リクオは三兄弟で、この小説ではリクオの上に夢主と夢主の弟(夢主とは双子)がいます
鴆編
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夢主と夢主弟は双子で、リクオの兄です。
リクオは双子の2歳下の弟です
リクオは双子の2歳下の弟です
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暇だなぁと天井を見上げていた##暇だなぁと天井を見上げていたリクヤは襖の向こうに人気を感じ上体を起こした。
ガラリという襖を開ける音と共に鴆が入ってきた。
『あ、鴆!随分楽になったよ、ありがとう!』
「そうですか、それは良かったです。もう少し寝ていた方が宜しいのでは?」
『大丈夫だって、それにもう寝すぎて寝れないし…』
そう言いつつリクヤは布団を三つ折りにして、押し入れから座布団を取り出した。
因みにいまいる部屋はリクヤの部屋ではなく、また別の部屋である。
「して、リクヤ様身体の傷は最近どうですか?」
『あぁ…あの時は治療してくれてありがとうな。お陰で今は元気だぜ』
鯉伴が刺された8年前、鯉伴や俺の怪我の手当てをしてくれたのもこの鴆なのでとても感謝している。
あの時鯉伴も俺も相当重傷らしかったと後で聞いた。
そんな感じで鴆と二人は久方ぶりの雑談を暫くしていたが会話も途切れ、さっきまで頬を緩めていた鴆は真剣顔になった。
「リクヤ様、…ここで俺は義兄弟としてききてぇ…」
『…何を?』
鴆の醸し出す空気が一瞬で真剣なものになるのでリクヤも気を引き締める。
暫く見つめ合っていると突如廊下の方から足音が聞こえた気がするが、いまはこちらに集中せねばと思っていたらいきなり襖が開いてリクトが現れた。
「よう、風邪治ったか…って鴆!久しぶり…だよね?」
「はい、お久しゅうございますリクト様」
さっきまで緊迫していた空気が緩み、リクヤは今こそ息継ぎの時だと言わんばかりの勢いで深呼吸をする。
「…あのさ……もしかしてお取り込み中だったりした?」
正面で向かい合う2人をみて何かを察したリクトが問いかける。
「いえ、実はこれから…リクト様にも後からお話しようと思っていた所なので今から…」
リクヤの隣に座布団を敷きそこに座ったのを見て鴆が本題に入る。
「…三代目を継ぐ気はあるんですか?」
っあ!!!きたかぁきちゃったかぁ…そろそろ来るかなぁって思ってたんだけど…
俺は三代目を継ぐ気はさらさらないけどここではっきりないと言えば鴆の怒声と共に吐血した血を頭から被る事になる。
だがそもそもこれが原作通りだとすると鴆はぬらりひょんに呼ばれて全て知っている上で聞いてるんだよな…趣味悪いな…ここはもう正直に答えつつ、吐血ルートを回避するしかないんじゃないか?
そんな事をリクヤは考えながら鴆の質問に答える。
『…三代目を継ぐ気はないよ』
「…オレもないかな」
鴆の肩が怒りでブルブルと震え始めた、手を見ると着物を千切れんばかりに握りしめている。
その様子を見たリクヤは慌てて言葉を紡ぐ。
『でも…』
「…でも?」
内心かなりあわてて続けたリクヤの言葉に鴆は肩を震えさせながら聞き返す。
『三代目の補佐だったら…ただし三代目が俺の弟のリクオじゃないと補佐もしねぇ』
「俺はリクヤの補佐をするよ…リクオの補佐をするリクヤの補佐をな…」
「………」
『ぜ…鴆?』
震えが止まったと思ったら俯いて固まってしまった鴆に暫くあわせて二人は固まっていたが、いっこうに動く気配がないのでリクヤは心配になった。
「だが…リクオ様、リクオは…」
やっと口を開いた鴆は酷く辛そうに顔を歪めていた。
「リクオは今…三代目を継ぐ気は全くねぇと総大将が言っていた!腑抜けに成り下がっちまったと!」
『鴆…』
リクヤとリクトは慰めるように真剣そのものの表情で鴆の肩に手を置いた。
「大丈夫だ…お前はまだ知らないんだ、本当のあいつを…」
『あぁ。本当のあいつは…すげぇぞ…』
二人の真剣な眼差しに鴆は少し驚いたような表情をした。
「…リクヤ様、リクト様…」
二人がそう言えば鴆も少しは落ち着いたみたいだ。
やったね!!無事に吐血ルートは回避できたみたい!!
