いたと言い放った。そこは公園のようだった。
「ここが特等席?」
「この滑り台の上から見る花火が一番綺麗なんですぜィ。」
「へー、そうなんだ知らなかったよ。」
「ガキの頃によく来たんでさァ。」
沖田が慣れたように滑り台の上登っていく。私も同じように真似して登った。二人手すりにもたれかかったものの大人の体が並ぶにはだいぶ窮屈だ。沖田との距離は近いなんてもんじゃない、もう肩や腕がくっついている。心臓がまた早くなる。
「狭いな、今すぐ痩せろ。」
「まるで私がデブみたいな言い方やめてくんない?」
「え!?お前自分が細いと思ってるんですかィ!」
「思ってないわ!だから二の腕つまむのはやめて!?」
「はぁしょうがねぇ、ミョウジのせいで狭いけど我慢するか。」
「腹立つなー。」
さっきまでのドキドキを返して欲しい。沖田がどんどんバカにしてくるもんだから少し気持ちが落ち着いてきた。本当何でこんなやつ好きなんだろ、性格最悪だよと思いつつもやっぱり好きなんだよなーこれが惚れたら負けってことか。ため息をつけば、おいミョウジ見てみろって沖田が指をさしてるいるもんだから見てみれば公園の入り口のところでカップルがイチャついている。私達に気付いていないのか分からないが割と濃厚なイチャつきだ。バックハグからのキスをしたりしている。うっ、見ているこっちが恥ずかしい。沖田は隣でうえー気持ち悪ィなんて怪訝そうに見ている。しばらくイチャイチャしたカップルは満足したのかどこかに行ってしまった。
「ひえー見てるこっちが恥ずかしかった。」
「吐きそうだった。」
「あははー吐くのはやばい、でもちょっと羨ましいかも。」
「まじかよあんなのがいいのかよ。」
「えーちょっとは憧れちゃうじゃん。あそこまでは嫌だけど。」
「じゃあどんなことされたいんでさァ?」
そう聞かれ少し考え、単純に頭撫でられたり、顎クイされて『俺だけ見てろ』とか壁ドンされてキスとか憧れちゃうーと少し興奮気味に語れば沖田は冷めた目でこちらを見ている。
「頭大丈夫かよ。あー気持ち悪ィー。」
「自分で聞いといてその反応はやめて!恥ずかしいじゃん!」
そんな話をしていれば花火大会の時刻になったようで夜空に大きな花火が打ちあがった。本当によく見える。綺麗だね、なんて沖田に言えば場所代払えよとか言うもんだから沖田らしい返しだなと笑ってしまった。
しばらく二人して無言で花火を見ていたのだがふと隣を見れば沖田の横顔。やっぱり綺麗な顔してるなーなんて盗み見していれば沖田もこっちを見て目が合った。何も言わずに見つめてくる沖田に心臓が跳ねた。そしていきなり伸びてきた沖田の手に頭を撫でられて滑り落ちてきた手はそのまま頬に触れられた。
「ミョウジ好きですぜ、これからは俺だけ見てろよ。」
一瞬何が起こったのか分からなくて時間が止まった。そしてその行動と言葉を理解し全ての熱が顔に集まりとても顔が熱い。ドキドキが聞こえてしまうのではないかというくらいに心臓もうるさい。沖田は相変わらず何を考えているのか分からないポーカーフェイスでこちらを見つめている。何か話さないといけないと思いつつ上手く呼吸が出来ず言葉が出てこない。口をパクパクしているそんな私が面白かったのか急に吹き出し笑い出す沖田。
「ちょっと、何で笑うの!」
「あまりにも間抜けな顔してたからでさァ。」
「はぁ?いきなりあんなことされたら誰でもビックリするよ!!」
「お前の憧れを再現してやったんでさァ、感謝しろ。」
「うーわ最低最悪!本当冗談きつすぎ!!」
こういうやつだった、沖田はこういうやつだよ。本気にした自分がバカだった。でも嘘でも好きな人にあんなこと言われて照れない女はいないでしょ。悶々としながら下を向いていれば沖田が頭に手を置いて来た。もう次は何なの。
「まぁ本気にしてくれてもいいんですけどねィ。」
意味が分からず顔を上げ沖田の方を見れば得意そうな笑顔でこっちを見ていた。
「えっ、それどういう意味?」
「、、自分で考えろばーか。」
そう言い花火の方を向いてしまった沖田。横顔の沖田の顔色はよく分らないがいつもより顔が赤らんで見えるのはきっと花火のせいなのかな。死んでしまうのではないかというくらいに早い鼓動を何とか深呼吸でおさえ私も花火を見た。そのままお互い無言のまま花火を見ていた。触れている左肩がじんわりと熱い。きっと今ならちゃんと言える気がする。
「沖田、あのね、」
私の夏はこれから始まる。
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