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03:天使と遭遇、天使王子VSイケメン死神


 「いってらっしゃいませ、坊ちゃま」

 ――朝方、七時頃。
 大学前に到着し、リムジンを運転していた執事が降りてきて俺様のために車のドアを開く。
 
 「ありがとう、爺や」

 俺様は礼を述べながら、リムジンから降りる。
 リムジンを見慣れていない人間共から好奇心な目線を浴びる。
 その中から、俺様に対する熱い目線も感じていた。
 
 それもその筈だ。
 この美しくも華麗なる美青年を見て、魅了されない人間はいなかろうからな!
 俺様はその目線たちに挨拶を返すように作り笑顔を見せた。
 
 俺様の笑顔を見た女性達は黄色い声がたちまちに上がった。
 女性達はもう俺様にメロメロである……ふっ、なんて罪な男よな!

 「それじゃ、行ってくるよ」

 「お気を付けて」

 執事は俺様に一礼するとそう告げて、リムジンに乗って帰っていった。
 ……さてと、俺様は早速お目当ての相手を人間共の中から探した。
 
 どうやら、まだ来ていないようだな。
 あの女の事だ、寝坊とかしているのだろう……何処に居ても寝ることに困らない奴だからな。仕方ないな、教室に先へ着いて待つとしよう。
 まったく、俺様を待たせるとは困った女だな佐藤 智美。

 
 ――それから時刻、八時頃。
 俺様は教室に着き、自分の席へと座り大人しく本を読んでいたのだが……。

 「ねえ、シオン君は何読んでるの?」

 「シオン君はいつから日本に住んでるの?」

 「ねえー、シオン君!」

 モテてしまうのは、まだわかる。
 女性達が俺様を見放さないのも、わかる。
 だが、こうも飽きずに虫の如くわらわらと近くに集まられては鬱陶しく感じるというもの。
 魔界の女達は黄色い声を上げる事はあったが遠くから俺様を見つめるだけでこんな風に近寄ってくるなどなかったのだが、どうやら人間とやらは警戒に少し欠けるようだな。
 
 死神とは言えど、俺様もここではただの美青年だ。
 面倒だが、そこそこ相手をしなければな。

 「あの……ありがとうございまひゅ」

 話しかけてくる女性達へ適当に返答していると佐藤 智美の声が聞こえた。
 ようやっと来たか……心の中でため息をつきつつも、まだ入って来ない佐藤 智美がいる教室の入り口方へ目線を向けると――。

 「別に、気にしてねえよ。次は気をつけなよ、お寝坊さん」

 その光景を見た途端、俺様は戦慄した。

 ――な、なんだあいつは!?
 佐藤 智美に肩を寄せている隣りの輩は!
 
 その輩の容姿は、ウエーブの掛かった金髪ロングに筋肉が程好く付いて背が高く、たれ目で青い瞳をしたモデルタイプの美青年だった。
 西洋出身のようなその出で立ち……まるで美術品の絵から飛び出て来たかのような美しいき輝きを放っている。

 「きゃああ――!白野 鎮様よ!」

 俺様の周りにいた女性達が突然の黄色い声を上げた。
 少し耳は痛いが(実際は死神だから耳は無いがな)、それよりも俺様をそっちのけてあの美青年のもとへとそそくさと行ってしまった。
 さっきまで俺様のことでメロメロだったのに、この早変わり……!これだから女って奴は!

 悔しいが、あの輩が怪しく思い、一応念の為に俺様はその美青年に対し能力を使って、そいつの生体を調べた。
 するとわかったのが、こいつから放たれる光……これは”神性”だ!
 
 ――”神性”とは。
 天界より誕生せし者だけが神により譲り渡るものとされている。
 地上に在りし生き物はその神性に触れると、自然とひれ伏し、自ずとも貢献しうると言われている。
 
 その天界より誕生せし者……それは、”天使”。

 間違いない、あいつは天使だ。
 だが、ふと疑問に触れる。どうしてここに天使がいるのか?
 
 俺様が住む”魔界”でも、神々が住む”天界”でも、この人間共が住まう”現界”では、住むことは必ず”規約”が伴われる。
 その規約は、決して軽いものではない。
 もし一つでも、規約違反としたならば重い罰が下されることになろう。
 その罰はどういったものかは定められてはいないが、聞いた話によればその者自身の一番辛いと思われるものが罰になるらしい。
 
 おお……どういうものなのか想像しただけで、身震いする。
 そんなリスクを背負ってまであの天使は何を……ん?
 暫く美青年を見続けていると、ふと目がかち合った。
 
 ――しまった、長く見てしまっていたか。
 サッと目を窓際の方へと逸らしたが……どうやら相手は俺様の存在に気付いてたらしく、直接脳内に”念思”を飛ばしてきた。
 
 「おやおや……どうもこんにちは、死神。ようやっと僕の存在に気付いたんだね」

 「ふん、天使に返す挨拶などない。実直で聞く、現界《ここ》で何をしている」

 「それはこっちが聞きたいね、君の方こそここで何をしているのさ……場合によっては”処罰”を与えなくちゃならない」

 「折角だ、昼休みにでも話さないか?お互い積もる話がありそうだしな」

 「それはいい提案だね、でも逃げたりしちゃダメだぞ?」

 ――そっちこそな。
 俺様は心の中で愚痴りながら、繰り広げていた念話をシャットアウトした。
 
 ちょうど授業開始の鐘の音が鳴り響く。
 慌ててやってきた佐藤 智美が俺様の隣に荒々しく座った。
 衝撃で揺れたせいで、佐藤 智美が青い顔をして恐る恐る俺様の顔色を伺って見ている。
 
 俺様は張り付いた笑顔を浮かべてクスリと笑い、佐藤 智美に向けて挨拶をした。
 
 「おはよう、佐藤さん」
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