そう思いながらも落ち着きついでにリクヤは1つ気になることがあったので聞くことにした。
『…ところで鴆よ…』
「なんでしょうか…」
リクヤが鴆の肩から手を離して再び向かい合う形で正座し直せば、鴆も同じように姿勢を正す。
『…なんで丁寧語?』
「…といいますと?」
鴆は昔は二人に対してもっとぶっきらぼう且つフレンドリーな口調だった筈なのに、数年ぶりに再開してみれば何故か丁寧口調なので、何だか距離を感じてもどかしく思っていた所だった。
「そうだよ。前みたいにこう…タメ口でいいよ?名前も呼び捨てで…」
「しかしそれでは…」
『タメ口じゃないと話しづらいんだけど…』
「…わかった」
二人が頼んだところ鴆も渋々であったが了承してくれたことに幾分かすっきりしてにかりと何時もの笑顔に戻る。
そこでふと玄関の方が騒がしい事に気がついた二人はリクオが帰ってきた事を察する。
『あー、あともう1つ…』
「?」
リクトがリクオから逃げるべく準備をしている中、リクヤは腰をあげながら言うと鴆は軽く首を傾げる。
『これからリクオと話すんだろ?…あんまり怒鳴り過ぎて吐血しないように気を付けろよ!忠告だぜ!!』
「忠告だぜ!」
リクヤに続いてリクトがピシリと鴆に言った直後、二人と鴆の横の襖が勢い良く開いて、鴆を完全に無視した形でリクオが入ってきた。
「忠告だぜ!じゃないよ二人とも!!リクトは学校早退するし…リクヤはもう寝てなくて大丈夫なの?」
リクオは勝手に学校を脱け出した事について酷く御立腹なようである。
『大丈夫!鴆の薬のおかげでピンピン元気さ!』
「元気になったんだったら良いんだけど…」
リクトはリクオの背を押しながらを 無理矢理黙らせてさっきまで自分が座っていたところへ座らせる。
『それじゃあ俺ちょっと用事あるから』
「俺も…」
そしてリクヤとリクトはそそくさと部屋から退場した。リクヤは襖の向こうに人気を感じ上体を起こした。
ガラリという襖を開ける音と共に鴆が入ってきた。
『あ、鴆!随分楽になったよ、ありがとう!』
「そうですか、それは良かったです。もう少し寝ていた方が宜しいのでは?」
『大丈夫だって、それにもう寝すぎて寝れないし…』
そう言いつつリクヤは布団を三つ折りにして、押し入れから座布団を取り出した。
因みにいまいる部屋はリクヤの部屋ではなく、また別の部屋である。
「して、リクヤ様身体の傷は最近どうですか?」
『あぁ…あの時は治療してくれてありがとうな。お陰で今は元気だぜ』
鯉伴が刺された8年前、鯉伴や俺の怪我の手当てをしてくれたのもこの鴆なのでとても感謝している。
あの時鯉伴も俺も相当重傷らしかったと後で聞いた。
そんな感じで鴆と二人は久方ぶりの雑談を暫くしていたが会話も途切れ、さっきまで頬を緩めていた鴆は真剣顔になった。
「リクヤ様、…ここで俺は義兄弟としてききてぇ…」
『…何を?』
鴆の醸し出す空気が一瞬で真剣なものになるのでリクヤも気を引き締める。
暫く見つめ合っていると突如廊下の方から足音が聞こえた気がするが、いまはこちらに集中せねばと思っていたらいきなり襖が開いてリクトが現れた。
「よう、風邪治ったか…って鴆!久しぶり…だよね?」
「はい、お久しゅうございますリクト様」
さっきまで緊迫していた空気が緩み、リクヤは今こそ息継ぎの時だと言わんばかりの勢いで深呼吸をする。
「…あのさ……もしかしてお取り込み中だったりした?」
正面で向かい合う2人をみて何かを察したリクトが問いかける。
「いえ、実はこれから…リクト様にも後からお話しようと思っていた所なので今から…」
リクヤの隣に座布団を敷きそこに座ったのを見て鴆が本題に入る。
「…三代目を継ぐ気はあるんですか?」
っあ!!!きたかぁきちゃったかぁ…そろそろ来るかなぁって思ってたんだけど…
俺は三代目を継ぐ気はさらさらないけどここではっきりないと言えば鴆の怒声と共に吐血した血を頭から被る事になる。
だがそもそもこれが原作通りだとすると鴆はぬらりひょんに呼ばれて全て知っている上で聞いてるんだよな…趣味悪いな…ここはもう正直に答えつつ、吐血ルートを回避するしかないんじゃないか?
