100秒で潜る空
雲を突き抜け、目標地にへと向けてエンジンを飛ばす。
すると、内部の通信機から連絡が入った。
「おい、エンジンを飛ばし過ぎるなよ。帰るための燃料を無駄にすんな」
「ハイハイ、わかってますよ」
私はそう投げやりに言うと、内部通信のスイッチを勝手に遮断した。
さすがに今回だけはこの機会を逃せない。
――絶対に。
西暦900年。
この世界では、人類は空の上で生活をしている。
4つの浮かぶ大陸が存在し、その国の1つライアーク国にいる大天使様を崇拝している牧師様の話しによれば――。
「元は大きな1つの世界であったが、時空獸が生まれたことにより世界は崩壊してしまい私達の住む世界はバラバラに散り4つの大陸に別れてしまったのです」
「大天使様は私達の生存のため、大陸を浮かばせて世界が崩壊した時に生まれた時空穴《ブラックホール》から私達人間を守るため遠ざけたのです」
――私達は大天使様のご加護をよって命を守られているのです。どうかその恩恵を忘れなきように……。
「ご生憎様、大天使様なんて信じたこと一度もないけどね……」
国のほとんどは大天使様を信仰する者が多いが、私は一度も信じていない。
なぜなら、大天使様は私の父を救ってなんてくれなかったから。
私の父”グラン・ラバルト”はこの空の警備隊を務める隊長であった。
空の警備隊の仕事は、空に起きる気候や曇の動き、風の起動を調査しその災害から人々を守るために働いていた。
私はそんな父親がとても誇らしかった。
今も覚えている……いつか大きくなったら、この空で一緒に飛ぼうと言っていた幼きあの頃を。
――ダディ!私が大きくなったら一緒にあの空を飛んでね!そしたら”龍動曇《りゅうどうくも》”を探しに行こう!
――ああ、もちろんとも。一緒に探そうな。
……その日を境に父は帰って来ることもなく、行方不明になってしまった。
みんな父はあの時空穴に落ちて行ったというが、私はそんな話を信じていない。
誰も落ちたのを目撃してないのに、そう簡単に吞み込んでなるものか……私はまだ父が生きていると信じている。
そして今日、私の目の前に”龍動曇”がある。
嵐が多く起きる時にだけ生まれるとされる龍動曇。
曇の形状から龍が住んでいるではないかと言われて、通称龍の巣とも呼ばれている。
厄介なことに嵐を消さない限り、龍動曇から嵐を生み出し続けるとされていて警備隊はみんな嫌っているのだ。
嵐を消しても龍動曇を消さない限り意味がない。
かと言って龍動曇に向かって拡散弾を打っても、修正が早くまた曇ってしまう。
大空を覆てしまうぐらいのこの現象を”曇天層《どんてんそう》”とも気候士達がそう言っていた。
だからこそ、今日は飛ぶんじゃなくて潜るんだ。
そのために飛行機を色々と改善している。
嵐が飛びかまう中、ギリギリに避けて飛行する。
龍動曇まであと150m……あと100m。
半分は切った。
何とか龍動曇まで近づいたため、龍動曇周りを徘徊して入るための”入口”を探す。
どこかに”龍の穴”があるはずだ……どこだ。
私が探していると、私の行動に察知したのか隊長から通信機に連絡が入る。
「レジーナ、一体何をしている!?」
「見ればわかるでしょ!龍動曇の穴を探しているの!」
「まさか……親父さんを探しているのか!?やめろ、お前の親父は亡くなったのだ。お前まで親父の後追いする気か?正気に戻れレジーナ!任務に集中するんだ!」
「……やっぱりな、あんたもあいつらと一緒だ」