銀時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【Gravity of Love】
あの時、腕を強く掴まれた。
あのまま、あなたの引力に身を任せていれば良かったのに
いくら後悔しても
戻る事の無い時間にくらくらと目眩すら覚える。
……ねぇ、銀さん。
もう一度、あたしを
強く抱きしめてくれる……?
_ _ _ _ _
忘れられない記憶が脳裏に浮かぶ。
銀さんと別れてから半年が過ぎた頃
あたしは久しぶりにかぶき町へ来ていた。
別れた後は
この町にいる事すら辛くて
すぐに家を引き払い、かぶき町から離れた所で暮らしていた。
まだ心は癒えていないが
まさか仕事でかぶき町に来る事になるなんて…
銀さんと、逢わないように…逢いませんように。
きっと……泣いてしまうから。
胸のあたりをギュッと押さえ、深呼吸をした。
『今は仕事に集中しなくちゃ』
_ _ _ _ _
暗い顔を営業スマイルで乗り切ったものの、長い事歩いて足がクタクタだ。
あたしは自動販売機でお茶を買うと、足休めにベンチに腰かけていた。
『あれぇ?真奈さんじゃないですか?』
聞き慣れた声にギョッとする。
逃げ出すわけにもいかないので当たり障りのない会話をはじめた。
『…ひ、久しぶりだね新八くん』
『凄い!本当に真奈さんだ!…何か月も見かけなかったからみんな心配してたんですよ。』
『あ…ごめんね。…半年前にかぶき町を離れちゃってさ…』
『そうだったんですね!でも、久しぶりに会えて安心しました。』
そう言いながら優しく微笑む新八くんを見ることもできず
あたしは早くこの場から逃げ出したかった。
『……じゃ、じゃあ…あたし、そろそろ帰るね』
『え、もう行っちゃうんですか?もうすぐ銀さんと神楽ちゃんも来るのに…』
新八くんから出た『銀さん』のワードが胸にズキンと刺さる。
『ぅ、うん。…ふたりによろしく伝えておいて』
精一杯の笑顔を新八くんに向ける。
『…真奈さん…』
新八くんは何か言いたげな表情をしていたけど
あたしはそれを見ないふりして足早にその場を離れた。
いつのまにか、どんよりしていた空が
ぽつぽつと雨を降らし始める。
『…傘…持ってきてないのに…』
まぁいいか…と雨の中をとぼとぼと歩き始める。
下を向いていたら
あたしの影に大きな影が重なった。
『え?』
振り向くとそこには傘を差した銀さんが立っていて
『風邪ひくぞ』
そう言いながらスッと傘にあたしを招き入れた。
突然の銀さんの出現に動揺が隠せない。
『あ、ぁの…ぁたし……』
銀さんはあたしを落ち着かせるために、左腕でギュッと抱き寄せる。
あたしが言葉を発するより先に銀さんが言葉を紡いでいく。
『…真奈…逢いたかった』
『ずっと…こうやって抱きしめたかった…』
銀さんの言葉と腕に熱がこもる。
あたしは涙をポロポロ流しながら銀さんに語りかけた。
『ぁ…あたしは…銀さんに…釣り合わない…』
そう。釣り合わないの。
『…ょ…汚れてしまった…から…』
そう。汚れてしまったのだ…
腕を強く掴まれても
あの日振りほどいてしまったのは
前日あたしが暴漢に襲われてしまったから。
あの時、銀さんに伝えることが出来ずに…逃げ出してしまった。
『し、知らない人に…無理矢理……だから…』
泣きながらあの日の事を銀さんに伝える。
『…真奈…お前は汚れてなんかいねェよ。』
銀さんはあたしの目をじっと見つめると
『俺には…真っ白ですごく綺麗に見える』
そう力強く銀さんは言い切ってから
右手で持っていた傘を手放し、両腕で思い切り抱きしめてくれた。
あたしは止まらない涙を雨で流すように
銀さんの腕の中で泣いた。
しばらくして雨が止み、顔を上げると
濡れた銀色の髪がキラキラと光っていた
『…ぁたし、また銀さんと一緒にいて…いいの?』
恐る恐る聞いてみる。
『俺が…真奈と一緒にいたいんだよ…』
―だから何も言うな―
そう言うように銀さんは優しく唇を重ねてくる。
ねぇ銀さん。
あなたとなら
どんな事があってももう離れない。
あなたの引力は絶大な力を持っているから。
あの時、腕を強く掴まれた。
あのまま、あなたの引力に身を任せていれば良かったのに
いくら後悔しても
戻る事の無い時間にくらくらと目眩すら覚える。
……ねぇ、銀さん。
もう一度、あたしを
強く抱きしめてくれる……?