そんな事をリクヤは考えながら鴆の質問に答える。
『…三代目を継ぐ気はないよ』
「…オレもないかな」
鴆の肩が怒りでブルブルと震え始めた、手を見ると着物を千切れんばかりに握りしめている。
その様子を見たリクヤは慌てて言葉を紡ぐ。
『でも…』
「…でも?」
内心かなりあわてて続けたリクヤの言葉に鴆は肩を震えさせながら聞き返す。
『三代目の補佐だったら…ただし三代目が俺の弟のリクオじゃないと補佐もしねぇ』
「俺はリクヤの補佐をするよ…リクオの補佐をするリクヤの補佐をな…」
「………」
『ぜ…鴆?』
震えが止まったと思ったら俯いて固まってしまった鴆に暫くあわせて二人は固まっていたが、いっこうに動く気配がないのでリクヤは心配になった。
「だが…リクオ様、リクオは…」
やっと口を開いた鴆は酷く辛そうに顔を歪めていた。
「リクオは今…三代目を継ぐ気は全くねぇと総大将が言っていた!腑抜けに成り下がっちまったと!」
『鴆…』
リクヤとリクトは慰めるように真剣そのものの表情で鴆の肩に手を置いた。
「大丈夫だ…お前はまだ知らないんだ、本当のあいつを…」
『あぁ。本当のあいつは…すげぇぞ…』
二人の真剣な眼差しに鴆は少し驚いたような表情をした。
「…リクヤ様、リクト様…」
二人がそう言えば鴆も少しは落ち着いたみたいだ。
やったね!!無事に吐血ルートは回避できたみたい!!
そう思いながらも落ち着きついでにリクヤは1つ気になることがあったので聞くことにした。
『…ところで鴆よ…』
「なんでしょうか…」
リクヤが鴆の肩から手を離して再び向かい合う形で正座し直せば、鴆も同じように姿勢を正す。
『…なんで丁寧語?』
「…といいますと?」
鴆は昔は二人に対してもっとぶっきらぼう且つフレンドリーな口調だった筈なのに、数年ぶりに再開してみれば何故か丁寧口調なので、何だか距離を感じてもどかしく思っていた所だった。
「そうだよ。前みたいにこう…タメ口でいいよ?名前も呼び捨てで…」
「しかしそれでは…」
『だいたい鴆のが年上なんだし、俺達義兄弟なんだからタメ口でいいだろ。ていうかタメ口じゃないと話しづらいよ…』
「…わかった」
二人が頼んだところ鴆も渋々であったが了承してくれたことに幾分かすっきりしてにかりと何時もの笑顔に戻る。
そこでふと玄関の方が騒がしい事に気がついた二人はリクオが帰ってきた事を察する。
『あー、あともう1つ…』
「?」
リクトがリクオから逃げるべく準備をしている中、リクヤは腰をあげながら言うと鴆は軽く首を傾げる。
『これからリクオと話すんだろ?…あんまり怒鳴り過ぎて吐血しないように気を付けろよ!忠告だぜ!!』
「忠告だぜ!」
リクヤに続いてリクトがピシリと鴆に言った直後、二人と鴆の横の襖が勢い良く開いて、鴆を完全に無視した形でリクオが入ってきた。
「忠告だぜ!じゃないよ二人とも!!リクトは学校早退するし…リクヤはもう寝てなくて大丈夫なの?」
リクオは勝手に学校を脱け出した事について酷く御立腹なようである。
『大丈夫!鴆の薬のおかげでピンピン元気さ!』
「元気になったんだったら良いんだけど…」
リクトはリクオの背を押しながらを 無理矢理黙らせてさっきまで自分が座っていたところへ座らせる。
『それじゃあ俺ちょっと用事あるから』
「俺も…」
そして二人はそそくさと部屋から退場した。
ガラリという襖を開ける音と共に鴆が入ってきた。
『あ、鴆!随分楽になったよ、ありがとう!』
