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01:100人目の魂


 誰もが寝静まる真夜中、一軒家の二階に住む大学生がスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。
 ……まさか今夜、この俺様に”魂”を狩られるだなんて思っていなかろう。

 ようやっと集めた魂が99個目になる。そして、今宵この娘の魂を狩ることによって100個目となるのだ!
 そうすれば今年の年明けには死神界きって栄光とも言われる役職、輪廻指揮官に任命されるのだ!
 
 ああ、なんと素晴らしいことか……!今までの苦労が報われる!
 まだ学生の身分ではあるが、俺様に見定められたからには仕方がないことだ。有難く、その魂狩らせてもらおう。
 俺様は魂を刈取るための鎌を出すと、その娘に向けて鎌を振り下ろした。
 
 ――が、見事に娘は俺様の鎌を避け、空振りした鎌は見事に娘のベットに突き刺さった。
 
 どうやら寝返りをうったらしい。
 ……まあ、寝返りぐらい誰でもあろう。さて、気を取り直してもう一度俺様は鎌を振り下ろした。
 
 「ううん……」
 
 娘はもごもごと寝言を言いながら、また俺様の鎌を避けたのだ。鎌はまた空しくベットに突き刺さっている。
 いやいや、まさかこんな偶然があるのか?
 俺様はもう一度、娘に向けて鎌を振り下ろした。
 だが、また空振りで終わった。娘は傷1つなく、気持ち良さそうに眠っている。
 ………………。
 
 ええい!なんなんだこの娘は!?なぜこんなにタイミングよく俺様の鎌を避けるのだ!?
 俺様は躍起になり、鎌をこれでもかというぐらいに娘に向けて鎌を振りまくった。
 だが、どうやっても娘は寝返りをうちながら見事に俺様の鎌を避けていく。しかも気持ち良さそうに眠ってるし!
 普通こんなにドスドスと音を立てて鎌が振り下ろされているにも関わらず起きないとは、なんて育ちの良さ……いや逆に悪いのか?
 
 「この娘、さっさと魂を狩らせんか!」
 
 そう声を張り上げて鎌を振り下ろそうとした瞬間、娘が突然起き上がったのだ。
 さすがの俺様も突然の行動にびっくりしてしまい、振り下ろした手を止めてしまった。
 娘はベットから起き上がったまま動かない。長い髪が顔を覆ていて、起きているのか分からない。
 
 ……でも、大丈夫。
 俺様は死神だ、普通の人間には俺様の姿は見えないようになっている。こっちから見せようという意志がない限り、滅多なことがない限り見られることなどないのだ。
 そう、滅多にないはずのだが……なんかこっちに近づいてきてないか?娘はフラフラと足取り悪く歩き、俺様の目の前で止まる。
 
 すると髪の隙間から娘の目が見えた。その目には確かに、俺様が映っていた。
 ……ん!?待てこいつ起きている、しかも俺様に気づいている!?
 
 「さっきから……」
 「へ?」
 「うるさくって眠れないのよー!」
 
 いや、すごくぐっすり寝てましたけどー!?
 娘から繰り出される連撃はなんと痛いことか……とどめにジャーマンスープレックスを決められ、俺様はノックダウンしたのだった。
 
 そこから俺様は気を失い、心配した執事が俺様を迎えに来てくれた。そして俺様はあの魂狩り以来、前後一ヶ月の重症を負うことになってしまったのだ。
 身体の骨達が軋んで動く度に激痛が走る。
 悪魔の執事が心配して、俺様を慰めの言葉を掛けてくれた。
 
 「坊ちゃま、あまり無茶をしてはいけませんよ」
 「……ぐすっ、ええい!このままで終わる俺様ではないぞ!」
 「おお、可哀想なお坊ちゃま……」
 
 俺様の死神のプライドを傷付けたこと、ただでは済まさんぞ……。
 俺様は魂のリストから一枚取り出し、100人目であるあの娘”佐藤 智美”のリスト見て誓った。この娘の魂を何としてでも必ず俺様の手で掴んでやる、どんなことをしてでもだ。

 「覚悟しろよ……佐藤 智美!いてて!」
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