_ _ _ _ _
忘れられない記憶が脳裏に浮かぶ。
銀さんと別れてから半年が過ぎた頃
あたしは久しぶりにかぶき町へ来ていた。
別れた後は
この町にいる事すら辛くて
すぐに家を引き払い、かぶき町から離れた所で暮らしていた。
まだ心は癒えていないが
まさか仕事でかぶき町に来る事になるなんて…
銀さんと、逢わないように…逢いませんように。
きっと……泣いてしまうから。
胸のあたりをギュッと押さえ、深呼吸をした。
『今は仕事に集中しなくちゃ』
_ _ _ _ _
暗い顔を営業スマイルで乗り切ったものの、長い事歩いて足がクタクタだ。
あたしは自動販売機でお茶を買うと、足休めにベンチに腰かけていた。
『あれぇ?真奈さんじゃないですか?』
聞き慣れた声にギョッとする。
逃げ出すわけにもいかないので当たり障りのない会話をはじめた。
『…ひ、久しぶりだね新八くん』
『凄い!本当に真奈さんだ!…何か月も見かけなかったからみんな心配してたんですよ。』
『あ…ごめんね。…半年前にかぶき町を離れちゃってさ…』
『そうだったんですね!でも、久しぶりに会えて安心しました。』
そう言いながら優しく微笑む新八くんを見ることもできず
あたしは早くこの場から逃げ出したかった。
『……じゃ、じゃあ…あたし、そろそろ帰るね』
『え、もう行っちゃうんですか?もうすぐ銀さんと神楽ちゃんも来るのに…』
新八くんから出た『銀さん』のワードが胸にズキンと刺さる。
『ぅ、うん。…ふたりによろしく伝えておいて』
精一杯の笑顔を新八くんに向ける。
『…真奈さん…』
新八くんは何か言いたげな表情をしていたけど
あたしはそれを見ないふりして足早にその場を離れた。
いつのまにか、どんよりしていた空が
ぽつぽつと雨を降らし始める。
『…傘…持ってきてないのに…』
まぁいいか…と雨の中をとぼとぼと歩き始める。
下を向いていたら
あたしの影に大きな影が重なった。
『え?』
振り向くとそこには傘を差した銀さんが立っていて
『風邪ひくぞ』
そう言いながらスッと傘にあたしを招き入れた。
突然の銀さんの出現に動揺が隠せない。
『あ、ぁの…ぁたし……』
銀さんはあたしを落ち着かせるために、左腕でギュッと抱き寄せる。
あたしが言葉を発するより先に銀さんが言葉を紡いでいく。
『…真奈…逢いたかった』
『ずっと…こうやって抱きしめたかった…』
銀さんの言葉と腕に熱がこもる。
あたしは涙をポロポロ流しながら銀さんに語りかけた。
『ぁ…あたしは…銀さんに…釣り合わない…』
そう。釣り合わないの。
『…ょ…汚れてしまった…から…』
そう。汚れてしまったのだ…
腕を強く掴まれても
あの日振りほどいてしまったのは
前日あたしが暴漢に襲われてしまったから。
あの時、銀さんに伝えることが出来ずに…逃げ出してしまった。
『し、知らない人に…無理矢理……だから…』
泣きながらあの日の事を銀さんに伝える。
『…真奈…お前は汚れてなんかいねェよ。』
銀さんはあたしの目をじっと見つめると
『俺には…真っ白ですごく綺麗に見える』
そう力強く銀さんは言い切ってから
右手で持っていた傘を手放し、両腕で思い切り抱きしめてくれた。
あたしは止まらない涙を雨で流すように
銀さんの腕の中で泣いた。
しばらくして雨が止み、顔を上げると
濡れた銀色の髪がキラキラと光っていた
『…ぁたし、また銀さんと一緒にいて…いいの?』
恐る恐る聞いてみる。
『俺が…真奈と一緒にいたいんだよ…』
―だから何も言うな―
そう言うように銀さんは優しく唇を重ねてくる。
ねぇ銀さん。
あなたとなら
どんな事があってももう離れない。
あなたの引力は絶大な力を持っているから。
2/2ページ