「そうですか、それは良かったです。もう少し寝ていた方が宜しいのでは?」
『大丈夫だって、それにもう寝すぎて寝れないし…』
そう言いつつリクヤは布団を三つ折りにして、押し入れから座布団を取り出した。
因みにいまいる部屋はリクヤの部屋ではなく、また別の部屋である。
「して、リクヤ様身体の傷は最近どうですか?」
『あぁ…あの時は治療してくれてありがとうな。お陰で今は元気だぜ』
鯉伴が刺された8年前、鯉伴や俺の怪我の手当てをしてくれたのもこの鴆なのでとても感謝している。
あの時鯉伴も俺も相当重傷らしかったと後で聞いた。
そんな感じで鴆と二人は久方ぶりの雑談を暫くしていたが会話も途切れ、さっきまで頬を緩めていた鴆は真剣顔になった。
「リクヤ様、…ここで俺は義兄弟としてききてぇ…」
『…何を?』
鴆の醸し出す空気が一瞬で真剣なものになるのでリクヤも気を引き締める。
暫く見つめ合っていると突如廊下の方から足音が聞こえた気がするが、いまはこちらに集中せねばと思っていたらいきなり襖が開いてリクトが現れた。
「よう、風邪治ったか…って鴆!久しぶり…だよね?」
「はい、お久しゅうございますリクト様」
さっきまで緊迫していた空気が緩み、リクヤは今こそ息継ぎの時だと言わんばかりの勢いで深呼吸をする。
「…あのさ……もしかしてお取り込み中だったりした?」
正面で向かい合う2人をみて何かを察したリクトが問いかける。
「いえ、実はこれから…リクト様にも後からお話しようと思っていた所なので今から…」
リクヤの隣に座布団を敷きそこに座ったのを見て鴆が本題に入る。
「…三代目を継ぐ気はあるんですか?」
っあ!!!きたかぁきちゃったかぁ…そろそろ来るかなぁって思ってたんだけど…
俺は三代目を継ぐ気はさらさらないけどここではっきりないと言えば鴆の怒声と共に吐血した血を頭から被る事になる。
だがそもそもこれが原作通りだとすると鴆はぬらりひょんに呼ばれて全て知っている上で聞いてるんだよな…趣味悪いな…ここはもう正直に答えつつ、吐血ルートを回避するしかないんじゃないか?
そんな事をリクヤは考えながら鴆の質問に答える。
『…三代目を継ぐ気はないよ』
「…オレもないかな」
鴆の肩が怒りでブルブルと震え始めた、手を見ると着物を千切れんばかりに握りしめている。
その様子を見たリクヤは慌てて言葉を紡ぐ。
『でも…』
「…でも?」
内心かなりあわてて続けたリクヤの言葉に鴆は肩を震えさせながら聞き返す。
『三代目の補佐だったら…ただし三代目が俺の弟のリクオじゃないと補佐もしねぇ』
「俺はリクヤの補佐をするよ…リクオの補佐をするリクヤの補佐をな…」
「………」
『ぜ…鴆?』
震えが止まったと思ったら俯いて固まってしまった鴆に暫くあわせて二人は固まっていたが、いっこうに動く気配がないのでリクヤは心配になった。
「だが…リクオ様、リクオは…」
やっと口を開いた鴆は酷く辛そうに顔を歪めていた。
「リクオは今…三代目を継ぐ気は全くねぇと総大将が言っていた!腑抜けに成り下がっちまったと!」
『鴆…』
リクヤとリクトは慰めるように真剣そのものの表情で鴆の肩に手を置いた。
「大丈夫だ…お前はまだ知らないんだ、本当のあいつを…」
『あぁ。本当のあいつは…すげぇぞ…』
二人の真剣な眼差しに鴆は少し驚いたような表情をした。
「…リクヤ様、リクト様…」
二人がそう言えば鴆も少しは落ち着いたみたいだ。
やったね!!無事に吐血ルートは回避できたみたい!!
