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1年目

--カルファー視点

7月の暑い日、ローブなんて着ていられないと薄着になる季節。
カルファーは同寮であるカインやツバキと、噴水から続く水路に脚を浸けながら話しをしている恋人のシークを、少し離れた場所から眺めていた。
シャツから薄っすら見えるブラを見て得した気分になる。
「…よく外に居られるね」
「ははっ、カイザは汗かいてねぇし、涼しい顔してっけど暑いのか?」
「当たり前でしょ……何見てたの…?」
俺の視線の先をたぐると、納得したようにわずかに口元を緩めて隣に座った。
カイザもそちらを眺めながら、こちらには向かず話しを続ける。
「…もうすぐ夏休みだけど…休みはどうするの…?」
「俺は実家に帰るな。
マグルだからお前らとは住む場所も全然違うけど、家族旅行とか行くんじゃね?
まだ姿現しもできねぇし、シークにもお前らにも1ヶ月ちょい会えないな。
カイザはどうするんだ?」
「…俺も実家で過ごすよ…
まぁ…手紙くらい書くようにする」
それ良いなと笑いかけながら言うが、よく考えたら自分は筆不精で字も汚い。
読めないと言われ呆れられそうだなぁと思ったが、シークには連絡取ろうと思う。
また学校が始まれば彼女とあえるのだが、毎日顔を合わせいた分一ヶ月は妙に長く感じた。
地元には地元の友人が居るだろうしと思うと、可愛いシークが誰かに奪われないか心配だ。
「そうだ!お前どの辺りに住んでんだ?
今年の夏はみんなで海に行かねぇ?
カイザと俺とフォルテ、あとファインとシークとツバキで」
そう言うとカイザはこちらを向いて驚いた顔をしたが、少し考えた後に「フォルテは兎も角、良いね」と呟く。
寮に帰ろうとするツバキとシークを引き止めその話しをすると、シークは案の定嬉しそうに笑った。
「夏休みもカルファーに会えるね!」
「ふふっ、私も友人と休みを過ごすのは初めてです。
是非参加させてください。」
二人は楽しみができたと話に花を咲かせているので、提案して良かったと思う。
しかしそれぞれ本来住む場所はバラバラで、どうやって集まろうかと悩んでいると、シークは俺の服を掴む。
「あのね。
まだ返事聞いてみないと分からないけど
私のお母さんが魔法使いだから、皆んなの事姿現しで迎えに行くよ!
成人していれば魔法を使うのは大丈夫だから」
シークは半純潔だったなと思いながら「サンキュ」と笑い掛ける。
純潔のツバキも「父に同行して貰えるか聞いてみます」と続けた。
出会ったばかりの時は全く彼の感情がわからなかったが、カイザもツバキを見ながら心なしか嬉しそうにしているように見える。
なので二人きりにしてやろうと思い、シークの手を引くと「デートしてくるわ」と涼しい場所を探して走っていった。