そう思いながらも落ち着きついでにリクヤは1つ気になることがあったので聞くことにした。
『…ところで鴆よ…』
「なんでしょうか…」
リクヤが鴆の肩から手を離して再び向かい合う形で正座し直せば、鴆も同じように姿勢を正す。
『…なんで丁寧語?』
「…といいますと?」
鴆は昔は二人に対してもっとぶっきらぼう且つフレンドリーな口調だった筈なのに、数年ぶりに再開してみれば何故か丁寧口調なので、何だか距離を感じてもどかしく思っていた所だった。
「そうだよ。前みたいにこう…タメ口でいいよ?名前も呼び捨てで…」
「しかしそれでは…」
『タメ口じゃないと話しづらいんだけど…』
「…わかった」
二人が頼んだところ鴆も渋々であったが了承してくれたことに幾分かすっきりしてにかりと何時もの笑顔に戻る。
そこでふと玄関の方が騒がしい事に気がついた二人はリクオが帰ってきた事を察する。
『あー、あともう1つ…』
「?」
リクトがリクオから逃げるべく準備をしている中、リクヤは腰をあげながら言うと鴆は軽く首を傾げる。
『これからリクオと話すんだろ?…あんまり怒鳴り過ぎて吐血しないように気を付けろよ!忠告だぜ!!』
「忠告だぜ!」
リクヤに続いてリクトがピシリと鴆に言った直後、二人と鴆の横の襖が勢い良く開いて、鴆を完全に無視した形でリクオが入ってきた。
「忠告だぜ!じゃないよ二人とも!!リクトは学校早退するし…リクヤはもう寝てなくて大丈夫なの?」
リクオは勝手に学校を脱け出した事について酷く御立腹なようである。
『大丈夫!鴆の薬のおかげでピンピン元気さ!』
「元気になったんだったら良いんだけど…」
リクトはリクオの背を押しながらを 無理矢理黙らせてさっきまで自分が座っていたところへ座らせる。
『それじゃあ俺ちょっと用事あるから』
「俺も…」
そしてリクヤとリクトはそそくさと部屋から退場した。リクヤは襖の向こうに人気を感じ上体を起こした。
ガラリという襖を開ける音と共に鴆が入ってきた。
『あ、鴆!随分楽になったよ、ありがとう!』
「そうですか、それは良かったです。もう少し寝ていた方が宜しいのでは?」
『大丈夫だって、それにもう寝すぎて寝れないし…』
そう言いつつリクヤは布団を三つ折りにして、押し入れから座布団を取り出した。
因みにいまいる部屋はリクヤの部屋ではなく、また別の部屋である。
「して、リクヤ様身体の傷は最近どうですか?」
『あぁ…あの時は治療してくれてありがとうな。お陰で今は元気だぜ』
鯉伴が刺された8年前、鯉伴や俺の怪我の手当てをしてくれたのもこの鴆なのでとても感謝している。
あの時鯉伴も俺も相当重傷らしかったと後で聞いた。
そんな感じで鴆と二人は久方ぶりの雑談を暫くしていたが会話も途切れ、さっきまで頬を緩めていた鴆は真剣顔になった。
「リクヤ様、…ここで俺は義兄弟としてききてぇ…」
『…何を?』
鴆の醸し出す空気が一瞬で真剣なものになるのでリクヤも気を引き締める。
暫く見つめ合っていると突如廊下の方から足音が聞こえた気がするが、いまはこちらに集中せねばと思っていたらいきなり襖が開いてリクトが現れた。
「よう、風邪治ったか…って鴆!久しぶり…だよね?」
「はい、お久しゅうございますリクト様」
さっきまで緊迫していた空気が緩み、リクヤは今こそ息継ぎの時だと言わんばかりの勢いで深呼吸をする。
「…あのさ……もしかしてお取り込み中だったりした?」
正面で向かい合う2人をみて何かを察したリクトが問いかける。
「いえ、実はこれから…リクト様にも後からお話しようと思っていた所なので今から…」
リクヤの隣に座布団を敷きそこに座ったのを見て鴆が本題に入る。
「…三代目を継ぐ気はあるんですか?」
っあ!!!きたかぁきちゃったかぁ…そろそろ来るかなぁって思ってたんだけど…
俺は三代目を継ぐ気はさらさらないけどここではっきりないと言えば鴆の怒声と共に吐血した血を頭から被る事になる。
だがそもそもこれが原作通りだとすると鴆はぬらりひょんに呼ばれて全て知っている上で聞いてるんだよな…趣味悪いな…ここはもう正直に答えつつ、吐血ルートを回避するしかないんじゃないか?
そんな事をリクヤは考えながら鴆の質問に答える。
『…三代目を継ぐ気はないよ』
「…オレもないかな」
鴆の肩が怒りでブルブルと震え始めた、手を見ると着物を千切れんばかりに握りしめている。
その様子を見たリクヤは慌てて言葉を紡ぐ。
『でも…』
「…でも?」
内心かなりあわてて続けたリクヤの言葉に鴆は肩を震えさせながら聞き返す。
『三代目の補佐だったら…ただし三代目が俺の弟のリクオじゃないと補佐もしねぇ』
「俺はリクヤの補佐をするよ…リクオの補佐をするリクヤの補佐をな…」
「………」
『ぜ…鴆?』
震えが止まったと思ったら俯いて固まってしまった鴆に暫くあわせて二人は固まっていたが、いっこうに動く気配がないのでリクヤは心配になった。
「だが…リクオ様、リクオは…」
やっと口を開いた鴆は酷く辛そうに顔を歪めていた。
「リクオは今…三代目を継ぐ気は全くねぇと総大将が言っていた!腑抜けに成り下がっちまったと!」
『鴆…』
リクヤとリクトは慰めるように真剣そのものの表情で鴆の肩に手を置いた。
「大丈夫だ…お前はまだ知らないんだ、本当のあいつを…」
『あぁ。本当のあいつは…すげぇぞ…』
二人の真剣な眼差しに鴆は少し驚いたような表情をした。
「…リクヤ様、リクト様…」
二人がそう言えば鴆も少しは落ち着いたみたいだ。
やったね!!無事に吐血ルートは回避できたみたい!!
そう思いながらも落ち着きついでにリクヤは1つ気になることがあったので聞くことにした。
『…ところで鴆よ…』
「なんでしょうか…」
リクヤが鴆の肩から手を離して再び向かい合う形で正座し直せば、鴆も同じように姿勢を正す。
『…なんで丁寧語?』
「…といいますと?」
鴆は昔は二人に対してもっとぶっきらぼう且つフレンドリーな口調だった筈なのに、数年ぶりに再開してみれば何故か丁寧口調なので、何だか距離を感じてもどかしく思っていた所だった。
「そうだよ。前みたいにこう…タメ口でいいよ?名前も呼び捨てで…」
「しかしそれでは…」
『だいたい鴆のが年上なんだし、俺達義兄弟なんだからタメ口でいいだろ。ていうかタメ口じゃないと話しづらいよ…』
「…わかった」
二人が頼んだところ鴆も渋々であったが了承してくれたことに幾分かすっきりしてにかりと何時もの笑顔に戻る。
そこでふと玄関の方が騒がしい事に気がついた二人はリクオが帰ってきた事を察する。
『あー、あともう1つ…』
「?」
リクトがリクオから逃げるべく準備をしている中、リクヤは腰をあげながら言うと鴆は軽く首を傾げる。
『これからリクオと話すんだろ?…あんまり怒鳴り過ぎて吐血しないように気を付けろよ!忠告だぜ!!』
「忠告だぜ!」
リクヤに続いてリクトがピシリと鴆に言った直後、二人と鴆の横の襖が勢い良く開いて、鴆を完全に無視した形でリクオが入ってきた。
「忠告だぜ!じゃないよ二人とも!!リクトは学校早退するし…リクヤはもう寝てなくて大丈夫なの?」
リクオは勝手に学校を脱け出した事について酷く御立腹なようである。
『大丈夫!鴆の薬のおかげでピンピン元気さ!』
「元気になったんだったら良いんだけど…」
リクトはリクオの背を押しながらを 無理矢理黙らせてさっきまで自分が座っていたところへ座らせる。
『それじゃあ俺ちょっと用事あるから』
「俺も…」
そして二人はそそくさと部屋から退場した。