外はどこも暑く、空き教室に潜り込む。
シークがクスクス笑うのでどうしたのか聞くと楽しそうにこちらを見る。
「カルファーは友達想いだね!
カイザ、フォルテやカルファー以外であんまり話しかけてる所見た事無いけど…
ツバキには自分から話しかけるし、いつもより言葉数が多い気がする
だから気を利かせたんでしょ?」
「最近分かってきたけど、ツバキと話してるカイザは楽しそうに見えるし。
俺、人付き合いが好きじゃないカイザにも、絶対見合う人が居ると思うんだ。
一人でも理解してくれ側にいてくれるヤツが居たら幸せだろ?
…でも友達の俺じゃ最後までは無理だ。
やっぱ良い女の子が側にいれば幸せだよな。
俺みたいに」
シークをそっと抱きしめると幸せそうな顔で頰を胸に擦りよせるので、可愛くてたまらない。
絶対に離したくないと思うと思わず力が込もった。
「カルファー?」
「んー…
一ヶ月もシークに会えねぇの寂しいなぁ
って考えてる。
まだまだ俺らも子どもだし、親と過ごせる時は過ごさなきゃなのは分かってるんだけどな」
苦笑いをしてシークの顔を見ると、背の低い彼女が丸い目でこちらを見上げた。
そして頰をわずかに赤らめて胸板に擦り寄ると目を瞑る。
トクトクと聞こえる彼女の鼓動が心地よい。
「…うん、私も寂しいな。
カルファーに会えない間、前の学校で仲よかった他の女の子に取られちゃわないか不安だよ…」
「俺そんないい男か?
というか、俺も同じ事考えてた」
「カルファーは沢山友達が居て、誰とでも気さくに話ができるし人気だよ!」
「シークに褒められると嬉しいなぁ
でもそれはシークもだし、お前可愛がられるタイプだからな。
頼むからほいほい男に付いて行かないでくれよ。
俺の可愛い可愛い彼女なんだからな?」
両手で頰を挟み込みながら言い聞かせるように言うと、目を細めて嬉しそうにはにかみ頷く姿が愛しくて仕方ない。
ぷくっと膨れて柔らかそうな唇が、ピンクに色づいて食べてしまいたいと思った瞬間
気づけばそこに唇を重ねていた。
柔らかくていい匂いがして、辞められそうに無いと思いながら、息継ぎの為に一度離れてはまた直ぐに唇を重ねる。
ゆっくり感触を覚えるようにキスをして、ようやく離れるとシークはりんごみたいに真っ赤になっていた。
そういやシークとするキスはこれが初めてだ。
「ふっ…ははは!
滅茶苦茶真っ赤じゃねぇか!
可愛いなぁ」
「も、もう…
私誰かとキスするなんて初めてなんだよ!
ドキドキして当たり前でしょ?」
ガサツな俺なんかにドキドキしてくれたのかと嬉しくてたまらない。
オデコをくっつけて再び抱きしめると、もう一度キスをした。

シークを寮まで送り届けてからグリフィンドールに戻る。
フォルテとファインが談話室で二人して教科書とにらめっこをしていたのでそこへ行き、夏休みの話を持ち出す。
「へぇ、カルファーにしては気の利いた提案だな。
美人三人の水着姿が見えるなんて逃すわけにいかねぇよな」
「…下心が口から溢れてるんだけど…
フォルテはともかく、皆んなと休みに会って遊べるのは嬉しいから私も行くよ。
私も両親はマグルだから、お迎えお願いしても良いかな?」
そう言われてシークにお願いしておくと言うと「ありがとう」と笑顔で帰ってきた。
シークに夢中で考えた事無かったが、確かに三人とも美人だ。
クリスマスのドレスも着こなしていて、周りの視線を引き寄せていた。
そんな彼女達が水着になると今更ながら思うと、想像してしまい頰に熱が宿るのを感じる。
それにフォルテが気づいてニヤニヤしながらこちらを見る。
「…お前、彼女居るんだからファインの巨乳やツバキの美乳に見惚れるんじゃねえぞ?」
「見惚れねぇよ!
俺は脚派だし…つかそんなところじろじろ見てたら失礼だろ?」
「……本人の前でこの会話辞めてくれない?」
ファインがはぁ…とため息を漏らすと教科書を閉じて、それでフォルテの頭を軽くぽんぽん叩く。
それにフォルテは嚙みつこうとしたが、ファインが優しく笑ったので言葉を引っ込めた。
彼女は立ち上がると「誘ってくれてありがとう」と言い自室に戻ってゆく。
「…アイツ、段々俺のあしらい方覚えてきやがる…」
「流石のフォルテ様もファインには敵わねぇなー」
「んな事ねぇよ。まだまだだ。」
フンと鼻を鳴らしてフォルテがそっぽを向いたが、まんざらでもなさそうなのでこちらも顔が綻んだ。
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